事態は急変する
ラーメンを食べたりアイスコーヒーを飲んだりして時間を潰した。 みんなも笑顔にすればいいのに。みんなが笑顔を携帯する車社会。いい感じだ。そんな事を考えているうち、あっという間に集合時間がやって来た。
ここで「うっかり失効者」たちが振り分けられる。過去に1度も違反がない人は30分の講習で済むが、僕のように過去に2度以上の違反がある人は2時間の講習を受けないといけない。 スマイル免許証はあと2時間のお預けである。ああ、早く手にしたい。
係の人から講習から受け取りまでの説明がある。
「名前を呼ばれた方は申請用紙を一旦受け取って、写真室で写真撮影をした後、講習会場に行ってください」
ん? 写真撮影? どういう事だ? さっき申請用紙に貼った写真は?
事態を把握出来ないまま写真室に誘導される。 「ここで撮る写真が免許証になります」という張り紙が見える。
じゃあ、用意した写真の意味は?
こっちで用意した写真は免許証に反映されないのか? 誰かに確かめたかったのだが、近くに係の人はいない。はっきりしないまま、僕の写真撮影の番が来てしまった。
仕方ない。今、笑おう。 恥ずかしがってはいられない。
思い切ってさっきのスマイルくらいの笑顔を作ったら、
「はい、口は閉じてください」
と、係の女性から冷静に言われてしまった。 笑顔はダメらしい。
天国から地獄に突き落とされた気分で講習を受けた。掴みかけたスマイル免許証が遠ざかっていく。そうなってくるともう、さっきのラーメンに腹が立って仕方ない。なんだあのしょっぱいラーメンは。
2時間に渡る講習が終わり、免許証が交付される。 もしかしたら、スマイルの方が採用されているかもしれない。一分の望みを胸に、列に並んだ。
結局、さっき写真室で撮影した写真であった。 笑顔からはほど遠いマヌケな顔である。
後から係の人に確認したら、運転免許試験センターで更新する場合は、その場で撮影する写真を免許証に使用し、事前に用意した写真は試験センターの控えとして保存されるとの事であった。あのスマイルは保存用として役立った訳だ。
神奈川県警のホームページには免許証に不適正な写真の例が掲出されていた。色つきの眼鏡をかけている、前髪で目が隠れてしまう、目を閉じている、などと並んで「笑顔」も不適正となっていた。(https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mes83068.htm)
結論:免許証の写真を笑顔にする事は出来ない。
編集部ブログから:
>>もっと前のバックナンバー
デイリー無間地獄とは、デイリーポータルZの記事を絶え間なく見せられ続けるという地獄のような機能です。