特集 2012年10月1日

収穫祭報告~炭酸入りスイカ食べて成人男性にエサをやる実りの秋

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自分でラーメンが製麺できて炭酸入りのスイカが食べられて、おまけに成人男性に餌やりできるの、な~んだ!?

スフィンクスも裸足で逃げ出す難問だが、正解は、去る9月16日に行われた当サイトのイベント「デイリーポータルZ収穫祭」である。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。(動画インタビュー)

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今度は収穫祭だ

このイベント、去年までは「デイリーポータルZエキスポ」という名前で恒例で開催していたイベントだ。当サイトのライター陣がブースを並べていろんな出しものを持ち寄る、文化祭的なイベントである。
去年のエキスポ</a>より。ワラ人形作りワークショップ。
去年のエキスポより。ワラ人形作りワークショップ。
しかし今年、計画段階の打ち合わせで「エキスポって名前、内容がわかりにくくないか」という話になった。その後「文化祭っぽいから文化祭でどうか」「秋だから収穫祭でどうか」という議論を経て改名、「デイリーポータルZ収穫祭」に落ち着いた。わかりやすさ重視の改名だったのだ。
「実り」を意識した今年の収穫祭のバナー画像
「実り」を意識した今年の収穫祭のバナー画像
ところがである。その後「収穫祭」で検索してみると「七面鳥を食べる」「トマトを投げあう」「家畜を追い立てる」など当イベントの内容と全然違う内容ばかりヒットすることが判明。「全然わかりやすくない」「あの打ち合わせは何だったのか」と編集部内で物議を醸すこととなった。そんな曰く付きのイベントである。

一応収穫もあるのだ

とはいえ会場には20を越えるブースがある。中には偶然にも(!?)収穫祭っぽいものもあったのだ。たとえばこれ。
発酵食品を振る舞うコーナー
発酵食品を振る舞うコーナー
飲食店を営むライターの馬場さんが、記事で取り上げた発酵食品を振る舞うコーナーだ。
殴り書きされたメニューには、7品しかないのに「麹」の文字が5回も
殴り書きされたメニューには、7品しかないのに「麹」の文字が5回も
これはウスターソース麹</a>。塩麹、醤油麹に続く第三の麹である。
これはウスターソース麹。塩麹、醤油麹に続く第三の麹である。
今年取れたトマトや今年育った七面鳥を食べるのが収穫祭なら、今年繁殖した麹菌を食べるのも収穫祭ではないか。いきなりスケールがミクロに行ってしまったが、かろうじて収穫祭であるといえよう。

その隣ではもうちょっと等身大の収穫祭が行われていたぞ。
スイカ!
スイカ!
果物の種類的に秋の収穫祭のイメージには合わない気もするが、今年採れた収穫であることには間違いない。
このブース、スイカとドライアイスを一緒に容器に入れ、二酸化炭素を溶け込ませて炭酸スイカを作るコーナーだ。
これを振る舞っていたのが、ライターの平坂さんなのだが…
暇そう…
暇そう…
実はこの日、宅配便の遅配でドライアイスが到着したのがイベント直前。
スイカが二酸化炭素を吸収するには時間がかかり、少し振る舞っては仕込み待ち、少し振る舞っては仕込み待ち…という具合のジワジワ提供となった。(写真に写ってるのは仕込み待ちのスイカ)
自然と陰影も深くなる
自然と陰影も深くなる
このスイカ、食べるとほんとに炭酸入りで、おもしろい。食べることができたお客さんからは「ほんとに炭酸だ!」「シュワシュワする!」等と歓喜の声が上がっていたのだが、残念ながらその現場が写真に残っていなかった。平坂さん、ごめん。でも当日食べられなかった人は、いまからでも家でやってみて欲しいおもしろ実験である。
他にはもはやタダの飲み会となっている、ベジマイト焼き鳥</a>他を振る舞うコーナーや
他にはもはやタダの飲み会となっている、ベジマイト焼き鳥他を振る舞うコーナーや
「食べ物関係だから近くに置いちゃえ」と配置された、木彫りでフォアグラを作る</a>(体験ができるわけではなくライターがただ黙々と作る)謎コーナーもあった
「食べ物関係だから近くに置いちゃえ」と配置された、木彫りでフォアグラを作る(体験ができるわけではなくライターがただ黙々と作る)謎コーナーもあった
あとは先日記事になった自分で製麺できるラーメン</a>も
あとは先日記事になった自分で製麺できるラーメン
これらが、イベント中で最も収穫祭っぽかった一角である。えっと、この先は収穫のことはいったん忘れていただいて結構です。

なぞめく体験コーナー

こういう行事で○○体験コーナーというと、防災体験コーナーとか鮎のつかみ取り体験コーナーとか、○○の部分を一度聞けばなんとなく内容が想像できるものが多い。
しかしこの収穫祭の○○体験は、聞いても全然わかんないのである。
たとえば、「顔から手足マン変身コーナー」
たとえば、「顔から手足マン変身コーナー」
どういうことかというと、
こういうことだ
こういうことだ
子供が描く「顔から手足が生えちゃってる人」に変身できるコーナーである。手足は針金が通っているので、自分で自由にポーズも付けられる。
これが思った以上にかわいいのだ。
黒い紙で体を隠すとそれっぽく見える
黒い紙で体を隠すとそれっぽく見える
それからこんなの。「プラ板米粒写経体験コーナー」。「板米粒写経体験」の部分が漢字が続きすぎてすでにお経のようであるが、文字通り写経のコーナーである。といっても、かなり特殊な。
米粒に写経する、アレだ
米粒に写経する、アレだ
「体験」って気軽に言うけど、これ書くのはさすがにちょっと難しいのではないか。いや、大丈夫なのだ。
なぜなら、プラ板を使うから。
なぜなら、プラ板を使うから。
工作用の、オーブンで加熱すると縮むプラ板がある。あれを利用するのだ。指先サイズの板に書いてあとで加熱すると、みるみる縮んで小さな米粒になる。

なお、そもそもは米粒に般若心経を書く記事から派生した写経体験だったのだが、主催のライター乙幡さんによると「みんな自分の子供の名前ばっかり書いていた」とのことだ。予想外のところで家族の絆の強さを感じさせられたエピソードである。

つづいて、印鑑銃による射的体験。
このでかい銃は60連発
このでかい銃は60連発
海外旅行に行くと本物の銃の射撃体験なんてのがあるが、こちらは実弾ではなく印鑑である。的はもちろん書類。退職届や婚姻届、離婚届を大きく引き延ばしたものを使用した。ちなみに一番人気は退職届だったとのこと。家族の絆の次は、意外なところで現代社会の闇を見てしまった。

そして一番わかんないのがこれ。「サファリパーク安藤えさやり体験」。
安藤というのは編集部メンバーの安藤さんのことである。安藤さんがサファリパークを案内してくれるのだろうか?違う。
安藤さんにエサをやるのだ
安藤さんにエサをやるのだ
飲み物もやってよい
飲み物もやってよい
3時間先の整理券まで一瞬でなくなってしまう人気企画だったが、打ち上げで本人が語ったところによると「自分で言いだした企画ながら、野生動物として振る舞うのは思った以上に精神的ダメージが大きかった」とのこと。人間としての尊厳に抵触したため、えさやりツアーは今回限りの企画になりそうだ。
こちらのブースでトロフィーに引っかけられた不気味なカツラは、「恋人とイチャイチャしてる写真を撮る」体験のための小道具。説明すると長くなる(あと切なくなる)のでくわしくはこちら</a>へ。
こちらのブースでトロフィーに引っかけられた不気味なカツラは、「恋人とイチャイチャしてる写真を撮る」体験のための小道具。説明すると長くなる(あと切なくなる)のでくわしくはこちらへ。

もてなしの形

中国では客人に対しては食べきれないほどの料理を出す、それがもてなしの作法なのだ、という話をきいたことがある。世界中にはいろんな変わったもてなしの形があるのだと思うが、外国まで行かなくてもこの収穫祭では相当変わったもてなしの形式が見られた。
お客さんの持ち物にニボシの絵を描いてあげる</a>というもてなし方
お客さんの持ち物にニボシの絵を描いてあげるというもてなし方
こちらはふせんに好きな物の絵を描いてあげるというもてなし方
こちらはふせんに好きな物の絵を描いてあげるというもてなし方
意味のわからなすぎるもてなしにも長蛇の列ができる
意味のわからなすぎるもてなしにも長蛇の列ができる
「異文化」の一言では片付かない、トリッキーなコミュニケーションの形である。
しかし、これらは「相手に何かしてあげる」もてなしであり、その点ではまだ理解しやすいといえる。

こんなのはどうだろう。
来客に酸っぱい液体を飲ませてもてなす、「酸っぱい屋」
来客に酸っぱい液体を飲ませてもてなす、「酸っぱい屋」
酸っぱい液体の正体は、レモン汁に、レモンの酸味の元であるクエン酸を追加したものだ。すっぱさは5段階から選べるのだが、レベル5の暴力的な酸味ときたら、思い出しただけでよだれを通り越して全身から汗が出てくる。
この苦悶に満ちた表情!これでももてなされています
この苦悶に満ちた表情!これでももてなされています
「レバ刺し応援グッズ</a>を使ってレバ刺しを一緒に応援してくれる」という、もてなされてるんだかもてなしてるんだかわからないコーナーもあった。
こちらは「レバ刺し応援グッズを使ってレバ刺しを一緒に応援してくれる」コーナー。もはや、もてなされてるんだか、こっちがもてなしてるんだかよくわからないコーナーだ。
30年前のなぞなぞ本からなぞなぞを出してくれる</a>コーナー。おもてなしというよりほぼ趣味、あるいはそういう妖怪。
30年前のなぞなぞ本からなぞなぞを出してくれるコーナー。おもてなしというよりほぼ個人の趣味、あるいはそういう妖怪。
まわりが特殊すぎて、普通にボードゲームを楽しめるコーナー</a>が、むしろ異彩を放っていたように思う
まわりが特殊すぎて、普通にボードゲームを楽しめるコーナーが、むしろ異彩を放っていたように思う
この一角だけで文化人類学研究ができてしまうほどの「もてなし」の多様性である。

そういえば、もてなしと言えば、どうも当サイトは、くす玉を割らせることを最上級のおもてなしだと考えている節がある。
一人で来てくれたお客さんをもてなす「お一人様ツアー」では、もちろんくす玉を割る。
一人で来てくれたお客さんをもてなす「お一人様ツアー」では、もちろんくす玉を割る。
ツアー関係なく、ただ、割る
ツアー関係なく、ただ、割る
2つ一気に、割る
2つ一気に、割る
300人目のお客さんにはキリ番記念として入場後そのままステージにごあんない。会場いっぱいの拍手とくす玉、トロフィーで盛大におもてなししました。
300人目のお客さんにはキリ番記念として入場後そのままステージにごあんない。会場いっぱいの拍手とくす玉、トロフィーで盛大におもてなししました。
ここで白状するが、当サイトでは過去3ヵ月以内にくす玉を割りまくるイベントを2回も開催している()。3回目なのに、まだこんなに割りたいのである。完全にくす中(くす玉中毒の略)だ。

あんまりにもくす玉を何回もレンタルしているので、編集部内では「そろそろ買った方がいいのではないか」という話も出始めている。…まだ割る気か。

フロアが濃ければステージも濃い

そんな個性的すぎるブースを抱えたイベントだったが、出しものはブースだけではない。もっと濃いステージショーがあったのだ。
珍スポットライターの北村さんと、発明家・高橋さん</a>の発明品実演ライブ。
珍スポットライターの北村さんと、発明家・高橋さんの発明品実演ライブ。
上の写真、中央の高橋さんが頭につけているのは「ハゲ山森林化グッズ」。タコの足部分が木製の玉になっており、頭に打ち付けることにより頭皮を刺激して毛が生えてくるとのこと。

左にいる石川がつけてるのがダイエットスーツ。鈴が全身に刺激を与えてマッサージ効果で痩せるというもの。ダイエットうんぬんのまえに、すげえうるさい。
このあと自作の歌を6番までたっぷり歌いきったあと、自作の乗り物(本当は水泳の練習装置)で颯爽と去っていった
このあと自作の歌を6番までたっぷり歌いきったあと、自作の乗り物(本当は水泳の練習装置)で颯爽と去っていった
このあと、会場のバルコニーでも発明品体験会が行われた。珍妙な発明品の数々に、子供が半狂乱になっていた光景が忘れられない。

最大の見せ場にして最大の心配事

そしてイベントの最後には、恒例のフィナーレ。企画は毎回変わるのだが、今回のフィナーレは、……なんとまた、くす玉である。くす中!
期待に胸を膨らませたお客さんの視線を浴びつつ、準備中
期待に胸を膨らませたお客さんの視線を浴びつつ、準備中
くす玉にぶら下げたカゴにみんなでボールを投げ込み、その重みでくす玉を割ろうという試みだ。会場に色とりどりのカラーボールが飛び交い、パッカーンと派手に割れるくす玉。さぞかし華やかに違いない!

しかし、この企画、実は大きな問題があった。

ほぼ、ぶっつけ本番なのだ。
なんたってくす玉が当日の朝届いた。
なんたってくす玉が当日の朝届いた。
一応オープン前にリハーサルをしたのだが、時間がなくて1回試したのみ。それもライターみんなで10分くらいボールを投げまくってようやくくす玉が開いた。(10分、短いようでいて、本番だったらうんざりする長さである。)
くす玉がうまく開くかどうかは、くす玉を止める留め金の締め具合で決まる。しかもくす玉はナマモノ。イベント中に使い込んでいくうち、開きやすさのコンディションが全然変わってしまうのだ。それを見極めてうまく調整するのはもう職人技。

しかし問題は、会場に誰も職人がいないことである。
が、本番はやってきてしまう。
が、本番はやってきてしまう。
まずは最初のハードル。くす玉はカゴの重みだけで開かないよう、留め具の上からさらにクリップで留めてある。このクリップを外す作業だ。ここでくす玉が開いてしまったら、全部台無しである。ボールを持ったお客さんたちが固唾を呑んで見守る中、緊張して僕の手が震える。そして…
パッカーン!
パッカーン!
暴動
暴動
すごい数のボールがステージに飛んできてびっくりした。色とりどりのカラーボールがきれい…。でも目を狙うのは止めろ…!
これではイベントが終わらないので再度セッティングを
これではイベントが終わらないので再度セッティングを
微妙なざわめきが会場を支配する中、再びくす玉をセッティング。おそるおそるクリップを外すと……今度こそスタンバイOK。さあ、無数のカラーボールが飛び交う美しいフィナーレの様子を、動画でごらんください。

まだ終わりじゃなかった

決まった!最終的にフィナーレは大成功、そりゃ一度失敗したけど、現場的にはちょっとしたハプニングがあった方が盛り上がるし、ボール投げられた僕もちょっとおいしい展開だったのではないか。とにかくすべてがうまくいったと思う。来ていただいたみなさま、本当にありがとうございました。また来年!!

なんてムードでライター全員が壇上に上がり、一言ずつ挨拶。一巡したらイベントは終了…の手はずだったのだが、興奮冷めやらぬオーディエンスはそれを許してくれなかった。

最後に今回のイベントの仕切り役立った僕の挨拶をひかえ、なぜかふたたび配られるカラーボール。「あれ、もう一回くす玉割るのかしら?」ととぼけてみても、ステージには割れたままのくす玉。

その後の展開は、次の動画を見てほしい。
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