こころの棒の目を開け
今回、18周年を記念し棒を特集することになったわたしたちデイリーポータルZ。
そうか棒か~なにか棒の記事ネタないかなあ~と思い始めてすぐに見つかったのがこのお菓子たちだった。
棒のネタを探す、棒アイで世の中を見ることで、見えていなかった棒が急激に立ち上がり見えはじめたということだと思う。
つまり、おそらく我々は普段から棒に囲まれ暮らしているのだ。それを実感した。
東京の五反田に南米の食材店がある。先日近所まで行く用があったのでこれはと立ち寄った。
そこで見つけたのが「タピオカビスケット棒」だ。
タピオカがビスケットで棒。どういうことなんだ。
そのほか、「小枝」ならぬ「枝」、「バトン」という名のチョコの棒など3本立ててご紹介します。
こちらがその「タピオカビスケット棒」だ。
タピオカというと最近では飲み物に入った大粒のもちもちした玉のことを指すのが一般的になった。
そしてビスケット。イメージ的には森永のマリーのような、丸くて穴の開いた甘い焼き菓子を思い浮かべる。
そして棒。
それら三つが合わさった、タピオカビスケット棒とは一体どういう状況なのか。
パッケージには「焼菓子」とある。シンプルにしょっぱくザクザクした食感のお菓子で、言葉のイメージとしてはスナック菓子というほうが近い。
同じくブラジルの、もちもちしたチーズ味のパン、ポンテケージョをさらに焼いたような味。ポテトチップスなどのスナック菓子と比べると油っこさはあまりない。
調べてみるとブラジルの定番お菓子で、キャッサバ粉で作られているんだそうだ。キャッサバはタピオカの原料でもある。
リング状に成型したものもあり、それに対しての「棒」ということのようだ。
タピオカビスケット棒とは唐突な名前だな! と思ったが、内情が分かると完全に納得してワーワーする心が静かになる。
単純にすごくおいしい棒だった。
「小枝」といえばもはや木の枝よりもチョコ菓子のことを指す。長く日本で暮らしている人の間にはそういう共通認識があると思う。
ここで見ていただきたいのがメイドインアルゼンチンのチョコ菓子「Coquet」だ。
アルゼンチンの公用語はスペイン語だが、「Coquet」はフランス語の「かわいい」の意味で名づけられていると思われる。
で、これ、中を開けるとこうだ。
そう、小枝のでかいやつなのだ。並べてみよう。
「小枝」があるならどこかに「枝」があるはずだとは思っていたが、まさかアルゼンチンにあるとは思わなかった。
この枝、かじると3層になっている。
外側のクランチチョコに守られて、2層目にワッフルが、中心部にピーナツらしきフィリングが入っている。
小枝が枝の太さになると中に凝りしろが出ることが分かった。
ていねいなお菓子ですごく甘いけどおいしい。
話をブラジルに戻そう。ブラジルのチョコ菓子に「バトン」というのがある。
輸入菓子らしいポップなデザインでおいしそうだが、これが笑うほどに棒であった。包装を剥くから、見てほしい。
チョコ菓子はこれまでの人生を歩むうえでいろいろと出会ってきたが、ここまで棒らしい棒の状態のものは見たことがない。
棒といわれてぱっと思いつくのは木の棒ではないか(つまり先ほどの枝がそうだ)。しかし概念としては「まっすぐで細長い物」が棒なわけで、つまりこれだ。
凝視すればするほど「棒」をまっとうし体現するかのようなたたずまいに恐れ入る。
今回手に入れたのは3種類。「ミルクチョコレート」と「ホワイトチョコレート」と「ミルク」がある。
「ミルクチョコレート」に加えて「ミルク」があるのがよくわからなかったが、ミルク味は中にミルクフィリングが入っていてなるほど合点がいった。
対してミルクチョコレートとホワイトチョコレートは中になにか入っているような小細工もなく淡々と棒である。
パッケージの有機感からは想像もできない無機的なかっこよさだ。
クリームチーズのKiriを私はモノリス菓子と呼びありがたがってきたが、今後はこのブラジルのバトンもそこに加えたい。
今回、18周年を記念し棒を特集することになったわたしたちデイリーポータルZ。
そうか棒か~なにか棒の記事ネタないかなあ~と思い始めてすぐに見つかったのがこのお菓子たちだった。
棒のネタを探す、棒アイで世の中を見ることで、見えていなかった棒が急激に立ち上がり見えはじめたということだと思う。
つまり、おそらく我々は普段から棒に囲まれ暮らしているのだ。それを実感した。
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