特集 2020年5月28日

人気ライター4人が語る「おもしろがり」の極意(夢中になれる記事ネタの見つけ方)

デイリーポータルZではたくさんの記事を掲載していますが、その根底にあるのは「おもしろがる」ことです。

おもしろい記事ネタって、おもしろいものとして転がっているわけではないんですよね。そのへんにあるなんでもないものが、そのおもしろさに気づくことによって、はじめて「おもしろいもの」になる。

そんなおもしろがりの極意を、デイリーで人気のライター4人に聞きました。これを読んであなたの「おもしろがり力」に磨きをかけてください!

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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記事のアイデアは「おもしろがる」ことから

こんにちは、編集部 石川です。これを書いているのは石川ですが、冒頭に書いたことは完全に編集長 林の受け売りです。エヘヘ……

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デイリーポータルZ新人賞 特設ページより、編集長からのメッセージ

いまデイリーポータルZ新人賞という記事コンテストをやっておりまして(やっておりましてというか週末の31日が締め切りなのでもう終わるのですが)、その一環としてオンラインの記事セミナー「おもしろがりセミナー」を放送しました。

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こんな感じで放送してました(與座さんの回より)

そこでは毎回ひとりのライターをゲストに迎え、なんでもないものからおもしろみを見出し、そして記事のネタに昇華させるノウハウをききました。それを全4回分惜しげもなくまとめ、みなさまに披露し、あわよくば新人賞に駆け込み応募していただこう、というのが本記事の趣旨でございます。もう日がないけど過去作も応募可。いままでの自信作を送ってください…!→ここから

というわけで、おもしろがり方、どんどんご紹介していきます!

 

三土たつお さんの場合

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 三土さんの得意分野は、「街の中にあるものをおもしろがる」こと。ここでは1か月くらいかけてじっくりおもしろがる方法を紹介してくれました。

三土さんのおもしろがり方

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目の前にあるふつうのものをおもしろがれるようになるために、3つの手順があります。

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最初は興味がないものでも、とりあえずたくさん集めてみます。この時点では別に面白いわけではないけど、あとあと楽しくなるのでやっていきます。

集めるといっても街中の三角コーンを盗んでいくわけにはいかないので、写真で集めます。
最初は区別のつかないものが、20個とか30個とか集めると、これとこれが実は同じだったとか、これとこれはこういう違いがあるなとか、見えてくる。そうするとどんどん面白くなってきます。
比べられるように同じアングルで撮るのも大事。

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次に撮った写真を整理して、調べて、情報を追記していきます。

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調べるのはまず名前。現物に名前が書いてある場合も。

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名前がわかるとメーカーのカタログを探せるので、詳しい情報を調べられます。くわしくなるとさらに面白みが増す。

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仕上げです。脳内に仮想の聴き手を作って、その人に説明してみます。
なぜあるの?(役割)、どうやって作られる?(素材)、いつからある?(歴史)などなど……。
そうすると自分がわかっていないところや、知識の浅いところがわかる。そうやって記事にまとめるための情報を集めていきます。

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話は変わって、その場ですぐに面白がる方法。取材にいったときなどに使います。
得意分野があると、「自分が知っていることと比べてどうか」という見方ができます。
また、知らないことは知っている人に聴くと興味深い情報を得られます。

そんなおもしろがり方から生まれた記事

mach.jpg「街角図鑑」
ガードレールとか金網とかパイロンとか、そういうものの図鑑があってもいいんじゃないか。

 

 

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「短すぎるガードレールって何なの?」
いったい何なのかを調べていたら、ガードレールにもそれぞれ役割や種類の違いがあり、それらの見分け方もあることを知った。

 

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「目に映るものの名前をできる限り知りたい」
写真に映っているものの名前をなんでもお教えてください、と呼びかけたところ、あらゆる分野の人からものすごい量の情報が寄せられ、写真がたちまち名前で埋め尽くされる、という経験をした。顛末を紹介します。

 

長期戦でじわじわ興奮を高めていくタイプの、三土さんのノウハウでした。

おもしろがりセミナー第1回、三土さんの放送はこちらから動画でもご覧いただけます

 

西村まさゆき さんの場合

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写真で集めるのが三土さんなら、実物を集めちゃいがちなのが西村さん。その面白がり方を聞いてみます。

西村さんのおもしろがり方

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とりあえず言う。

とりあえず「おもしろい」ということにして、自己暗示ではじめる。
つまんないと思って見ると、本当につまらなく見えてしまいます。

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たとえば、古いチラシ。地デジのチャンネルのアイコン。自治体のごみ袋。

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そしてSNSにメモします。あとで検索できるし、反応があるネタかどうかも見られます。

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次に、素直になること。「これをおもしろがるのは自分だけかも…」という不安を捨てて、「おもしろいよね!」という素直さ。どこかにいる同士の存在を信じましょう。

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また、完全なマニアになってしまわない。「ものを知らない自分」の立場を忘れないこと。
マニアじゃない人に説明するとき、そして一般読者(=マニアじゃない人)が面白いと思うポイントを考えるとき、役に立ちます。

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では、おもしろがる対象をどう選ぶか。

あたりまえのことに注目しましょう。たとえばニュース番組の文字の多さ、役所は必ず「宣言」していること。

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また、対象が見つかったら、別の趣味とかけ合わせましょう。
・国会議事堂×石材
・国語辞典×コロッケ
めちゃくちゃ詳しくなくても、切り取り方が面白ければ記事は面白くできます。
またその過程を経ることで、個々の要素のおもしろさもさらによく理解できます。

そんなおもしろがり方から生まれた記事

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「日本各地の自治体ゴミ袋鑑賞会」
数年前から、遠出するたびに自治体指定のゴミ袋を、お土産代わりに買っていた。こんかい、そんなゴミ袋を鑑賞する「自治体ゴミ袋鑑賞会」をひらいてみた。

 

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「あの「メロンのアイス」についてホントに調べてみた」
メロン形のアイスの写真つきの「このアイスを知っている人はRT」というツイート。あの存在についてアンケートを取りまじめにちゃんと調べた。

 

giji.jpg「石材に注目して国会議事堂を見学する」
国会議事堂は国産にこだわった石材が使われている。これがいまやとんでもなく貴重な石材なのだ。専門家と見学してきた。

 

くわえて、アイスのメーカーやら国会議事堂やら、すぐ現地に行っちゃうフットワークの軽さも強みだと思いました。おもしろがりセミナー第2回、西村さんの放送はこちらから動画でもご覧いただけます

いったん広告です
與座ひかる さんの場合

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與座さんは、自分や他人の行動、発言などをおもしろがり、ネタにつなげるやり方を、2つ教えてくれました。

與座さんのおもしろがり方

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まずひとつめ、何も考えずにやってしまっていることを探します。

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それを疑ったり、いつもと別の方法を考えます。
それをやっている自分は、考えるのを放棄していないか?先入観にとらわれていないか?

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考えたことを、素直に実践して、検証します。
注意点は、先入観にとらわれていることを馬鹿にしたりしないで、いじわるな視点を排除するのがコツです。

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ふたつめのやり方。世の中にある「あるある」を見つけたらメモしておきます。

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同じことを何人かが言ってるのを聴いたら。
何かの作品中に同じ表現を見かけたら。
自分の生活の中にも注目。

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これをまたずらす。それか素直に自分もやってみます。


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あるあるを探すには、本や映画で「これ前も見た表現だ」と思ったらメモっておく。
「これって本当にあるあるかな?」と思ったら、友達2人くらいに聴いて「ある~」って言われたらOK。
それか、ネットで3人くらい言ってたらOK。

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いじわるな気持ちは排除すること。
これを他人への配慮でやるのは疲れるので、今後の自分のため、と思うと自然に守れるようになります。

そんなおもしろがり方から生まれた記事

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「リモートでかくれんぼはできるのか」
仕事ができるなら、遊びもできるのでは。リモートでどこまで遊べるかを実験しました。

 

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「同窓会で昔話を禁止するとどうなるか」
同窓会で昔話を禁止すると、近況や未来について話すことが増え、新たな一面を知れるメリットがあった。

 

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「「お疲れ様」はもっといい言い方あるんじゃないかの会」
無意識に言ってしまう割に違和感のあるセリフ「お疲れ様です」「お世話になっております」の、もっとたのしい言い方を考えた。

 

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「荒野で旗を持つとかっこよくなる」
土手で旗を持ち空背景で下からのアングルで撮影すると、かっこいい写真が撮れた。

 

日常生活や人間関係からネタを拾い上げる與座さん。全4回のうち最も社会性を感じる、おもしろがりセミナー第3回の放送はこちらから動画でもご覧いただけます

 

乙幡啓子 さんの場合

otz.jpg 乙幡さんといえば工作!ここでも、工作でおもしろがる方法を伝授してくれました。

乙幡さんのおもしろがり方

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妄想したものを目の前に実物として出現させたい!というのが工作のモチベーションです。
頭の中の2Dのアイデアを実際に作って3Dにしたい!

では何を?
おもしろがりのヒントは、「なんだか気になる、心に引っかかるもの」

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気になるもの、たとえば、

串カツ屋の看板の迫力。図鑑みたい。
あの死体の浮かび方。怖いんだけど、「そうはならないよな」というおもしろさ。
薬のパッケージ、豪華すぎでは??

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気になるものがあったら、それがなぜ気になっているのか理由を考えます。ふだんからそういう習慣をつける。

理由までわかったら、こんどはそれを、逆手にとって作品にします。ではどう逆手に取るか考えましょう。

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乙幡さんがよくやるのは3つ。
「意外な組み合わせ」「対象の特性を極端に強調する」「自分ごとにする」です。

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意外な組み合わせ。
たとえば串カツ屋のメニュー×周期表、芋づる式×クリスマス、木彫りの熊×ベアリング。
全然関係ない、普通は交わらないものどうしであるほど面白いです。

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対象の特性を極端に強調する。
心が凍る光景を実際に氷に、餃子のひっくり返す作業をオセロに、ハンガーでできたカラスの巣を人間の巣に。

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自分ごとにする。
薬のパッケージを宝飾品にしてつける、持ってみたい深海魚をマフラーにして持つ、パチンコを自分のデザインに。

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ここまで来たらおもしろがりテンションは最高潮。
しかしそのあと待っているのは、大変な制作。
なんとか制作を乗り越えて完成品が目の前にあらわれると、おもしろがりの第2波が到来します。それまで手を抜かずにがんばろう。

 

そんなおもしろがり方から生まれた記事

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「顧客が本当に必要だった物」のジオラマを作る
IT業界のシステム開発案件における「あるある」を風刺したイラスト「顧客が本当に必要だった物」。あれをジオラマにし、顧客が必要だったものランドを開園した。

 

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「市販薬の豪華パッケージでアクセサリーはできるか」
薬のパッケージがピカピカキラキラしていた。これを利用してアクセサリーをつくれないか。

 

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「「ベアリングマ」を作った
獲物がとれて「嬉しい!オラオラオラー!」と、得意になって首をぶん回す、その首にベアリングを仕込もうというわけである。ベアだけに。

乙幡さん、よくダジャレから工作のネタを考えているな―と思っていましたが、あれは最後にダジャレで命名しているだけみたいでした。おもしろがりセミナー第4回の放送はこちらから動画でもご覧いただけます


デイリーポータルZ新人賞は今週末、締切!

さてたっぷりおもしろがり力がたまったところで、新人賞は今週末31日、24:00締切です!いまからマッハで1本仕上げるもよし、過去の自信作をお送りいただいても構いません。まずは下の画像をクリックして特設ページをチェック!!!!!!!↓↓↓↓↓↓

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