SNSのレシピに入りがちな「めんつゆ」「バター」「ごま油」は全てを美味くするのでは?
またか。Twitterで流れてきたレシピにめんつゆが入っているのを見た。めんつゆ、バター、ごま油。SNSで見かけるレシピにはこの辺りの食材が入りがちだ。
ひょっとしてこの三品が食材として強すぎるのではないか。そもそも美味くなりすぎるのではないか。
そんな疑念をもとに「めんつゆ、バター、ごま油を入れても美味しくならなそうなもの」を持ち寄った。逃げ切れるのか、おれたちは! めんつゆバターごま油の美味さから!
美味くならなかった者が勝利!のゲーム形式です
「めんつゆ、バター、ごま油を入れても美味しくならなそうなもの」を持ってきてください。お菓子やフルーツは禁止で。
そうやってデイリーポータルZ編集部の橋田さん古賀さんに声をかけて集まった。
今回はちょっとしたゲーム形式にした。だれかが持ってきた食材に対して残りの2人がめんつゆやバターを加味して美味くしてしまうのだ。美味しくならなかったら持ち込んだ者の勝利だ。
この三人は料理が上手でもないし、食材となるめんつゆらもできるだけ安いものにした。はたしてこれでもめんつゆの力でおいしくなるんだろうか?
たとえば筆者が持ってきたものはこのトマト。野菜はなんでも茹でてめんつゆかければ食べられそうだったが、トマトはそんなイメージがなかったので持ってきました
何持ってくるかめっちゃ考えたんだけどこれなんでもおいしくなっちゃうよね。むずかしいよね!
ですよね、まず最初にぼくが持ってきたトマトなんですが…
残りの二人が調味します。なんでか知らないが「美味しくなるよね!」の盛り上がりがすごい
"絶対おいしい"祭りが始まった。なんだかしらないがめんつゆとバターとごま油でレシピを考える時間にはものすごいグルーヴがある! もはやうまくいかなくなった恋人たちにはぜひめんつゆレシピの考案を勧めたい。
トマトをバターで炒めたものにめんつゆができあがった。なんだそれ!
食材を持ってきた者が味見「あの~これはなんていう料理ですか…」
「あ~~くそっ、そこそこおいしいですね、やっぱり!!」美味しくなったので逃げ切り失敗。
トマト、逃げ切り失敗
やや食べ慣れない味ではあるが悪くはない。いや、むしろ美味しい。一人暮らしのズボラ料理程度には成立している。ネット上で出回る完成度ではないものの美味しくなったとは言えるだろう。参りました。
そうして逃げ切りをブロックした人たちの勝ちとなる。これを繰り返す
めんつゆ様の手のひらから逃げ切れず
逃げ切り失敗。筆者が持ってきたトマトだったがやはりめんつゆとバターのうまさにつかまってしまった。
どこまで行っても私達はめんつゆ様の手のひらの上だ。めんつゆは今や西遊記のお釈迦様と化している。
そしてここから次々に猛者たちがめんつゆバターごま油に挑んでいく!!
「これはそこそこ難しいと思う」と橋田さんが持ってきたあおさ。青のり的なやつですね
私が持ってきたやつなんですけど、あおさなんてどうやったらいいかわからなくない?
これこそめんつゆで煮たらそれで終わりじゃないですか?
めんつゆで煮てごま油たらしました。大北「うわあ、こんな見た目で勝てるわけがない…」
橋田「ああ~…」
橋田「あ~、もう! おいしい!……味の加減はもうちょっといるけどおいしくなってる」
あ~、おいしくなってしまった。めんつゆはだめだよ~、だめだわ、ほんとにめんつゆは…
なるほど、めんつゆがよすぎて逆によくない領域になってくるんですね…
古賀さんが持ってきた福神漬。たしかに何かと合わせる感じはしない
バターを溶かしてかけてみることになった。そんなレシピあるかな!?
じゃあバターにしますか? でも福神漬にバター!? ありますそんなの!? 橋田さん、ちょっと味見してみてくださいよ
うっっわー、いいかも! これだ! ほら新しいよね!
その新しさにかけてみましょう! 商品化も見えてきた! いきなりステーキの跡地にこの店いっぱい出しましょう!
盛り上がってしまった結果、福神漬けのバター和えができました
古賀「あ~!!!!」 来たか…!! やはりうまいのか!?
……こういうスナックあるなあ! ばかうけとかにありそうな味!!
橋田さん元気出して! 悪くないんだけど、でも家でこれをやりはしないよねってくらいだよ
古賀「あ~こっちこっち! こっちだよ絶対!」
うまいうまい、(家で)やってもいい! ツイッターにレシピのせてもいい!
三人で一巡したがだれもめんつゆらの手から逃れられなかった。福神漬けごま油にいたってはネットにレシピを載せてもいいほどのおいしさ。
私達人類はどこまで行ってもめんつゆに美味くされてしまうのか。そしてなんなんだ美味くされてしまうっていうのは!?
「赤飯!? そんなのバターだよ!」「そうだ、あっためてバターのせるんだ!」美味しくなりそうというのは人間の気持ちを高める効果があるようで、この企画はテンションが上りっぱなしである
赤飯に塩以外のものが入ったら情緒とか伝統とかそういうものが全部なくなりそうな気がしたんですけど……いや~でも、この見た目はやっぱり負けそうだな
赤飯といえば塩一択、それが情緒ってものじゃないですか…
「あ~こんなのだめこんなのだめ、ず~るい! 牛の乳はずるい!」
やられた~! うまいうまいうまい、あ~こんなのだめだこんなのだめだこんなのだめ!
みなさんの想像どおりうまいですよ、そりゃ。いや、そうですよ。今日はもうほんっとに味の説明まったくいらないですね!
「うまいうまいうまい! なんでこれ合わないと思ったんだ! ゲラゲラ~(笑)」
橋田「もつ煮はどうやったらいいかわからないでしょ」大北「あっためバターじゃないですか」古賀「よっしゃ!! あっためバターだ!! ドンドドンドンドドンドン(太鼓)」
橋田「おおお、これは……!?」
……!!? 味がわっかんない! もつが強すぎてバターが入ってるのかもわっかんないよ!?
ここに来てついにめんつゆらの手から逃れるものが来たか!
橋田「もはや汁を口に含むと倒れそうなくらいの油感」ものすごい過剰なものができてしまった
ごま油で香りはちょっとよくなった気もするけど、汁を口に含むとものすごい油感、いけないよねこれは!?
うっへ~い! サッカー部が活動停止になるやつだこりゃ!
おわ~! これ濃厚味噌ラーメンのカップ麺の袋だれみたいな味しますね、トゥーマッチ!
めんつゆ様の強大な力が及ばなかった寂しさもありますが、今回に限ってはもつ煮逃げ切ったということで…
古賀「あ~ほんとだね。モツ自体がこんな味濃いとね。絶対やっちゃだめ、絶対やっちゃだめなやつだよ、お母さんに怒られるよこれは」
古賀「ぎんなんってすごい強い味じゃん。苦いし」古賀さんの持ってきたぎんなんですがバターで炒めてみました
古賀「なるほど、うん。バターを多めに摂るとね、う~ん、おいしいね、たしかに」大北「やった!」橋田「ブロック成功!」古賀「でもこんなにバター食べたらお母さんに怒られるよ!」私達のお母さんはもうだいたい老人である
古賀「おいおいおい! ぎんなんのパッケージに『バター炒めに』って書いてあんな!」そもそもバターの魔の手からは逃げ切れなかったのである
ぼそぼそっとしたもので酸っぱいのであわなさそう。ということで甘酢味の春雨サラダを持ってきました。ごま油をひとたらしさせられました
大北「あ~いい匂いになってるな、なんでこんなの持ってきちゃったんだろ」
大北「あ~、おいひぃ~。そりゃなあ~、うまくなるよなうまくなるよなこんなのな~」橋田「老人化している!」逃げ切り失敗。おいしくなることが負にはたらくという珍しいゲームである
橋田さんの持ってきたピクルス。
ごま油もかけてみようか、あ、はい、はい、はい、こういうのある~!!
……それってただの和風ドレッシングじゃないですかね
やってるやってるやってるな~、これはやってるなあ! はあ~、やってますな、やってますなあ~!
橋田「あ~、あるよね、これ。こういうの、絶対あるよ~」 食べる前から負けを認め始める橋田
橋田「……おいしい!!」大北「ピーン!となった(笑)ゲラゲラ~(笑)」橋田「すっごいおいしい!!」古賀「ピーン!(笑)」橋田「レストランで出せるよ!」
生ハムは油分塩分も多いので何やってもトゥーマッチではないかと思い持ってきましたが、ごま油とバターそれぞれかけられました
大北「ふざけるな!! あんたたちもう帰ってくれ!」橋田「やった~(笑)」古賀「ごま油だとけっこうさっぱりするね」橋田「あ、バターはだめだね、過剰だ」
刺身こんにゃくといえば酢味噌。そういう固定観念でよせつけないかなと思ってましたが橋田「これは全然あるでしょ~!?」古賀「ふざけるなよおまえら~」とめんつゆ、ごま油をかけられました。
大北「くっ、これはこれでうまいな……こんにゃくレバ刺しみたいなやつあるじゃないですか」
橋田「バターのせてみたらいいんじゃない?」大北「フレンチみたいな雰囲気が出てきましたね」
大北「……合わない!!」古賀「ゲラゲラ~(笑)」橋田「そうなるんだ(笑)」
橋田さんが持ってきた酢昆布。ごま油をかけてみました。古賀「めんつゆもかける?」大北「めんつゆをかけるとダサいみたいなことあるんじゃないですか」橋田「そんなダサいとかあるかな!?」
橋田「あっ!! 最初ものすごく油っこくて」古賀「うん(笑)」
橋田「かみ続けると、、、すっぱい!」古賀「ゲラゲラゲラ~(笑)」大北「だめだ~(笑)!」
古賀「うわ~まず!」大北「油っぽい、酸っぱい、粉っぽい、がバラバラにくる!!」
もつ煮につづいて酢昆布も合わない!
もつ煮につづいてようやく合わない食材が見つかった。酢昆布である。酢の粉が油を吸い、油と酸味といやな食感がバラバラに来る。これは変化がないというよりもまずいと言ってもよさそうだ。
もはや食材ではなくお菓子である。それくらいインパクトがあるものではじめてめんつゆらの手から逃れることができるのだ。
奈良漬けもごま油をかけてみました
古賀「あ~~おいしいよ~! すごいまろやかになった! うおおおおおおお、こりゃええ!! これくらいえええ!」
古賀「か~っ! こんくらいだよ、こんくらいいっていいと思うよ!」大北「なにがどんくらいなんですかそれは!」橋田「古賀さんそれなんなの!」
よすぎてボケてきた古賀さん。奈良漬けにはごま油をどうぞ
めんつゆ、バター、ごま油の手から逃れられたのは酢昆布ともつ煮でした
強いぞ、ぼくらのネットレシピ食材三銃士
スーパーの野菜売り場に行くとどれも茹でてめんつゆをかけるとおいしそうなものばかり。魚売り場、全てめんつゆで済む。乳製品、ハム、練り物もごま油にめんつゆ。
そんな厳しい網の目をかいくぐってきた合わなさそうなものをめんつゆらネットレシピ食材三銃士はことごとく倒していった。あるある、こういうジャンプの格闘マンガが。
逃げ切った者もいる。もつ煮と酢昆布はアルカトラズ島の監獄を脱出したような英雄たちだ。どちらも味が強すぎてもう何も寄せ付けない状態だった。
しかし彼らは特殊だ。味が強すぎなければめんつゆらはすべての食べ物に合うのではないだろうか。素材ならほぼ全勝だろう。
人類のおともにめんつゆ。貝塚から犬の骨とめんつゆの空き瓶が発見されてもおかしくはない。
ただ、私達がツイッターのタイムラインで目にするめんつゆレシピはあれはあれでよくできているのだとも思った。今回みなさんにおすすめしたいのは漬物にごま油をかけようということくらいだったからだ。
とはいえめんつゆはずるいよな。バターもずるければごま油もずるいしブツブツ……