特集 2012年8月14日

ドライアイスでスイカがシュワシュワに!!

スイカがシュワシュワに!!
スイカがシュワシュワに!!
高校生の頃、生物の先生が面白い話をしてくれた。
「キャンプに行った際にクーラーボックスとドライアイスを使ってスイカを冷やしていたら、ドライアイスが気化して発生した炭酸ガス(二酸化炭素)を吸ってスイカの果汁がソーダみたいにシュワシュワになって面白かった」というのだ。
本当にそんなことがあるのだろうか。もし本当にそんな楽しげな現象が起こるなら、それは大発見だ。
ぜひ挑戦してみよう。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

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まずはフルーツから

実験にあたって、とりあえずドライアイスを用意しなければならない。
残念ながら僕の自宅近辺にはドライアイスを扱う氷屋さんが無かったので、通信販売で購入した。
ドライアイスを発泡スチロール製のクーラーボックスに敷き詰める。
ドライアイスを発泡スチロール製のクーラーボックスに敷き詰める。
とりあえず恩師の話にでてきたスイカをはじめ、果物から試してみよう。スイカが野菜か果物かという議論はこの際なしだ。
用意したのはスイカ、パイナップル、梨、リンゴ、そしてグレープフルーツやオレンジなどの柑橘類。
用意したのはスイカ、パイナップル、梨、リンゴ、そしてグレープフルーツやオレンジなどの柑橘類。
果物がドライアイスと密着して凍ってしまわないよう発泡スチロールの板を台座にする。
隙間を開けて蓋をし(炭酸ガスによる爆発を防ぐため決して密閉はしない。これ大事。) 、4~5時間放置する。
完成。
完成。
見た目は何ら変化が無い。本当に炭酸入りになっているのか?食べてみよう。
あっ!!
あっ!!
シュワシュワだー!!
シュワシュワだー!!
スイカにかぶりついた瞬間、口内にピチピチシュワッと目の覚めるような刺激が!
本当に果物が炭酸入りになってる!!
スイカだけじゃない。梨もリンゴもパイナップルも、程度の差こそあれみんな果汁がソーダのようにシュワシュワだ。
しかし例外もあった。
あれ?柑橘系は微妙…。
あれ?柑橘系は微妙…。
オレンジなどの柑橘系は同じ条件で実験したにもかかわらず、あまり炭酸が感じられなかった。原因は皮が分厚く、空気を多く含んでいる上に、房にまで皮があるためだと考えているのだがどうだろうか。

ちなみにシュワシュワ度を比較すると スイカ≧梨>パイナップル>リンゴ>柑橘類 という感じであった。
どうやら水分(果汁)が多く、かつ皮が薄いものほどドライアイス由来の炭酸ガスを浸透させやすいようだ。

刺身も豆腐もシュワシュワだ!

では果物以外の食べ物で同じ実験をしたらどうなるだろうか。色々試してみよう!
果物編の成功に気を良くしてスーパーで買ってきた食品たち。水分多めの品を選んだ。
果物編の成功に気を良くしてスーパーで買ってきた食品たち。水分多めの品を選んだ。
用意したのは野菜代表トマト、コンニャク、豆腐、そしてなんと刺身の盛り合わせである。
果物と同様に4~5時間ドライアイス漬けにして取り出す。
まずはトマトから試食。
まあ果物の延長みたいなものだしね。
まあ果物の延長みたいなものだしね。
あっ、これ美味いっ!!
あっ、これ美味いっ!!
トマト、ばっちり炭酸入りに!そしておいしい!もともと冷やしトマトは好物なのだが、ピチピチという炭酸の刺激が加わることでより爽やかな一品になっている。
これは夏場にぴったりだ。飲み屋や屋台で売られていたらつい頼んでしまうだろう。これはビッグビジネスの匂いがするぞ!!
続いてコンニャク!
続いてコンニャク!
コンニャクも水分の含有量が多い食品だ。炭酸ガスもたくさん浸透するだろう。刺身にしてワクワクしながら口に運ぶと…
はい、期待はずれー。
はい、期待はずれー。
ウンともスンとも、シュワッともピチッとも言わない。うん、これは失敗だ。これがうまくいったらこんにゃくゼリーでも試してみようと思っていたのだが、残念。
じゃあ豆腐はどうか
じゃあ豆腐はどうか
ではコンニャクと同じく加工食品である豆腐はどうだろうか。炭酸が逃げないように生姜を添えて冷奴でいただく。
ピチパチはするけど何か違う…。
ピチパチはするけど何か違う…。
おお、確かに炭酸入りになっている。しかし美味しくなっているかと問われれば返答に困る味だ。
何気なく添えた生姜のおかげで後味がほのかにジンジャーエール風味なのだ…。
まあピリッとした刺激は確かに面白いので、新感覚の薬味だと思えばイケるかもしれないと感じた。

さあ、最後はいよいよ初の動物質。刺身の登場だ。
最後にお刺身。マグロ、アジ、蒸しダコ、イカそうめん、甘エビの盛り合わせだ。
最後にお刺身。マグロ、アジ、蒸しダコ、イカそうめん、甘エビの盛り合わせだ。
美味しいかどうかはよくわかんないけど、面白い!!
美味しいかどうかはよくわかんないけど、面白い!!
マグロもアジもイカも甘エビも、そしてまさかの蒸しダコも、どれも舌の上でほんのりシュワシュワと音を立てる。異様な感覚にいまさらながら笑いがこぼれてしまう。
しかし驚いたことに、炭酸は意外と刺身の味を邪魔するわけではなかった。ワサビの代わりだと思えばまあありかもしれない。
ただし、刺身を食べているのに、幼い日にラムネを飲みながら歩いた祭の縁日を思い出すという奇妙な現象に襲われたのも事実だ。

絶対密閉しないよう気をつけよう!

手前みそで恐縮だが、今回の実験はとても面白いものだと思う。夏休みの自由研究にももってこいだろう。
実際、僕が小学生の頃にあの話を聞いていたら、間違いなくチャレンジしていたと思う。
こういう実験を通じて子供たちに科学と向き合ってもらいたいものだ。
しかし、この実験には注意点がある。先ほども述べたがクーラーボックスの蓋を閉めきらず、必ず隙間を開ける必要があるのだ。
ドライアイスは気化して炭酸ガスになる際に体積がものすごく大きく膨らむので、クーラーボックスを密閉すると爆発してしまう可能性があり、大変危険なのである。
良い子の諸君!科学実験(かがくじっけん)を行(おこな)う際(さい)は、大人(おとな)の人(ひと)と一緒(いっしょ)にね!
この隙間が大事。
この隙間が大事。
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