特集 2012年9月16日

醤油麹だけじゃない!ウスターソース麹もうまい!

塩麹の次は醤油麹らしいです。しかし、うまいのはそれだけじゃなかった。
塩麹の次は醤油麹らしいです。しかし、うまいのはそれだけじゃなかった。
随分前に塩麹に関しての記事を書きました。こちら。

麹と塩と水で作る凄いうまい調味料

この記事の影響はほぼ無かったと思われますが、昨年ぐらいに塩麹は大ブームとなり、今ではスーパーで市販品が買えるようになりました。

そして今度は醤油麹が一部で話題になっているようです。作ってみると確かにうまい。塩麹よりもうまいかもしれない。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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仕込みは簡単

まずは醤油麹の作り方から。醤油麹作りは実に簡単です。
一時期麹が売れすぎで店頭から消えたが、最近はまた普通に買えるようになった。
一時期麹が売れすぎで店頭から消えたが、最近はまた普通に買えるようになった。
用意する材料は乾燥麹と醤油。この2つだけです。フタ付きの保存容器も用意してください。

分量は乾燥麹が200gに対して、初めは醤油を300mlぐらい用意します。作る過程で適宜醤油を追加していきます。
小さな塊が残っているなど気にせず、ザックリと混ぜる程度で大丈夫。
小さな塊が残っているなど気にせず、ザックリと混ぜる程度で大丈夫。
まずは、塊の乾燥麹を崩して揉んでいきます。
5分も混ぜていればこんな感じになります。
5分も混ぜていればこんな感じになります。
しばらく揉んでいると、麹が暖まり若干粘りがでてきます。握ってボール状に固まる程度まで粘りがでたら麹を容器に移します。
この時は麹を400g使ったので、醤油は600ml。最終的に800ml近くの醤油を使用しました。
この時は麹を400g使ったので、醤油は600ml。最終的に800ml近くの醤油を使用しました。
容器に麹を入れたら、醤油を注ぎ入れて軽くかき混ぜます。
容器には仕込んだ日付を貼り付けておくと何日目か忘れなくていい。
容器には仕込んだ日付を貼り付けておくと何日目か忘れなくていい。
あとは少し隙間が空く程度にフタをして常温で保存。
麹が醤油を吸って膨らんでくるので、容器は作る量よりも十分大きい物を使ってください。これはギリギリの量だった。
麹が醤油を吸って膨らんでくるので、容器は作る量よりも十分大きい物を使ってください。これはギリギリの量だった。
1日1回かき混ぜて夏場なら1週間程度。冬場なら10日ほどで完成します。途中で麹が醤油を吸って減ってしまったら、麹が浸る程度に醤油を追加してください。出来上がったものは冷蔵庫で保存。半年ぐらい保存が出来るそうです。
麹と醤油が馴染んで、このようなトロリとした感じになれば出来上がり。
麹と醤油が馴染んで、このようなトロリとした感じになれば出来上がり。
出来上がった醤油麹は、まろやかになった醤油の味と麹独特の甘さや旨味が混ざり合い、味噌のような、たまり醤油のような。なんとも表現しがたい複雑な味になります。

実にうまい調味料です。

漬けても、かけてもうまい

醤油麹の使い方は塩麹と同じです。食材に直接かけたり、食材を漬け込んだりして使います。

塩気の効いただし汁のような繊細な味わいの塩麹と比べると、醤油麹は醤油風味の明確な味わいがあります。購入したはいいが塩麹をどう使ったらいいか分からないという人を沢山みかけましたが、醤油麹なら醤油代わり、味噌代わりとして使い方もイメージしやすいと思います。
一袋の枝豆に醤油麹を適当に大サジ2、3杯ぐらいかけて混ぜるだけ。
一袋の枝豆に醤油麹を適当に大サジ2、3杯ぐらいかけて混ぜるだけ。
例えば、この夏我が家で大ヒットだったのは枝豆の醤油麹漬け。
冷蔵庫で3、4日保存可能なので、余った枝豆の再利用にも最適。
冷蔵庫で3、4日保存可能なので、余った枝豆の再利用にも最適。
さやから出した枝豆に醤油麹をかけて2、3時間置いただけのものです。
これがビールによく合う。日本酒にもあう。飯に乗せても非常にうまい。翌日ぐらいが一番うまい。
これがビールによく合う。日本酒にもあう。飯に乗せても非常にうまい。翌日ぐらいが一番うまい。
醤油麹に漬けることで、塩をしただけの枝豆と比べて豆の甘みが強くなり、旨味も増します。酒もご飯もススムうまい1品となります。
醤油麹サイコー!
醤油麹サイコー!
漬け込む事で旨味が増したり、肉が柔らかくなるなどの効果は塩麹と変わらないので、さっぱり味より濃厚が好きという方は塩麹よりも醤油麹かもしれません。
冷奴に醤油替わりでちょっと乗せるのも凄くうまい。日本酒が進みます。
冷奴に醤油替わりでちょっと乗せるのも凄くうまい。日本酒が進みます。
ということで、醤油麹は塩麹に続き是非作って味わって欲しい調味料のひとつです。既に市販品も出回っているようなので、作るのが面倒という方はそちらでもいいでしょう。

うまいですよ!

塩、醤油がいいなら他の調味料でもいいのでは?

さて、塩麹も醤油麹も、家庭によくある調味料を麹に入れて混ぜるだけで簡単にできます。それでいて非常にうまい。もしかして、他の調味料でも麹に入れると旨くなるのでしょうか?ということで以下の3つで試してみました。

ナンプラー麹、トマトジュース麹、ウスターソース麹です。やってみると驚きの結果だったので、先に結論を言ってしまいましょう。

どれも驚くほどうまい!

詳しくは各ページでどうぞ。写真をクリックすると好きなものから見られます。
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ナンプラー麹

まずはナンプラー麹です。作り方は醤油麹と全く同じ。
魚醤特有の強い香りがいいね。
魚醤特有の強い香りがいいね。
崩して揉んだ麹を容器に入れてナンプラーを注ぎ入れる。あとは常温に保存して1日1回混ぜ合わせれば、1週間から10日ほどで出来上がりです。
元々醤油と似た所があるので、醤油麹同様うまくなるのは予想がついた。
元々醤油と似た所があるので、醤油麹同様うまくなるのは予想がついた。
分量は乾燥麹200gに対してナンプラーが300ml。翌日以降、ナンプラーが減ってきたら追加するので、最終的に350から400mlのナンプラーを使います。
1週間でかなりトロトロになりました。
1週間でかなりトロトロになりました。
出来上がったナンプラー麹は、元のナンプラーの香りが穏やかになり、魚醤の強い味の角が取れて丸く柔らかい感じになります。更に、麹の甘味、旨味も加わり、そのままのナンプラーよりもうまいです。

やはりエスニックな香りに合う

ナンプラー麹はこんな食材に合わせてみました。
パクチー、パプリカ、鶏ささみ、水菜。そこへナンプラー麹。
パクチー、パプリカ、鶏ささみ、水菜。そこへナンプラー麹。
鶏ささみとパクチーのナンプラー麹サラダです。
皿にもりつけかけるだけ。簡単。
皿にもりつけかけるだけ。簡単。
茹でた鶏ささみをほぐして水菜、パプリカ、鶏ささみを乗せます。パクチーを散らしてその上からナンプラー麹を好みの量かけたら出来上がりです。
大量のパクチーにも見えますが、大半は水菜です。しかし「パクチーは子供が泣くほど入れろ!」が我が家の好みです。
大量のパクチーにも見えますが、大半は水菜です。しかし「パクチーは子供が泣くほど入れろ!」が我が家の好みです。
ナンプラー麹は元がナンプラーだけにやはりパクチーの香りとよく合います。茹でた鶏ささみとパクチーにナンプラー麹の味が加わると、エスニックのようであり、麹の旨味がどこか和風な味も感じさせる。実に不思議でうまい味です。

ナンプラーだけでなく、秋田のしょっつる、石川のいしる、香川のいかなご醤油など、日本の魚醤でもうまい物が出来ることが予想されます。ナンプラー麹が無くなったらやってみよう。
ビールに最高。焼酎もいいか。いや、日本酒もいけるな。
ビールに最高。焼酎もいいか。いや、日本酒もいけるな。
次はトマトジュース麹を作ります。
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トマトジュース麹

続いてトマトジュース麹です。こちらも作り方は醤油麹と同じです。
最近は食塩不使用のトマトジュースばかりなので、使う際は少し塩を足してからの方がいいと思います。
最近は食塩不使用のトマトジュースばかりなので、使う際は少し塩を足してからの方がいいと思います。
トマトジュースは出来上がりの味を考えて塩分入りのものを使用しました。
なかなか混ざらない…
なかなか混ざらない…
そして、トマトジュース麹は他の物とは違う特徴が幾つかでてきました。最初に、半液体状なのでなかなか混ざりません。
まさか気持ちよくなるような成分が作られている発酵じゃないよね。
まさか気持ちよくなるような成分が作られている発酵じゃないよね。
それから、作り始めて数日経つとガスが発生して盛り上がり、フタを押し上げ容器からあふれそうになりました。混ぜてガスを抜けば一旦おさまるのですが、半日もするとまた湧き上がってきます。出来上がった物を冷蔵庫に入れたらガスは収まりました。
見た目は野菜や果物をミキサーにかけてつくるスムージー風。
見た目は野菜や果物をミキサーにかけてつくるスムージー風。
トマトジュース麹の味は、トマトの野菜特有の旨味が麹の甘さのある旨味に引き上げられ、より強く感じられます。そこにトマトの酸味の爽やかさが加わり、とても美味しく感じます。

今回は低塩のトマトジュースで出来上がりの塩気が物足りなかったので、しっかりと塩気のあるトマトジュースを使うといい塩梅となったでしょう。それでも十分うまいです。

麹だが洋風な味

トマトジュース麹はこんな食材と合わせてみました。
トマトとモッツァレラチーズはよく合う。
トマトとモッツァレラチーズはよく合う。
モッツァレラチーズのトマトジュース麹乗せです。
塩気を足して黒胡椒でスパイシーに。オリーブオイルも使います。
塩気を足して黒胡椒でスパイシーに。オリーブオイルも使います。
トマトジュース麹に塩と黒胡椒を適量混ぜて、サッとオリーブオイルをかけたモッツァレラチーズに乗せたら出来上がりです。
バジルを散らしても美味しいと思います。
バジルを散らしても美味しいと思います。
トマトジュース麹は、麹の旨味により高められたトマトの旨味が爽やかに感じられ、モッツァレラチーズとよく合いました。生のトマトを乗せるよりも、深い味がします。肉料理に添えてもスッキリとした野菜と麹の旨味が加わり美味しそうです。

トマトジュース以外の何かの野菜ジュースでやっても美味しい物が出来るかもしれません。そのうち試してみたいです。
ワインにいいね。スッキリとした純米吟醸酒などもいいかも。
ワインにいいね。スッキリとした純米吟醸酒などもいいかも。
続いてウスターソース麹です。
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ウスターソース麹

続いてウスターソース麹です。作り方は他と何も変わりません。
スパイシーなソースの香りが広がる。どんな物が出来るか一番心配だった。
スパイシーなソースの香りが広がる。どんな物が出来るか一番心配だった。
崩して揉んだ麹にウスターソースを注ぎ、常温保存で1日1回混ぜて1週間から10日ほどで出来上がりです。
色とか、香りとか色々心配な感じだった。しかし、日が経つごとに良い方向に変わっていった。
色とか、香りとか色々心配な感じだった。しかし、日が経つごとに良い方向に変わっていった。
分量は麹200gにウスターソースが300ml。追加分も含めて最終的に400ml程使います。
醤油麹よりも茶色く、香りはしっかりウスターソース。しかし、ただのウスターソースの香りではない。
醤油麹よりも茶色く、香りはしっかりウスターソース。しかし、ただのウスターソースの香りではない。
出来上がりがかなり心配だったウスターソース麹でしたが、作っている最中に味の経過を見ていてその変化に驚きました。3日目あたりから徐々にウスターソースの尖ったスパイスの味が徐々に角がとれてまろやかになってくる。

更に、ウスターソースに含まれる野菜の旨味が麹の味に引き出され、より強くハッキリと感じられてきます。元のウスターソースはどちらかと言えばジャンキーな味ですが、ウスターソース麹になると上品ささえ感じられます。

非常にうまい!

焼き鳥メニューに合う

ウスターソース麹はこんな食材に合わせてみました。
砂肝。塩コショウだけでも旨いが、ソースかけても旨いよね。
砂肝。塩コショウだけでも旨いが、ソースかけても旨いよね。
焼き砂肝のウスターソース麹乗せです。
軽く塩コショウして焼いただけ。そこへウスターソース麹。このままでもコリコリした食感が旨い。
軽く塩コショウして焼いただけ。そこへウスターソース麹。このままでもコリコリした食感が旨い。
砂肝に軽く塩コショウしたらオーブンで焼いて、ネギを散らしてウスターソース麹を乗せたら出来上がりです。
熟成の日本酒と合わせる。もう日本酒が止まりませんな。
熟成の日本酒と合わせる。もう日本酒が止まりませんな。
ウスターソース麹は醤油麹よりも更に味が濃く感じられます。また、スパイスの香りもあり、肉や揚げ物にはよく合うはずです。焼いた野菜などにもパンチが効いていて美味しいと思います。

また作ろう。いや、量産しよう。
うまいぞ!日本酒以外にビールにもよく合う。焼酎もいい。ワインも合うはずだ。要するに酒によく合う味だ。
うまいぞ!日本酒以外にビールにもよく合う。焼酎もいい。ワインも合うはずだ。要するに酒によく合う味だ。

他にもうまい調味料ができるかもしれない

今回家庭にある各種調味料で麹調味料を作ってみましたが、麹のパワーを改めて感じました。大体なんでも美味しくしてくれそうです。更に色々試してみたくなりました。

ポン酢あたりは確実にうまくなりそうです。しょっつるは直ぐに試してみたい。オレンジジュースとかに少し塩を足してやるのもいけるかもしれないと考えています。

ケチャップやマヨネーズでもやってみたいのですが、混ざりが悪いのでこれは難しいかも。しかし、いつかやるかもしれない。その時はまたレポートします。
各麹を並べると色が綺麗だ。青汁麹を作って緑を足すのもいいかも。いや、それは流石に不味いか。でもちょっとやってみたい。
各麹を並べると色が綺麗だ。青汁麹を作って緑を足すのもいいかも。いや、それは流石に不味いか。でもちょっとやってみたい。
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