宝物(ほうもつ)の銅鰐口
宝物というと普通はゲームや物語でしか馴染みがないが、神社で仕事をしていると触れる機会がそこそこある。そのたびに宝物ってほんまに世の中にあるんやなあと思う。
縁起がいいので前置きは77文字までにして(句読点含む)、さっそく宝物に早速登場してもらおう。
銅鰐口、地味である。そういえば前に一度見せてもらったことがあった気がする。印象が薄くて記憶に残っていなかったのだ。
今は大事にしまってあるので実用品としては使っていないのだが、どのように用いるものなのか祖父が絵を描いて教えてくれた。
高い位置に吊るされている鰐口を前に垂らしてある綱を振って打ち鳴らすらしい。いわば神仏参拝の挨拶や合図のようなものだ。
一般的には神社ではなくお寺で使われることが多いらしく、僕は現役で活躍しているものを見たことがない。やってみたいなあ。
ついでに県から受け取ったという指定書も一緒に見せてもらった。
この鰐口は宮崎県最古のものとして県の有形文化財の指定を受けているのだ。
……これはいい!行政の権威を感じる!!権威が価値を保証している!!!ぼく権威大好き!!興奮した。
ほかの面白みを見出す
もう少しじっくり鰐口を眺めてみよう。なんか年数が彫られてあるとか聞いたな。
天授6年、西暦でいうと1380年だ。日本は南北朝時代である。あまりに古すぎてピンとこない。
他には何かあるかな。あっ、鰐口という名前の由来は下部の一文字に開いた部分がワニの口に似ているからだそうだ。ワニというのはそのまま爬虫類のワニか、鮫のことだと考えられている。
鰐や鮫だと思えば可愛く見えてきたぞ。
ただ、一番おもしろかったのは、文化財だから手袋はめて扱ったほうがいいですよねと祖父に聞いたときの返答である。
「いくら手袋したっちゃ俺が素手で触るき同じじゃい!」
祖父は笑いながらそう言った。
編集から)
宮崎県のサイトにも載ってます。興味のある人はこちらへどうぞ。
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