ふつうのカレーを作るのは難しい
スーパーでカレー用の肉を買ってきたのだが、必要量250gに対して、売られていたのが200g強のパック……。2パック買う必要があった。普段なら1パックで作ってしまうだろう。
前述の通り野菜も半端な量である。無駄が多い。今回作ったのはふつうのカレーだったが、ある意味で豪勢な料理になった。
多様化し混迷を極めるカレーの世界。考えれば、無明の中をさまようようである。
今日はカレー世界の足元を確認するよう、基本に立ち返ってバーモントカレー中辛をパッケージの裏に書かれているレシピどおり忠実に作ってみたい。
グラム単位で忠実に。
どの家庭でもカレーを作ろうとするなら、まず手にするのがカレールウであろう。その中でも最もポピュラーな商品の一つが、バーモントカレーの中辛である。
求めているふつうのカレーだ。バーモントカレーを手にとって「珍しい!」と思う人はいないだろう。
ところで、カレーは手軽に作れるが故に、隠し味を入れるなど作り方を工夫したり、逆にあまり作り方にこだわらなくてもおいしく作れてしまうところがある。
しかし、今日に限っては基本に立ち返ってふつうのカレーを作りたい思いがある。パッケージの裏にかかれているレシピどおり作ることに徹したい。
パッケージの裏に書かれている材料は以下の通りである。
じゃがいもが225gとかなり刻んできている感じだが、基本に忠実なふつうのカレーとはそういうものである。
まずは材料の仕込みからだ。仕込みと言っても、材料をパッケージに書かれているとおりの重さで用意して、一口大に切るだけだ。
そう、パッケージに書かれているとおりに……。
計量はつつがなく忠実にグラム単位で行われた。野菜に破片が含まれているのはその努力の証である。
ここからいよいよカレーを作っていく。ふつうのカレーをだ。
おどろくほど意外な展開は訪れない。それこそがふつうなので……。
本当に意外な展開が訪れず恐縮だが、今はふつうのカレーを作るマシーンになりきる。
パッケージには約10分と書かれているがぴったり10分で作る。今の俺に「約」は必要ない! ふつうであることを恐れるな!
ふつうであることに最善を尽くした、最もふつうのカレーの完成だ。
哲学者アリストテレスは、極端を避けた中庸を是とした。つまりふつうこそ最高ということだ。ある意味最高のカレーが、このふつうのカレーなのである。
御託はいい。味はいかに。
懐かしいという感想が頭をよぎった。そんなのあったかも分からないが、「あの日のキャンプのカレー」だ。安心する味というか。尖ったところの一つもない、まるい味。
そうか、これがふつうか。日本のカレーの原点に登頂した。ヤッホーである。えりを正す思いだ。着てるのパーカーだけど。
スーパーでカレー用の肉を買ってきたのだが、必要量250gに対して、売られていたのが200g強のパック……。2パック買う必要があった。普段なら1パックで作ってしまうだろう。
前述の通り野菜も半端な量である。無駄が多い。今回作ったのはふつうのカレーだったが、ある意味で豪勢な料理になった。
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