縁もゆかりもない土地でも、地元の人に案内されるとなぜか見たことがあるような気がしてきます。そんな錯覚を味わってもらうストリートビュー地元案内。
今日は京都府宇治市編、案内はライター小堀友樹さんです。
林:こんばんは、林です
西垣:西垣です
林:今日、西垣さん背景が生活感あふれる感じですね
西垣:そうですね。一番ごまかせる背景を選んで、本でごまかそうとしたんですけど
林:ガスコンロがね…
西垣:見切れてますね
林:今日は小堀友樹さんに案内してもらいます
西垣:はい
林:小堀さんは2010年からデイリーに登場しまして…
小堀:あ、出てきちゃった。すいません
(小堀さんが登場してしまう)
西垣:ハハハハハハハ
林:2010年にデイリーポータルに加わって
西垣:はい
林:当時はまだ大学生だったんですが…。そうかもう10年以上も書いてるんですね
西垣:ふーん
林:デイリーってあっという間に時間が過ぎるんで
西垣:ハンコのイメージがずっとあったんですけど。今は変わってきて、爬虫類とかの記事も書いてるんですね
林:爬虫類は飼うし、ピザ窯つくるし、雨漏りをなおそうとするし。規模が大きくなってます
(小堀さんを呼び込む)
林:小堀さんお願いしまーす
小堀:よろしくお願いします。入るタイミングを間違えてしまって、2回目です
西垣:最初はどういう出会いだったんですか?
小堀:大学院へ行ってたんですけど、同じクラスの人が2人しかいなくて
西垣:はい
小堀:ひとりが登校拒否やったんですよ
西垣:はいはい
小堀:なので、ひとりでいつも実習室にいて。発表もおじいさんと2人でやるみたいな
林:ふふふふ
小堀:寂しすぎてデイリーポータルZのコネタ道場に投稿し始めたのがきっかけです
西垣:へぇー
小堀:なので、だいぶ救われたところがありましたね
林:デイリーポータルZは読む人も書く人も何らかの問題をかかえてるんですね
西垣:ハハハハハ
林:最寄りの駅から自宅まで一緒に歩くみたいな感じで、見せてもらえるとありがたいです
小堀:はい
林:先ずは最寄りの駅なんかを出してもらえると
小堀:はい、ちょっとお待ちください
林:この説明の時点で「最寄りの駅なんてねぇよ!」って怒られる場合が、過去2回くらいありましたね
(編集部石川の岐阜県本巣市編の動画がインサートされる)
石川:ちょっとね。最寄り駅から始めるのが都会もんの発想だなという感じがして
西垣:そうなんですか?
林:そうなんですか?使わないんですか?
石川:乗ったこと1回もなくて、最近初めて乗ったんですよ
(石川の動画終了)
林:最寄りの駅から始めるのが都会もんの発想だな。って言われましたね
小堀:へぇ~
小堀:近くに中国のお坊さんがきてつくった「万福寺」っていうお寺があるんですよ。そういう言葉を使ってつけた駅かなと思うんですが
林:黄檗の「檗」の字がみたことないですね
小堀:壁みたいな…。でも見たことないですよね。もし、気になるところとかあれば…
林:ゴミがありますね
小堀:ロータリーにゴミ…。ありますね
林:ゴミ捨て場なのかな
小堀:ここに?って感じがしますね
西垣:一番邪魔になるような…
■蛇口からお茶が出る小学校へ通っていた
小堀:ベットタウン的な場所で市内にみなさん通勤しています。よく知られてるというのではお茶が有名ですね
林:お茶は超有名な宇治茶の
小堀:ケンミンショーとかでやってたような「小学校の蛇口からお茶が出る学校」へ通ってたんですけど
西垣:ほー
小堀:番組だと「おいしー」と小学生が言うんですけど
西垣:はい
小堀:鉄パイプを通じてくるんで、めちゃくちゃ鉄くさいんですよ
林:小堀さんが通ってた頃から、蛇口からお茶出てたんですか?
小堀:出てました。青い蛇口が水が出て、赤い蛇口はあったかいお茶が出るんですよ。
西垣:へー
小堀:冬場は雑巾絞りがすごい冷たくてきついじゃないですか
林:はい
小堀:先生にバレないようにお茶で絞ったり。いま思えば抗菌作用があったかも。
林:じゃ、鉄臭くてあったかい。それは嫌だなー
小堀:でっかいタンクみたいなのに沸かして、校舎の水場に分配されて
林:設備はちゃんと作ったんですね
小堀:そうですね。どういう意図があったのかわからないですけど
小堀:こっちへ行くとさっき言ってた隠元和尚が作った寺があるんですけど。インゲンマメを持ってきた人です
西垣:へぇー
小堀:レンコンとかわりと中国から持ってきたという御坊さんがいらっしゃる
林:今だと検疫にひっかかりますけどね
小堀:そうですね
小堀:ここがプール…
林:子どもがみんな行くプール
小堀:当時は100円、200円で行けたんですけど。大丈夫ですか?こんなんで…
林:みんな感じですよ
小堀:宇治市のプ―ル誰が興味ありますかね
西垣:だいたいこんな感じなんで大丈夫ですよ
■シーラカンス的に悪さが残っている
西垣:宇治市ってこんな子どもが遊べたりする場所なんですね
林:西垣さんどういう意味ですか?
西垣:結構、コワイというか荒れてるイメージがあったんですよね
小堀:それは、めっちゃ的確だと思います
西垣:そうですよね
小堀:ここを下っていったところに中学校があるんですけど
林:ええ
小堀:すごい荒れてましたね。窓からトイレの仕切りが飛んでくるとか
西垣:はぁ~
小堀:3階のこのトイレはヤンキーの子がすのこしいてタバコ吸う場所とか
西垣:悪いなー
林:え?小堀さんが中学生の頃って、20年くらい前?
小堀:20年前ですね
林:20年前くらいって校内暴力とか問題になる時期じゃないじゃないですか
小堀:シーラカンス的に「悪さ」が残ってるというか
林:まぁ、今はそんなことないんでしょうね
小堀:教職持ってたんで、教育実習に母校へ行ったんですよ。
林:行ったんですか
小堀:いましたね
林:へぇー
小堀:自己紹介したら「ンー!」って手を引っ張られていって腕相撲させられて
林:はい…
小堀:3秒で負けて、その後ずっとなめられる。みたいな
林:なんかちょっと動物的ですね
小堀:でも終わる時にはかわいい犬のキーホルダーくれましたけどね
林:なんなんだよ…。絵に描いたようないいやつですね
(実家近所に移動)
林:デイリーのライターの実家って感じですね
小堀:そうですか
林:ニュータウンで家の前が坂、っていう
西垣:はいはい
林:そして家がそこそこでかいという
林:学校は高台ですか?
小堀:そうです。なんなんですかね
林:山のてっぺんですか?
小堀:てっぺんです
林:なんか赤い服着た人がみえますよ
小堀:docomo?
林:docomoだ
小堀:なんか配ってるんですかね。携帯のチラシとかですかね
林:卒業式とか?あ、入試だ
西垣:入試か
林:高校に入ったら携帯持とう的なやつじゃないですか?
小堀:こんなことなってるんですね。今
西垣:それどころじゃないのにな
小堀:ここ、全然難しくない学校で。中学校のときの同級生が勉強できない子がいて一緒にうけにいったんですよ。
林:はい
小堀:うちの親が教師だったので勉強しに来たりしてたんですよ
西垣:はいはい
小堀:合格発表を見に行ったら落ちてて…。その子が泣きながらずっと坂下っていったなーっていうのを今思い出しました
林:そのとき小堀さんは一緒に帰ったんですか?
西垣:どういう言葉をかけたんですか?
小堀:かけることばなかったですね
林:聞いただけで切なくなる話ですね
西垣:声、絶対かけられないですよね
林:14とか15でそんなひどい目にあわせなくてもいいのにね
小堀:その時はdocomoの人いなかったので、良かったなと
■木魚の原型と言われている「開梛(かいぱん)」
小堀:荒れてる中学校…。ちょっと待ってくださいね。今はどうなのかな
林:なくなってます?
小堀:いや、なくなってはないと思いますよ。燃やされてる?
西垣:ヤンキーすぎてもなくなることはないと思いますよ
小堀:お寺のお坊さんとかもいるんですよ
林:はー
小堀:野球部じゃないけど坊主頭で来てるんですけど。その子万引きしてたりしてましたからね
西垣:悪いなー
小堀:見たことないくらい大きい消しゴム持ってて
林:はははは
小堀:この錦鯉みたいのが「開梛」という萬福寺にあるんですけど。木魚の原型と言われているらしいです
林:へー
林:叩くぼポクポク音がなるようなものがあるんですね
小堀:そうですね。お昼とかの時間を知らせるとかやった記憶があるんですけど
林:スーパーどこ行くんですか?
小堀:「ハッピーテラダ」というところに
林:そこがいいですね
小堀:この写真がいいですね
林:これがハッピーテラダ
小堀:こっちから見たら何かわからないですね。
西垣:壁に覆われてますね
小堀:正面からみると…。あ、このロゴがいいですね
林:いいですね
小堀:この横の壁…。こんな閉鎖的じゃなかったと思うですけど
■建設会社がつくった銭湯「奥の湯」
小堀:奥の湯っていう銭湯があるんですけど
林:はい
小堀:建築会社さんがやられてるんですよ
西垣:へー
小堀:お仕事の後入りたいなーみたいなことかなと思うですけど
林:自分たちで入るような
小堀:奥田建設ってあるじゃないですか。で、奥の湯っていうのがあるんですよ
林:自分たちでつくっちゃったんだ
小堀:気持ちい銭湯なんですけど、看板がこういう感じなんですよ
林:あ、建設会社だからね。あ、これ「奥」ですね。漢字の「奥」なんですね
西垣:ほんとだ
小堀:そうなんです、そうなんです「奥」モニュメントなんですよ
林:漢字に安全第一をフィーチャーして
西垣:いい会社ですね
小堀:いいですよね。仕事終わりにお風呂行けるの
小堀:このまま真っすぐ行くと宇治川へ行くんですけど
林:宇治川見たいです
小堀:これが宇治橋です
林:宇治橋
小堀:「日本三古橋」と言われてるらしいですけど
林:波が立ってて流れが速そうですよね
小堀:そうなんですよ。すごい流れが速くて
林:あそこの堰のところもすごい水が泡立っている
小堀:そうですね
林:ここはすごい観光地ですね
西垣:宇治に来る人はこのへんに来るんでしょうね
小堀:平等院がこっちの方だと思います
林:平等院って10円玉に書いてあるやつですか?
小堀:そうです、そうです
林:それは行きますね
西垣:え?この人なんですかね
小堀:ローアングルから写真撮ってるんですかね
林:すごい瞬間にストリートビュー来ちゃいましたね
西垣:めちゃくちゃなことしてるな
林:看板を入れたかったのかも
小堀:そういうことなんすね。
西垣:あぶないし、見られてるし
林:有名な店なんですかね
小堀:なんとか共和国って書いてありますね。あ、「抹茶共和国」
林:抹茶共和国を入れたかったんだ
小堀:このソフトクリーム、どこでも売ってるやつですけどね
西垣:そうですよね
林:赤いジャージの集団が自転車乗ってますね
小堀:何中かな
林:クラフトワークのジャケットみたいですね。
西垣:萬福寺には行かなかったんですか?
小堀:通学路だったんで、毎日前は通ってましたね
西垣:中学校の壁に描かれるくらいの…なんでしたっけ、あれ
小堀:あ、「開梛(かいぱん)」
西垣:「開梛」見られますかね
小堀:開梛は入らないと見られないですよ
林:萬福寺入れますよ。青い線が出てるんで
西垣:はいりましたね
林:石畳、ひし形に並べるんですね
小堀:ちょっとずつしか行かれないですね
西垣:おごそかな感じでいいですね
林:こんなところまで入れるんだ
小堀:これ「開梛」見られる説ありますね
西垣:おー!
小堀:どこにいるんだ…。あ、これだ!
林:お?!
西垣:うわー
小堀:ちょっとずつしか行かれないですね
林:あ、こんなけっこう大きい
小堀:大きいんですよ。いましたね
林:これ、おもしろいですね
小堀:けっこうかわいいデザインなんですよ
西垣:確かに。壁に書きたくなる
林:これが、すごい古いものなんですか?
小堀:これ自体は何代目かで、そんなめっちゃ前のものじゃないと思います
西垣:お腹が削られてるんですね
林:叩いてるところだけ
小堀:ちょうど、今コロナなんで「開梛」のぶんだけ離れましょう、みたいな告知をしています
林:ディスタンスの単位になるくらい親しまれているんですね
小堀:「いち開梛離れる」みたいな
*
実際の様子は動画「京都・宇治市の小学校で蛇口からでるお茶を誰も飲んでいなかった話〜地元観光案内〜【デイリーポータルZライター小堀友樹」で確認してください。
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