集めてから考える
Wi-Fiっぽく見える地面の写真を集めていただけなのに記事になった。集め始めたきっかけは「なんか面白そう」というぼんやりしたものだったが、こうして集めてから考えるといろんな知見に出会えるものだ。今回はとコンクリートの施工方法と江戸時代の職人に出会えた。これからも何かしらを集めていきたい。
街を歩いていると、Wi-Fiっぽく見える地面に出くわすことがある。私はこれらを見つけるたびに写真に撮っている。
できれば上を向いて歩くような人生がいい。でも実際には下ばっかり見て歩いており、たまにWi-Fiっぽい模様に遭遇する。これを私は野良Wi-Fiと呼んでいる。たまによく分からないカフェとかコンビニのWi-Fiを拾ってしまってパニクることがあるが、今回はその野良Wi-Fiのことではない。もっと目に見えるWi-Fiだ。
私が野良Wi-Fiに出くわすのは3か月に1回ぐらい。意外と少ない。これらを集め始めたのは10ヶ月前からである。そして、驚くべきことにもうストックがない。ここまでお見せした3枚の写真しかまだ集まっていないのである。
集めた写真は少ないが、それでも考えることは結構ある。例えば、
このあたりを一個一個見ていきます。
タイルと言えば同じ大きさの四角を敷き詰めるのが一般的だ。しかし、野良Wi-Fiでは微妙に大きさの違うタイルを、位置や向きを調整しながら敷き詰めて扇形を作っているように見える。これ、もしかしたらすごい技術なのでは?
Wi-Fiに接続してインターネットで調べたところ、「スプレーコンクリート」や「スタンプコンクリート」というキーワードにたどり着いた。施工業者さんが解説しているページがいくつか出てくるので、それを見て納得した。
スプレーコンクリートは、模様をかたどった枠の部分をあらかじめ地面にマスキングしておき、上からコンクリートのスプレーを吹き付ける。すると、枠以外の部分だけにコンクリートが定着する。
一方、スタンプコンクリートは、固まる前のコンクリートに模様の型を押し付けるというものだ。いずれにしても、職人が丁寧にタイルを敷き詰めているわけではなかった。そりゃそうか…。
カメラアングルを可能な限り補正したうえで、角度を測ってみた。
ざっくりな計測ではあるが、なんと、どれも大体105°だった。ひょっとして黄金比みたいなものが角度の世界にもあるのか?と思って調べたところ、実際に「黄金角」というものが存在するらしい。しかしそれは約137.5°だった。105°はいったい何なんだ…。
こうなると本物のWi-Fiのロゴの角度も気になってくる。
デザインとか建築のことはよくわからないが、なんとなくWi-Fiの方向に歩きたくなる。視線誘導というのだろうか。
残念ながらWi-Fiをどこで撮ったのかを覚えていないのでこれ以上確認することはできない。写真を撮る時に位置情報を付加しておけばよかった。
くわしいことは知らないが、そういう和柄があった気がする。和柄を知らない人が「Wi-Fiだ」と言っちゃうやつ。調べたところ、青海波文様というらしい。
インターネットでも調べたところ、青海波文様は飛鳥時代にシルクロードを伝ってペルシャから日本に伝来したともある。そして、それを江戸時代中期に青海勘七が巧みに描いたことで広まったようだ。
Wi-Fiっぽく見える地面の写真を集めていただけなのに記事になった。集め始めたきっかけは「なんか面白そう」というぼんやりしたものだったが、こうして集めてから考えるといろんな知見に出会えるものだ。今回はとコンクリートの施工方法と江戸時代の職人に出会えた。これからも何かしらを集めていきたい。
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