とくべつ企画「おもしろがり力」 2020年5月25日

まだ読んでない本の目次を面白がる

本を買い、読まずに積んでおくことを「積ん読(つんどく)」と言ったりする。私はその「積ん読」をものすごくしてしまう方である。

面白そうな本をとりあえず買い、そういうものがどんどんたまっていく。興味があって買った本なのだからもちろん読みたいのだが、日々の雑事に気をとられるうちに時間が過ぎていく。

そこで、まだ読めてない本の目次だけでもせめて面白がれたら、その勢いで読書が進んでいくんじゃないかと思い、試してみることにした。

大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー)

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ずっと読めてない本がたくさんある

読んだら絶対面白いはずの本が部屋にたくさんあるのに、ずっと読めていない。そもそも本って読むのにかなり時間がかかる。私は人と比べて読むスピードが遅い方なのでなおさらだ。読んでいく量より買っていく量の方が断然多いのだから当然の結果として未読の本がたまっていく。

せっかくの面白い本が私の手元に来てしまったばっかりに……と、「宝の持ち腐れ」という言葉も浮かんでくるが、まあ落ち込んでも仕方ない。いつか必ず読む!だから今は目次だけをとりあえず面白がり、必ず読むぞ!という気持ちを高めていきたい。

部屋にある大量の未読本の中から、目次からして面白がれそうなものを選んでみた。

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さあみんな、目次を見せてくれ!

例えばこの本である。

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筏丸けいこ『人間ポンプ : ひょいとでてきたカワリダマ園部志郎の俺の場合は内臓だから(フラミンゴ社)』

金魚や碁石を飲みこみ、自由自在なタイミングで吐き出すという体を張った芸が「人間ポンプ」だ。その人間ポンプ芸人として活躍した園部志郎という人の来歴を著者の筏丸けいこさんが聞きとってまとめた一冊。絶対に面白い。

目次を開いてみよう。

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目次からしてめちゃくちゃ面白い!

「体温の中では肛門がいちばん高い」「まずお披露目は金魚を二匹飲んで、教師にしかられる」と、どこで読んだこともないようなフレーズが目次に並んでいる。この本をまだ読まずにいた自分が情けないほどである。このまま読み始めたいところだが、今回は目次のみを面白がることにしているので先を急ごう。

目次が私たちに語りかける

次はどうだろうか。

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新井由己『とことんおでん紀行(凱風社)』

「おでん」とひとくちに言っても、使う食材や味付けなどは地域によって様々。著者の新井由己さんが北海道から沖縄、さらに韓国や台湾にも足を伸ばして各地の「おでん」を検証し、食文化の奥深さに迫る一冊。

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目次にたどりつく前から確実に面白そう

さて、気になる目次である。

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うーん、絶対面白そう

第7章「からし味噌の空白地帯」の中の「からし味噌の登場」「黒潮に乗った鰹節」とか、なんとも面白そうだ。何が書かれているのか、想像をくすぐられる。

次はこちらの本だ。

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塔島ひろみ『鈴木の人(洋泉社)』

日本有数の“平凡な名字”である鈴木。その鈴木姓を生きる人々を色々な方向から探求する一冊。これはもう、鈴木の人である私は絶対にすぐ読んでおかなければならない本だろう。なぜ今まで読んでいなかったのか、自分が嫌になる。

目次はこうだ。

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うわー!面白そうだよー!

「小池になった鈴木さん」「鈴木文学へのいざない」「鈴木あんぱん巡り」……、この目次を見て「ちょっと今すぐその本貸して!読ませて!」という方もいらっしゃるんじゃないだろうか。素晴らしい目次である。

こんなテーマの一冊はどうだろう。

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久野健『仏像と仏師の話(学生社)』

かなり前に手に入れた本だけど、未だに読めていない。仏像にも仏師にも興味がないわけではないのだが……。

目次を見てみる。

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「大仏の造り方」、気になる

これまでの本よりは渋い目次だが、「大仏の造り方」という、ちょっとレシピのようなフレーズが輝いて見える。大仏、どうやって作るんだろう。気になる!

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読みたくてウズウズしてくる目次

こんな本の目次はどうだろう。

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斎藤たま『便所の民俗誌(論創社)』

著者の斎藤たまさんが便所にまつわる日本各地の風習を収集した本だそうである。目次を開いてみる。

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便所の話ばっかりだ

「便所の周辺」という章に、一見するとなんのことかわからない言葉が並んでいる。「便所で転ぶと」どうなるんだろうか。今すぐ読みたくなる。

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中村浩『糞尿博士・世界漫遊記(社会思想社)』

微生物学者の中村浩さんが、無限の栄養資源として糞尿のことを研究し、世界中の研究者と交流する日々を描いたコラム集。

目次はどうだろうか。

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全部面白そう

「宇宙旅行と糞尿」という時点で興味をそそられる。開いたページにどんな文章が待っているというのか。「便所から糞尿」という流れになってしまって申し訳ない。しかしこれも絶対に面白そうな本だ。

最後にこちらはどうだろう。

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管野邦夫『山菜手帖(平凡社)』

タイトル通り、日本の山でとれる山菜について解説した本らしいが、目次はどうか。

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山菜の名前がたくさん

「ニリンソウ」「ナツハゼ」「ニワトコ」など、私には馴染みの薄い山菜の名前がずらりと並んでいる中、「山菜おぼえがき」というコラムページの中の「うまくないものは食わない」「山菜とりのマナー」や、ちょっと意味深な「ぜいたくにあきて」なんか、中身を読んでみたくなる。

と、今回紹介したものの他にも色々な本の目次を見ていったのだが、一見しただけで面白い目次も、あくまで中身を想像させるに留めるようなシンプルな目次も、どちらも見ているだけでかなり楽しかった。本の中には自分の知らない世界が広がっていて、目次は道案内の看板みたいなものだ。ありがとう目次。

さあ、あとはいよいよ中身を読むだけだ!と思いつつ、今日はとりあえず積んでおこう。


「これは面白そうな本だ!」と思って自分が買った本なのだから、目次も面白そうに思えて当然なのかもしれない。

しかし、今回こうして目次を読み込んでみたことで、自分の中の読書欲がふつふつと湧き立ってきたのは事実である。無駄ではなかった。

「家に未読の本がたくさんあってどれから読むか迷う」という人は、とりあえずパラパラと目次だけを見て、その時の自分にとってピンとくるものを選ぶのがいいかもしれない!

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