一番かわいいのはじゃがいもだった
今回の8種類の中で一番棒グラフなのはきゅうりとニンジン、一番かわいいのはじゃがいもだった。
『棒グラフを作りたいのに手元にちょうどいい棒がない』
そんな時は、棒の代わりに野菜を使ってみるのはどうだろうか。野菜なら、スーパーに行けば売っているし使い終わったら食べられる。栄養も満点だ。
『でも、どんな野菜を使っていいか分からない』
そんな方のために、棒グラフに使える野菜を調べてみた。
調べた野菜はこちらの8種類である。
棒状のものを中心に、且つ幅広い野菜を集めた。棒グラフに向いている野菜が必ずしも棒状であるとは限らないと思ったからだ。外見だけじゃ分からないことがたくさんある。それを僕は知っている。
それでは、棒グラフ度が低いものから順に紹介します。
あんな前置きをしておいて結局丸い野菜が最下位にきた。
棒グラフの様に配置して棒グラフの要素を加えてみたが、全然棒グラフじゃない。まず数値がどこなのかよく分からない。丸いからだ。置き方によって数値が変わりそうなのも見ていてモヤモヤする。納得の最下位である。
(以下、こんな感じで野菜が棒グラフになるか見ていきます。グラフのタイトルに『世界の人口』と入れていますが、野菜が示す値は正しくないのでお気をつけください。正しくは2020年が77億9,500万人、2019年77億1,300万人、2018年76億3,100万人だそうです。総務省統計局『世界の統計2020』より)
そして僅差で最下位を免れたのはじゃがいもである。
じゃがいもを背の順に並べる時間のなんと贅沢なことかと思う。窓から入ってくる秋の風が心地よかった。
タマネギよりいくらか棒グラフらしい。何もなかったら最悪、棒グラフに使えないこともないな、とも思う。
しかし使う際は倒れやすいので注意が必要だ。
この光沢は良い。「僕は情報を伝えるためだけのただの棒ですよ」という、棒グラフの持つクールなスタンスを完璧に再現している。やはり棒状であれば何でもいい、というわけではないのだ。
質感はとてもいいだけに歯がゆい気持ちになる。やる気はあるし真面目そうなのに、家がものすごく遠い大学生がバイトの面接に来た感じだ。素質はあるのでうまく自分の道を見つけられるように頑張ってほしい。
そして同じく40点なのが小松菜である。
下半分はすごく棒グラフっぽいのに上の葉っぱの部分が全然棒グラフじゃない。どうした、と思う。下半分のまっすぐ「ニョキ」っとした感じのまま、行ってくれよ。「ワサワサー」じゃないんだよ。
これもすごく歯がゆい。いいものを持っているだけに、どうしてそうなってしまったんだ、という憤りがある。しかしピーマンも小松菜も、こうなるだけの理由がそれぞれあるのだろう。みんながみんな、棒グラフになるために生まれてきたわけではないのだ。
そして、次に来るのはなんと長ネギである。
いまいちだった理由は、並べて見ると分かると思う。
さすが名前に「長」と付くだけある。細長すぎて棒グラフに見えないのだ。
予めカットされているからか長さの違いもなく、意外と上の部分がワサワサしていてグラフとして見づらい。
完全に棒なのに、棒過ぎるがために60点という結果に落ち着いた。棒は棒でも棒グラフにちょうど良い棒というものがあるのだ。長ネギには指し棒とかつっかえ棒とか、そういう長めの棒としての活躍を期待したい。
6つ目。ここからはかなり棒グラフだった野菜である。
並べずとも分かる棒グラフっぽさ。
しっかり棒状であること、そして値の見やすさに加えて「上昇感」のある野菜だなと思う。アスパラが発する「上に向かって伸びてます」というメッセージが棒グラフにぴったりなのだ。前向きな気持ちになる棒グラフを作れる。
ただ1点だけ注文をつけるとするなら、細過ぎる、という点だろうか。個人的にはもう少し棒1本1本に存在感が欲しい。遠くから見ても分かる棒グラフであって欲しいのだ。
重箱の隅をつつく様な指摘になってしまったが、ほぼ完璧な棒グラフだった。皆さんも、安心して棒グラフとして使っていただいて構わないと思う。
今回、二つの野菜が同率で一位となった。
棒グラフとして完璧で、アスパラに足りなかった存在感も併せ持っていたことから一位となった。
不安な点があるとしたら、曲がったきゅうりがもしあったらそれは棒グラフには向かなさそうだ、ということぐらいだ。それ以外は棒グラフとして本当に完璧な野菜である。
アスパラに勝るほど、そしてきゅうりと並ぶほど棒グラフだろうか、と思ったかもしれない。しかし見ていただきたい。
「棒グラフっぽい野菜だな」ではなく「良い棒グラフだな」と思う。本当に歌が上手い人には「良い歌声だな」ではなくて「良い歌だな」という感想を持つものだが、それと同じことが起きた。
まっすぐであること、存在感があること、そしてこの鮮やかさが棒グラフとしてすごく良いのだ。見やすくて明るい気持ちになる。ちょっと錐状になったこの形も安心感があって良い。
完全な「棒」でなくても良い棒グラフになるのだ、という新しい価値観に気づかせてくれたことに感謝したい。
以上が今回調べた野菜である。棒グラフ度をまとめると以下の様になる。
棒グラフ度
20点 … タマネギ
30点 … じゃがいも(メークイン)
40点 … ピーマン、小松菜
60点 … 長ネギ
90点 … アスパラ
95点 … きゅうり、ニンジン
長ネギが意外と低かったり、ニンジンが意外と高かったりと、個人的には意外でスリリングな結果となった。
棒グラフを作りたいのに手元にちょうどいい棒がないという方は、是非参考にしていただきたい。
今回の8種類の中で一番棒グラフなのはきゅうりとニンジン、一番かわいいのはじゃがいもだった。
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