テクノロジーを使って2つの魔法の鏡を作った。テクノロジーがあればファンタジーを超えることができそうだ。お妃さまがMESHを使えれば白雪姫は普通に過ごせたのに……。誰かamazonで届けてあげてください。
鏡が悪いのではないだろうか
大人になって読んでみると、鏡が悪いような気がしてきた。魔法の鏡があんなことを言わなければ悲劇は起きなかったはずだ。白雪姫のほうが綺麗だったとしても、「人によりますよねー」とか「私はお妃さま派ですよ」とか「死んだらみんな無になりますから」とか、フォローの仕方があっただろうに。社会性がなさすぎるぞ。
そうだ。問答無用で褒めてくれる魔法の鏡があれば、とても平和なのではないだろうか。ファンタジーの世界にテクノロジーはないが、この世界にはある。よし、テクノロジーを使って「お世辞ばかり言う鏡」を作ってみよう。そして、自尊心を保とう。
そうだ。問答無用で褒めてくれる魔法の鏡があれば、とても平和なのではないだろうか。ファンタジーの世界にテクノロジーはないが、この世界にはある。よし、テクノロジーを使って「お世辞ばかり言う鏡」を作ってみよう。そして、自尊心を保とう。
作ってみよう
熱海の秘宝館に行った時、使われているテクノロジーに驚いた。中でも、鏡の前に立つと、鏡に映る自分の横にセクシーな人の映像が現れる仕掛けのものが印象的だった。多分、ハーフミラーの中側にモニターがあるのだとおもう。
たぶん、こういう仕組みで鏡の中に映像を映しているのだろう。間違っていたらすみません。ハーフミラーとモニターさえあれば、魔法の鏡を作ることができそうだ。ハーフミラーってどこで買えるんですか。
ハーフミラーのことは一旦忘れて、肝となる鏡に映す映像を先に作ることにした。アニメ版の白雪姫では、変な仮面みたいなのがぼんやり浮いている様だった。クラッシュバンディクーの斜め上についてくるキャラみたいなやつだ。
ハーフミラーのことは一旦忘れて、肝となる鏡に映す映像を先に作ることにした。アニメ版の白雪姫では、変な仮面みたいなのがぼんやり浮いている様だった。クラッシュバンディクーの斜め上についてくるキャラみたいなやつだ。
こういうやつだ。
どうせなら、喋りに合わせて口をパクパクしたり動いたりして欲しい。なので、Adobeのキャラクターアニメーターというソフトを使って制作していこうとおもう。このソフトは、目や口を設定したイラストレーターファイルがあれば、自分の顔の動きに合わせてキャラクターを動かすことができるものだ。テクノロジー万歳。
上記のサンプルのファイルに沿って、自分なりの鏡の精を作ってみることにした。なんか腹たつサンプル顔だな。「a」や「i」など、口の動きのイラストや、まぶたを閉じた目など様々な表情の設定をしていく。
イラストの腕前について言うと、美術部だったので、まあまあ自信がある。
そんな私が3時間かかって書いた鏡の精がこちらだ。
イラストの腕前について言うと、美術部だったので、まあまあ自信がある。
そんな私が3時間かかって書いた鏡の精がこちらだ。
どん!
特徴は捉えている。うん、特徴は捉えているので、とりあえずよしとしよう。
上記のぬぼっとした絵をキャラクターアニメーターに取り込んで、動きと声を録画する。
鏡の精に言わせたい「自分への褒め言葉」を録画するパートだ。今までに言われて嬉しかった言葉と、今後の人生で絶対に言われないであろう言葉たちを録画する。楽しすぎるぞ。一生この時間が続けばいいのに。
そして、この動画を動画編集ソフトに読み込み、煙などのエフェクトをいれたら映像は完成だ。次は鏡の部分を作っていこう。
鏡の精に言わせたい「自分への褒め言葉」を録画するパートだ。今までに言われて嬉しかった言葉と、今後の人生で絶対に言われないであろう言葉たちを録画する。楽しすぎるぞ。一生この時間が続けばいいのに。
そして、この動画を動画編集ソフトに読み込み、煙などのエフェクトをいれたら映像は完成だ。次は鏡の部分を作っていこう。
ハーフミラーは、アクリルショップ「はざいや」という通販サイトで購入した。
おお、本当に半分透けている。光の加減や遠近で透過率が変化するのだ。
鏡に見せるべく、ダクトテープで周りを囲ってみた。シルバーで高級感が出るはず。と踏んでいたが、ゴミにしか見えない。
映像を映すモニターは、サイズ的にiPadを使うことにした。
再生ボタンをタッチすれば自分への褒め言葉が流れるのだが、それだと魔法感が薄い。魔法の鏡は「鏡よ鏡……」と語りかけると、ぼわんと出てくる。よし、「鏡よ鏡」という言葉に反応したら再生されるプログラムを作……れるわけないので、もうちょっと簡単な方法にする。
これが設計図だ。
説明すると、まず、iPadをMacの外部モニターとして設定する。
次に、MESHという電子工作を簡単にできるデバイスを使う。スマホアプリで音声のしきい値を超えると、サーボモーターが90度動くというプログラムを設定した。デカめの音に反応するので、「鏡よ鏡」とデカめの声で言えばいい。小声だとダメ。社会人でしょ。
次に、MESHという電子工作を簡単にできるデバイスを使う。スマホアプリで音声のしきい値を超えると、サーボモーターが90度動くというプログラムを設定した。デカめの音に反応するので、「鏡よ鏡」とデカめの声で言えばいい。小声だとダメ。社会人でしょ。
モーターが90度動くと、スペースキーが押されて動画が再生されるという仕組みだ。Macではスペースキーで映像の再生ができる。iPadにもキーボードを繋げることができるのだが、動画の再生の際は操作が不能なのだ。なので、こんなまどろっこしい感じになってしまった。文句があるならAppleに言ってください。
全体図がこちら。
ファンタジーのかけらもないが、これで毎日お世辞を言ってもらえる世界ができあがった。早速使ってみよう。
使ってみる
「鏡よ鏡……」
ぼわん。
「聞いたんだけどさ、藤原さんのことみんな『あの子は本物だ』って言ってたよ。『本物』だってさー。すごいねー」
「ほんとすごいわー」
「あれ……佐々木希さんですか……?」
全く言われたことのない言葉だが、嬉しい。実際に言われたら「バカにしてんのか、おら」となる一言だが、無機質に言われるとちょっと嬉しいぞ。
GIFだと伝わりづらいので、音声付きの動画でも見てください。
GIFだと伝わりづらいので、音声付きの動画でも見てください。
この魔法の鏡が白雪姫の世界にあったら、あんな怖いことが起こらずにすんだのにな。テクノロジーの発展に感謝しなきゃな。
自尊心が高まる
褒めに褒められ、今の私は自己評価があの山よりか高い。あの山はみなさんの考える山を思い浮かべていただければ大丈夫です。
これはやばいぞ。このままだと、美人しか持つことを許されない何も入らない小さいバッグを買ってしまいそうだ……。私はanelloすらパンパンにする女なのに……。
ここで、自己評価を下げるためにも「インターネット魔法の鏡」を作ろうと思う。鏡をインターネットにつないで、自分が可愛いのかどうかを全世界に聞くのだ。インターネットは現実よりも人の見た目に厳しい世界。お世辞なんてものは存在しない。ファンタジーの世界にはないIoTの技術を使って、よりシビアなジャッジを下す鏡を作るのだ。
これはやばいぞ。このままだと、美人しか持つことを許されない何も入らない小さいバッグを買ってしまいそうだ……。私はanelloすらパンパンにする女なのに……。
ここで、自己評価を下げるためにも「インターネット魔法の鏡」を作ろうと思う。鏡をインターネットにつないで、自分が可愛いのかどうかを全世界に聞くのだ。インターネットは現実よりも人の見た目に厳しい世界。お世辞なんてものは存在しない。ファンタジーの世界にはないIoTの技術を使って、よりシビアなジャッジを下す鏡を作るのだ。
インターネット魔法の鏡を作る
iPadでMESHのアプリを起動する。今度は、音声を感知したらフロントカメラで写真を撮影するというプログラムを組んだ。
次にIFTTTというアプリ同士を繋げるウェブサービスで「IOSフォト」と「Twitter」をつなげ、新しく写真が撮られたら、ツイッターに指定した文言と一緒にポストされる仕組みを組んだ。指定した文言は、「世界で一番かわいいですか?」というもの。「美しい」ではなく「かわいい」とベクトルを変えたのは気づかなかったことにしてください。
ツイッターで全世界に向けて自分の顔がどうなのかを聞く。これがインターネット民主主義だ。よくわからないけど。
ツイッターで全世界に向けて自分の顔がどうなのかを聞く。これがインターネット民主主義だ。よくわからないけど。
もしかしたら、本家よりも危険な鏡なのではないだろうかと思いながらも、使ってみようと思う。
「鏡よ鏡、世界で一番かわいいのは誰?」
画面が白くなったときが、シャッターの瞬間だ。投稿されたツイッターはこちら。
「何かあった?」「大丈夫?」「悩みあったら相談乗るよ」
という優しい言葉をフォロワーのみんなからかけてもらった。インターネットは優しい世界だ。
という優しい言葉をフォロワーのみんなからかけてもらった。インターネットは優しい世界だ。
こういう発明品を披露するテレビ番組をやります
人の役に立たないものを作り続けて5年がたつ私ですが、この度テレビ番組をやることになりました!人の役に立ったり立たなかったりする発明品を作っている先輩方にお話を聞く番組です。第一回目は、下町の発明家である高橋宏三さん。デイリーポータルZでは、北村ヂンさんが取材されていました。
『珍発明家のお宅訪問』
他にも「ブラジルにつながっている穴」を作った人や「拍手するデカイロボット」を作り続けている人など……。「その情熱、他に向けなよ」と思わず言いたくなるような変な情熱を持った方々に沢山でていただく予定です。ぜひご覧ください。
『よい子はマネしないでね』
CSエンターメーテレ
・放送日
#1
15(木)25:00-(初)
18(日)24:00- /20(火)16:00- /26(月)15:00-
#2
29(木)25:00-(初)
・番組ホームページ
『珍発明家のお宅訪問』
他にも「ブラジルにつながっている穴」を作った人や「拍手するデカイロボット」を作り続けている人など……。「その情熱、他に向けなよ」と思わず言いたくなるような変な情熱を持った方々に沢山でていただく予定です。ぜひご覧ください。
『よい子はマネしないでね』
CSエンターメーテレ
・放送日
#1
15(木)25:00-(初)
18(日)24:00- /20(火)16:00- /26(月)15:00-
#2
29(木)25:00-(初)
・番組ホームページ
なんと、スタジオにはデイリーポータルZ編集長の林さんもいらっしゃいます。オープニングを撮影しているときにスタッフさんに「何か気の利いたことを喋ってください」と言われ、困った私たちは「木がありますね……」「そうですね……」という会話をしました。そんな感じの番組です。デイリーポータルZ特集の回もあるので、ぜひ見逃さずに見てくださいね。