「これは面白そうな本だ!」と思って自分が買った本なのだから、目次も面白そうに思えて当然なのかもしれない。
しかし、今回こうして目次を読み込んでみたことで、自分の中の読書欲がふつふつと湧き立ってきたのは事実である。無駄ではなかった。
「家に未読の本がたくさんあってどれから読むか迷う」という人は、とりあえずパラパラと目次だけを見て、その時の自分にとってピンとくるものを選ぶのがいいかもしれない!
本を買い、読まずに積んでおくことを「積ん読(つんどく)」と言ったりする。私はその「積ん読」をものすごくしてしまう方である。
面白そうな本をとりあえず買い、そういうものがどんどんたまっていく。興味があって買った本なのだからもちろん読みたいのだが、日々の雑事に気をとられるうちに時間が過ぎていく。
そこで、まだ読めてない本の目次だけでもせめて面白がれたら、その勢いで読書が進んでいくんじゃないかと思い、試してみることにした。
読んだら絶対面白いはずの本が部屋にたくさんあるのに、ずっと読めていない。そもそも本って読むのにかなり時間がかかる。私は人と比べて読むスピードが遅い方なのでなおさらだ。読んでいく量より買っていく量の方が断然多いのだから当然の結果として未読の本がたまっていく。
せっかくの面白い本が私の手元に来てしまったばっかりに……と、「宝の持ち腐れ」という言葉も浮かんでくるが、まあ落ち込んでも仕方ない。いつか必ず読む!だから今は目次だけをとりあえず面白がり、必ず読むぞ!という気持ちを高めていきたい。
部屋にある大量の未読本の中から、目次からして面白がれそうなものを選んでみた。
例えばこの本である。
金魚や碁石を飲みこみ、自由自在なタイミングで吐き出すという体を張った芸が「人間ポンプ」だ。その人間ポンプ芸人として活躍した園部志郎という人の来歴を著者の筏丸けいこさんが聞きとってまとめた一冊。絶対に面白い。
目次を開いてみよう。
「体温の中では肛門がいちばん高い」「まずお披露目は金魚を二匹飲んで、教師にしかられる」と、どこで読んだこともないようなフレーズが目次に並んでいる。この本をまだ読まずにいた自分が情けないほどである。このまま読み始めたいところだが、今回は目次のみを面白がることにしているので先を急ごう。
次はどうだろうか。
「おでん」とひとくちに言っても、使う食材や味付けなどは地域によって様々。著者の新井由己さんが北海道から沖縄、さらに韓国や台湾にも足を伸ばして各地の「おでん」を検証し、食文化の奥深さに迫る一冊。
さて、気になる目次である。
第7章「からし味噌の空白地帯」の中の「からし味噌の登場」「黒潮に乗った鰹節」とか、なんとも面白そうだ。何が書かれているのか、想像をくすぐられる。
次はこちらの本だ。
日本有数の“平凡な名字”である鈴木。その鈴木姓を生きる人々を色々な方向から探求する一冊。これはもう、鈴木の人である私は絶対にすぐ読んでおかなければならない本だろう。なぜ今まで読んでいなかったのか、自分が嫌になる。
目次はこうだ。
「小池になった鈴木さん」「鈴木文学へのいざない」「鈴木あんぱん巡り」……、この目次を見て「ちょっと今すぐその本貸して!読ませて!」という方もいらっしゃるんじゃないだろうか。素晴らしい目次である。
こんなテーマの一冊はどうだろう。
かなり前に手に入れた本だけど、未だに読めていない。仏像にも仏師にも興味がないわけではないのだが……。
目次を見てみる。
これまでの本よりは渋い目次だが、「大仏の造り方」という、ちょっとレシピのようなフレーズが輝いて見える。大仏、どうやって作るんだろう。気になる!
こんな本の目次はどうだろう。
著者の斎藤たまさんが便所にまつわる日本各地の風習を収集した本だそうである。目次を開いてみる。
「便所の周辺」という章に、一見するとなんのことかわからない言葉が並んでいる。「便所で転ぶと」どうなるんだろうか。今すぐ読みたくなる。
微生物学者の中村浩さんが、無限の栄養資源として糞尿のことを研究し、世界中の研究者と交流する日々を描いたコラム集。
目次はどうだろうか。
「宇宙旅行と糞尿」という時点で興味をそそられる。開いたページにどんな文章が待っているというのか。「便所から糞尿」という流れになってしまって申し訳ない。しかしこれも絶対に面白そうな本だ。
最後にこちらはどうだろう。
タイトル通り、日本の山でとれる山菜について解説した本らしいが、目次はどうか。
「ニリンソウ」「ナツハゼ」「ニワトコ」など、私には馴染みの薄い山菜の名前がずらりと並んでいる中、「山菜おぼえがき」というコラムページの中の「うまくないものは食わない」「山菜とりのマナー」や、ちょっと意味深な「ぜいたくにあきて」なんか、中身を読んでみたくなる。
と、今回紹介したものの他にも色々な本の目次を見ていったのだが、一見しただけで面白い目次も、あくまで中身を想像させるに留めるようなシンプルな目次も、どちらも見ているだけでかなり楽しかった。本の中には自分の知らない世界が広がっていて、目次は道案内の看板みたいなものだ。ありがとう目次。
さあ、あとはいよいよ中身を読むだけだ!と思いつつ、今日はとりあえず積んでおこう。
「これは面白そうな本だ!」と思って自分が買った本なのだから、目次も面白そうに思えて当然なのかもしれない。
しかし、今回こうして目次を読み込んでみたことで、自分の中の読書欲がふつふつと湧き立ってきたのは事実である。無駄ではなかった。
「家に未読の本がたくさんあってどれから読むか迷う」という人は、とりあえずパラパラと目次だけを見て、その時の自分にとってピンとくるものを選ぶのがいいかもしれない!
とくべつ企画「おもしろがり力」
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5/25(月)
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