金色にしようぜ!
折り紙の金色は人気のカラーだ。金色こそ正義。そして、多機能こそ正義なのだ。スマートフォンにより世界は変わった。そういうことなのだ。それがこの金色多機能棒にはある。問題は何に使うかわからないことで、私も扱いに困っている。とりあえず、家の中で無駄に輝いている。
棒というものがある。物干し竿、棒だ。釣竿、棒だ。フランスパン、これもなんだかんだで棒だ。我々の生活は棒により成り立っているのだ。棒なき生活は考えられない。さらに棒はその辺にだって落ちている。
そんなその辺に落ちている棒に高級感を与えたい。生活に密接に関わる棒だからこそ、オシャレでラグジュアリーで、多機能にしたいのだ。棒をアップデートする時期なのだ。
昔は多くの棒が木で作られていた。物干し竿も木の棒だっただろうし、釣竿も木の棒だったはずだ。竹というパターンもあっただろう。竹は草本なのか、木本なのか悩むところだけれど、ジャンルとしては木だ。
何が言いたいかというと、我々の棒の出発点は木なのだ。そして、河川敷に行けば木は普通に落ちている。流れてきた木もあるし、街路樹の枝的なものが落ちていることもある。我々は棒を簡単に手に入れることができるのだ。
ただ時代を考えて欲しい。木の棒では少し時代遅れなのではないだろうか。キャンプでもグランピングというちょっとオシャレなものが流行り、スマートフォンは電話でありながら多機能。そういうことなのだ。棒にもそのような進化が必要だと思うのだ。
見慣れた木の棒を拾ってきた。これでは時代が止まっている。茶色だもの。オシャレではないし、ラグジュアリーでもない。時代に合っていないと言える。木のぬくもりが、という考えもあるだろう。しかし、そんなのは無視だ。
考えて欲しい。「金(きん)をあげる」と言われたとしたらどうだろうと。欲しいじゃない。とても欲しいじゃない。あるいは参加することに意味があるとしても、金を狙って走る。その姿は美しく、我々は感動する。それと同じように誰もが金を求めているのだ。
茶色い木に何度も、何度も、金色を吹きかけた。木の風合いを消すために、何層にも金色を重ねるのだ。金色を吹きかけた数だけ、木の棒は、オシャレでラグジュアリーになる。ここで手を抜いてはダメなのだ。もはやこれは木の棒ではない。それを超えた何かなのだ。
とにかくツヤを出したい。ツヤこそが正義なのだ。ツヤの数だけ幸せが生まれる。拾ってきた状態ではツヤはなかった。だからこそ、我々の手でツヤを作り出してあげなければならない。木の棒のアップデートとはそういうことなのだ。
ただの木の棒だったものが、金色に輝く、ゴージャスでラグジュアリーな棒へと変わった。もはや彼は木ではなく、金に輝く何かになったのだ。美しく、昼間の光に輝く棒にうっとりとしてしまう。拾ってきた状態ではなかった輝き。この輝きを我々は守って行きたい。
しかし、これではまだダメだ。少し前なら、金色の棒ということで、ある程度の地位を確保することができただろう。しかし、時代は進み令和である。金色であるだけではダメなのだ。ポイントは多機能であることだ。
以前は、たとえば音楽を聴くにはプレイヤーが必要で、暗闇を照らすには懐中電灯が必要だった。しかし、今はスマートフォンが全てをこなしてくれる。小さくて持ち運びも便利。これがスタンダードな世界になったのだ。棒もそうでなければならない。
ただの木の棒が金色の棒となり、最終的な「金色多機能棒」となった。漢字が6つも並ぶ。それだけ素晴らしいものになったということだ。あえてカタカナにしない、「金色多機能棒」なのだ。金色は「こんじき」と読む。
木の棒にはなかった性能がこの「金色多機能棒」にはある。まず完成の写真からもわかるように、どこかにかけることができる。なぜならフックがついているから。ただの木の棒は立てかけると倒れるけれど、こちらはかけることができるのだ。なぜならフックがついているから。
さらに自転車のベルも付いている。自転車には乗っていないのに、自転車のベルを鳴らすことができるのだ。ちょっと音がなくて寂しいな、と思った時に鳴らせばいいのだ。ベルの音は銀色の音色と言える。銀色は「しろがねいろ」と読む。
さらに時間によって色が変わる照明までついているのだ。我々の人生では、ちょっとイカしたカラフルな照明を欲しいと思うことが多々ある。具体的にいつなのかは、ちょっと思いつかないけれど、あるのだ。そんな時に役に立つ。
この照明には暗闇を照らし、安全な足元を作り出すという明るさはない。あくまでも雰囲気を重視している。金色の棒は雰囲気を作り出すのだ。それを知って欲しい。雰囲気作りにこの棒なのだ。
また持ち運びも便利だ。我々は持ち運びを重視している。スマホやノートパソコン等で考えるとよくわかるけれど、小さかったり、軽かったりするものを好む。それは持ち運びが楽だから。もちろんこちらの棒もそれについて考えられている。
暗闇でこの棒を落としたらどうしようと思うだろう。せっかくの金色多機能棒を失ってしまう。我々は失いたくない。もう何も失いたくないのだ。金色多機能棒を常に我々は手にしていたいのだ。
照明の周りにある紙粘土は光る紙粘土なのだ。暗闇で浮かび上がるかすかな光。この光により、暗闇でもし金色多機能棒を落としても見つけることができるという仕組み。考えられた棒なのだ。考え抜かれた棒なのだ。金色多機能棒なのだ。
この棒は完璧だ。しかし問題はある。それは、「これはなに?」ということだ。何に使うのかわからない。使い道がわからない。ただ金色で多機能なのだ。それだけを評価して欲しい。今までの木の棒にはなかった要素なのだから。認め合うことが明るい未来を作り出すのだ。
折り紙の金色は人気のカラーだ。金色こそ正義。そして、多機能こそ正義なのだ。スマートフォンにより世界は変わった。そういうことなのだ。それがこの金色多機能棒にはある。問題は何に使うかわからないことで、私も扱いに困っている。とりあえず、家の中で無駄に輝いている。
・マイクスタンド芸を身につけるために必要な3つのこと(江ノ島茂道)
・ドラムスティックのような野菜スティックを作る(ネッシーあやこ)
・ランチやってますののぼりがあればランチをやってるように見えるのか(林雄司)
・特製麺棒付き! 山田うどんの手打ちキットを試してみた(玉置標本)
・河川敷で拾った木の棒を金色にして多機能にする(地主恵亮)
・「現状品」のフルートを落札しました(安藤昌教)
・棒グラフにしやすい野菜は何か(トルー)
・ヤクルトファンが好きな棒(べつやくれい)
・タピオカビスケット棒、他(古賀及子)
・山でよく見る棒(松本圭司)
・森にかっこいい枝を探しに行く(井口エリ)
・リコーダーについているあの棒を死ぬ前に正しく使いたい(いまいずみひとし)
・ハンコを作る(ヨシダプロ)
・棒人間を作ったぞ(ぬっきぃ)
・内部のひみつの音が聞こえる棒、「聴診棒」(石川大樹)
・これから働く人にバトンを渡しに行った(スズキナオ)
・おつまみDon't think棒(パリッコ)
・受肉せよ!サラミスティックロボ(藤原浩一)
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |