ふつう特集 2021年3月30日

”Campusノート”のふつうに想いを馳せる

だれしもが一度は使ったことがあると思われる、Campusノート。

その中で一番”ふつう”なものをじっくり眺めながら、想いを馳せてみることにした。

1997年生まれ。大学院で教育学を勉強しつつ、チェーン店やテーマパーク、街の噂について書いてます。教育関係の記事についても書きたいと思っているが今まで書いてきた記事との接点が見つからなくて途方に暮れている。

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 さようなら2020年度! 春休みとくべつ企画「ふつう特集」 

時代や進み、いまやなにをとってもバリエーションのゆたかな世の中になりました。しかしそのベースとなるものを軽んじて良いのでしょうか。否! デイリーポータルZは春休みを記念し、「ふつう」を再発見します。
さあ、この店でいちばんふつうのものをくれたまえ!
 

再会

Campusノートと見つめ合うのは久しぶりだった。

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Campusノート

 一度は使ったことがあるのではないか。

シンプルな色の表紙に書かれたスタイリッシュな「Campus」という文字。その横に小さくノートの情報が書かれている。

今はいろいろな種類が発売されている

今は、いろいろなCampusノートが発売されている。

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ポケモン柄のものや
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スヌーピーのイラストが描かれたものも売っている
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中ぐらいのものもあれば
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小さいものもある

しかし、やはりもっともふつうのものは、この薄く青いノートだとおもう。

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表紙にはまっすぐにのびた直線が引かれ、このノートの中身をさりげなく教えてくれる。

こんなにまじまじと見るのは久しぶりだ。

開いてみる

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直線
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直線、直線

どこまでいっても直線、直線の連続だ。余計な情報が一つもない。どう使うのかは自由。

この直線から、ドイツのアウトバーンや、アメリカの自動車道路を思い出す。日本で言えば、新幹線やリニア・モーターカーの線路だろうか。

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アウトバーン(パブリック・ドメイン)
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Campusノート

これは東海道新幹線の道路。真ん中の青と白で書かれているのがそれだ。ノートと同じようなまっすぐへの意思を見出せる。

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Campusノート

どうして真っ直ぐなのか

どうしてここまでまっすぐなのか。

もちろん、それは書きやすいからだろう。

アオハル.com によれば、かつて日本ではノートは「雑記帳」として線がないものがふつうだったという。

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昔のノートはこのような「自由帳」に近かった(ショウワノートホームページより)

それが、いつのまにか線付きが”ふつう”になった。それはやはり、線がないよりあったほうが使いやすいからだろう。

しかし、それだけなのか。

いや、それだけではない。

私は、そこにまた別の理由を見る。

それが、”新幹線”だ。

KOKUYOによれば、Campusノートの前身となった「無線とじ」のノートが製品化されたのは1959年。

そして1959年、日本で最初の新幹線・東海道新幹線の着工が始まるのだ。

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東海道新幹線(パブリック・ドメイン)

さらに驚くべきは、その「無線とじ」が初代Campusノートとして製品化された1975年、東海道新幹線から直通する山陽新幹線の工事が終了する。これで、東京〜博多間という、本州から九州までを結ぶ大動脈の大枠が完成した。

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初代Campusノート

東京〜博多間の着工から完成を、「無線とじ」の製品化からCampusノートへの製品化の流れとパラレルに見ることは、難しいことではない。

もはや新幹線の夢が詰まっているとしか思えない

話はこれだけではない。

1975年に初代Campusノートが開発されてから、Campusノートは何回かの進化を遂げている。

そのなかで、3代目Campusノートが誕生した1991年には、東京・上野間の新幹線が開業し、博多・盛岡間が新幹線でつながることとなる。

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3代目Campusノート

さらに、現在わたしたちが目にしている5代目Campusノートは2011年に誕生したものだが、この年の3月に博多・新八代(熊本)間の新幹線が開業し、これで盛岡から新八代までが新幹線でつながることとなった。

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5代目Campusノート

Campusノートの進化とともに、新幹線の進化もある。そして、新幹線の進化とともに、Campusノートの進化もある。

Campusノートの直線は、新幹線の直線のことだったのである。

もはやCampusノートには、新幹線の夢が詰まっているとしか思えなくなってくる。

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Campusノートに新幹線の面影が

一度そう思うと、もうCampusノートは新幹線にしか見えてこなくなる。

例えばこのノートの表紙。

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 これなど、新幹線を横からみた時にそっくりではないか?

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途中までラインが入っているところがCampusノートを思わせる
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斜めの直線が車体とシンクロする。心なしか、「C」の丸みは、新幹線の鼻のようだ
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あるいは、最近のCampusノートに入っているドットは
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新幹線の車体デザインと窓の関係にそっくりなのである

やはり、Campusノートと新幹線には、抜き差しならない関係がありそうだ。

Campusノートをじっくり見つめると、その歴史がぼわっと浮き上がってくる。


ふつうのなかに歴史をみた

いままでは、Campusノートを見ても、「シンプルだなー」とか「使いやすいなー」としか思っていなかった。

しかし、一度Campusノートの歴史を紐解いてみると、その中には厚い歴史の層が埋もれているのである。そこに、新幹線の記憶を見たのである。

現在のCampusノートは5代目だ。今後、また進化するかもしれない。次の進化ではもっと新幹線に似てくるのではないだろうか。いや、リニアモーターカーの面影さえ携えるかもしれない。携えないか。

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