とくべつ企画「おもしろがり力」 2020年5月29日

飲み屋の「自称」を愛でる

日用品の買い出しに、普段あんまり行かない方面のスーパーに行ってみようと思って街を歩いていたところ、とある飲み屋の看板が目にとまりました。

飲み屋の看板ってよく、店名の前に「呑み処」なんていう「自称」が書いてあるじゃないですか? その店の看板には「即席割烹」と書いてあった。即席割烹? 割烹っていわゆる、ちょっといい料理屋さんって感じですよね。そこに「即席」がつくとどうなるんだ? 即席ラーメンみたいなインスタント食品を割烹料亭風に出してくれる店? 考えるほどに頭が混乱してきたぞ。

そんなことがあってあらためて眺めてみると、街には独特の「飲み屋の自称」があふれています。飲み屋には行くことがなかったこの2ヶ月だったけど、看板の自称を愛でるという楽しみかたならできる。家から散歩がてらに行ける範囲内でもかなり種類豊富だった、飲み屋の自称たちをご紹介します。

ちなみに今回は、おもしろい店名などの情報が加わると気が散ってしまうので、自称以外の情報はすべて伏せてお送りします。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:「羽つき○○」をあれこれ試してたら新しいピザが生まれた話


割烹系

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「割烹」

シンプル。

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「即席割烹」

これ! 「即席」を辞書で調べてみると「その場ですぐにすること」とあります。って、大抵の飲食店はそうなんじゃないか?

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「すたんど割烹」

もう、なんなの!?

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「からあげ割烹」

割烹の概念が崩壊していく!

ちなみに上の「からあげ割烹」はすいません、飲み屋じゃなくて、テイクアウト専門のチェーンのから揚げ屋さんの看板にしれっと書いてあったもの。こんな機会じゃなければ絶対気づかなかっただろうな~。

居酒屋/酒場系

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「居酒屋」

 ザ・王道。

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「海鮮居酒屋」
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「炭火焼居酒屋」

丁寧に説明をプラス

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「和風居酒屋」

居酒屋に「和風」いるぅ? と思いきや、

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「洋風居酒屋」

もあるわけで、和風を強調したくもなるか。

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「JAPANESE TAVERNS」

TAVERNSとは英語で居酒屋のこと。つまりは、洋風「和風居酒屋」。

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「大衆酒場」

これも王道。以下はその派生。

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「ごちそう酒場」
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「兄弟酒場」
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「酒馬」

看板で誤字? ではなく、馬肉料理専門の酒場のようです。

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「酒房」
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「厨房」
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「酒蔵」

どれもよく見る気がするけど、書き出してみるといろいろあるもんだなぁ。

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「小料理」

これもよく見る自称ですが、そんなことより横の「おとうふのいたずら」が気になりすぎて! なんか消そうとしてあるけどぜんぜん消えてないし!

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家系

自称をあれこれ愛でるなかで気がついたのが、意外と多い「家系」の存在。こういうのです。

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「台所料理の店」

外食店でありながら、家庭の味を主張するタイプ。故郷を出てきてひとり暮らしをする若者なんかに対しての、店主のあふれる優しさなのかもしれませんね。

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「おうちごはん」
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「創作おうちダイニング」

まさか「創作」と「ダイニング」の間に挟まれるとは予想していなかったでしょうね。「おうち」も。

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「沖縄家庭料理居酒屋」

東京で沖縄の家庭料理が食べられるとなると、がぜん魅力的。

説明が親切

お次は、ぱっと見で「あぁ、そういう店か」とわかる、説明が親切な自称たち。

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「酒と肴の店」

たいていの飲み屋がそうですけども。

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「酒も肴も旨い店」

「酒は旨いが肴はまずい店」とかあったらむしろ気になる。

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「焼酎&梅酒バー」

そのふたつが好きな人にとってはたまらんでしょう。

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「肉と小料理の酒場」
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「旬魚旬菜手打ちそば」
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「立ち呑み屋さん」

あ~わかりやすい!

〇〇処

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「お食事酒処」

「酒処」ってのも超王道ですよね。この〇〇処が、思った以上にいろいろありました。

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「呑み処」

酒処と並ぶ、2大〇〇処。

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「お食事・呑み処 定食屋」

3つも名乗るなんてよくばり!

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「呑み喰い処」

このあたりで気がついたんですが、「処」がつくと「飲み食い」が「呑み喰い」になりがち。

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「呑み喰い処」
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「呑み処 喰べ処」

ほらね。ストレートよりちょっと小粋な感じがするからでしょうか?

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「のみくい うたい処」

要するにカラオケ居酒屋だ。

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業態は一緒だ

〇〇処はまだまだあります。

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「肴処」
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「味処」

このあたりは、酒より料理に力を入れているタイプかな。

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「酔い処」

こちらはその逆。潔くていいですね~。

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「くつろぎ処」
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「楽処」

お客さんに求める状態+処。

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ちょっと分類の難しかった自称たち。

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「酒味」

しゅみ、と読むのかな? 酒にも味にも自信があるのに、「いえいえ、うちなんて趣味でやってるようなもんですから」と謙遜もしているような?

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「きまぐれ Diner」

いいと思う。

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「くいしんぼうバル」

店主と客、どっちが?

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「歌えるビストロバー」

要素多いな!

パブ/スナック系

飲み屋のなかでも特に言ったもん勝ちな空気なのがこのジャンル。もはや正確な分別は不可能ですよね。

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「スナック」

王道の貫禄。

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「カラオケSNACK」

たいがいのスナックにはカラオケがあるもんだけどね。

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「ファミリースナック」

家族連れで行けるほど気さくなスナックということ? それとも、親子3代家族経営のスナック?

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「スナキャバ」

スナック+キャバレーでしょうが、こういう造語は日本全国いくらでもありそう。そういえば前にどっかの駅前で「イザック」ってのも見たな。無論、居酒屋+スナックだと思われ。

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「パブ」

スナックとの明確な違いがわからないけどこれもよくある、パブ。

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「カラオケPUB」

日本人って本当カラオケ好きね。

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「レストランパブ」

急に威厳が増す感じ。

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「パブスナック」

う~ん、ギブアップ!


というわけで、地元だけでもこれだけ見つかった飲み屋の自称。写真を撮り集めるにつれ、「うわ、レア発見!」みたいな興奮も感じて、どんどん楽しくなっていきました。

かなりコレクション性の高い趣味になりそうなので、今後もいろんな街で愛で続けていきたいと思います。

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今回集めたなかでもっとも特殊だった自称
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