聴覚で虫を捕らえたい
子どもの頃によく虫取りをしていたが、そのときは当てずっぽうに網で草むらをガサゴソ探っていた。驚いた虫がとんでいくのを見つけて網で捕まえるのだ。
今回は聴覚を使って典雅に虫を探したい。
秋の虫の声はよく耳にするが、鳴いている現場を取り押さえたことがないからだ。警察だ!音を上げろ!
森のなかで耳を澄ます
森のなかで耳を澄ますと、360度いろんな方向から虫の声が聴こえてくる。その距離感と音量がまちまちで少し酔いそうだ。これはやりがいがあるぞ。
おっ。「リィリィリィ」という鳴き声が近い気がする。
五感を頼りに虫を探すのは楽しい(聞き失ったけども
)。
感覚で音を捉え、脳で判断し、足を動かして近づいていく。狩猟本能がくすぐられる。虫と闘っている感じがする。
虫を見つけた!
今度は「ジキジキジキジキジキ」という声が聞こえてくる低木を見つけた。
近づくと虫は鳴くのをやめてしまった。もしや気づかれてるのか。
その場から離れて数十秒待つとまた声が聞こえてくる。
いまだ!現逮!現逮!!
やったか……??
やれてました。うれしい!
僕が大人になって昆虫採集に対する興味が失せたのは、種の同定ができなくてつまんないからだ。どうせ捕まえても正確に判別できないしやっても仕方ないよなって。
でも今回、そんなことは些末な問題だと思った。普段よりも集中して感覚を研ぎ澄まし、五感を頼りに虫を捕まえるのはそれだけで楽しい。僕はそこだけ味わえればいい。
また続きをやろう。
ショート記事
1000文字以内の短い記事です。読みやすくて満足感があるよ。