トイレマーク、その奥深き存在
このようにトイレマークは時代、地域によって多種多様だ。トイレマークからそれがある場所やそれが付けられた時代もなんとなく分かる。
元々トイレマークが単純なもので、形を変えやすいということもあるだろう。
ただ、下のような例を見ると、ただ多種多様であればいいというのでもない気がする。
トイレを表すトイレマーク。どこで見ても同じように思えるかもしれないが、実はよく見ると結構種類があって面白い。
今日は、そんなトイレマークの奥深い世界を紹介しよう。
でも、よく探してみると・・・
山に囲まれた相模湖駅のトイレである。登山客が多いからか、トイレマークも登山をしている。可愛い。
これを見て、トイレマークにはご当地トイレマークなるものがあると気がついたのだ。
これは、熱海を舞台にした尾崎紅葉の小説『金色夜叉』の登場人物である貫一とお宮がモチーフになっている。風流哉。
さらに
日本人初のオリンピック選手で、去年の大河ドラマの主人公でもあったマラソン選手・金栗四三の博物館にあったトイレマーク。金栗四三ミュージアムは大河ドラマの終了と共に閉館したので今はもう見られない。貴重な一枚だ。
このように、各地にご当地ゆかりのなにかをモチーフにしたトイレマークがある。
ご当地トイレマークはかなり形が変わっているので、トイレマーク鑑賞の入りとしては最適である。これがだんだんご当地ではないトイレマークも面白く見えてくるから不思議なものである。例えばこんなのはどうだ。
なんともいえない曲線感に萌える。
今度は鋭い。肩パッド?バブル?
もこもこしている。女性のスカートは中心の楕円からちょっとだけ三角形が飛び出しているだけで、控えめの表現。
デザイン性がとても高い。
また、女性の足が分かれていることにも注目して欲しい。普通のトイレマークだと、女性の足は一本の線として書かれる場合が多いのだ。
探せば無数の形がある。トイレマーク、奥深い。
トイレマークを探しているうちに気がついたことがある。
トイレマーク、現代になるにつれて徐々にシンプルになっているということだ。
今我々が知っているトイレマークが初めて使われたのは、一説によると1964年の東京オリンピックのときだという。すでに50年以上の歴史があるわけだ。当然古いトイレマークもある。例えば、少し古めのトイレにいくと、こんなものも。
我々が現在見ているマークからすると、かなり具体的な柄である。
同じように具体的な柄のトイレマークでも、また違いがある。
こうした具体的な柄がある施設は、少し古めの施設が多い。新しい施設ではこうした具体的なマークよりも、もっと抽象的でシンプルな造詣が好まれる傾向にあるようだ。
例えば勝鬨の新しいタワーマンションではこんなマークを発見した。
そして、その極北にあるのが、これだ。
ここで私は、トイレマークを構成する最小単位が「△」と「◯」ということに気がついた。▽を◯をくっつければ男性に、△と◯をくっつければ女性になる。これだけでトイレマークが完成するのだ。
これは、現代トイレマークが行き着いた新しい地平である。
「タキシードとワンピース」から「△と◯」へ。トイレマークは単純化する。この先、どのようなトイレマークが生まれるのだろうか。
このようにトイレマークは時代、地域によって多種多様だ。トイレマークからそれがある場所やそれが付けられた時代もなんとなく分かる。
元々トイレマークが単純なもので、形を変えやすいということもあるだろう。
ただ、下のような例を見ると、ただ多種多様であればいいというのでもない気がする。
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