特集 2015年5月28日

街角図鑑

段差スロープの名前が分かれば世界はこう見える
段差スロープの名前が分かれば世界はこう見える
世の中にはたくさんの図鑑がある。

昆虫図鑑、魚の図鑑、植物の図鑑などなど。

でもふと思った。まちなかで見かけるなんでもないもの、たとえばガードレールとか金網とかパイロンとか、そういうものの図鑑があってもいいんじゃないか?と。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

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街なかのものの図鑑がほしい

ぼくの家の本棚にはたくさんの図鑑がある。
昆虫図鑑、植物の図鑑、魚の図鑑、くふうの図鑑などなど
昆虫図鑑、植物の図鑑、魚の図鑑、くふうの図鑑などなど
昆虫図鑑にはいろんな昆虫の写真と名前がぎっしり
昆虫図鑑にはいろんな昆虫の写真と名前がぎっしり
知らない昆虫を見かけても、昆虫図鑑を見ればたいていの名前を調べることができる。図鑑はすごい。

魚の名前だって、木の名前だって、それらの特徴だって分かる。

でも、ふと思った。
たとえばこのパイロンの名前はなんなのか?
たとえばこのパイロンの名前はなんなのか?
街なかで見かける、なんでもないパイロン。

どれも同じように見えるが、実はいろんな種類があり、それぞれ違う名前を持っている。
たとえばこれはセフテック社の「カラーコーン」
たとえばこれはセフテック社の「カラーコーン」
これはズイホー産業の「ユニ・コーン」だ
これはズイホー産業の「ユニ・コーン」だ
いろんな種類があるパイロンなのに、そして街でしょっちゅう見かけるものなのに、「このパイロンはなんていう名前なんだろう?」と思った時に調べるための図鑑がないのだ。

これはぜったいにおかしい。どうしたって必要だし、欲しいじゃないか。
街角の図鑑
街角の図鑑
こういうのが欲しい。街なかで見かけるものの図鑑。
中身はこんなふうになってる
中身はこんなふうになってる
でもない。ないから、しょうがない。まずは自分で採集して、調べるところから始めよう。
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フィールドワークをしてみる

街に出て、実際に自分で調べてみよう。

たとえばこの風景。気になるものがいくつもある。
街路灯、案内標識、ガードパイプ
街路灯、案内標識、ガードパイプ
たとえば街路灯。名前を気にしたことなんかなかったけど、きっと名前があるだろう。
お!なんか書いてあるっぽい
お!なんか書いてあるっぽい
拡大すると「東芝街路照明器具」「HM-4035NK」と読める
拡大すると「東芝街路照明器具」「HM-4035NK」と読める
東芝街路照明器具という会社は今では東芝ライテックという会社になっているようだ。そしてHM-4035NKはもうカタログに載っていない、生産終了品のようだ。

暗い夜道を照らしていたのは彼だったのか、と思うと急に人ごとでないような気がしてくる。ありがとう、HM-4035NK! いつまでもがんばってほしい。
この案内標識は……
この案内標識は……
裏に回ると、
裏に回ると、
「製造者名:信号器材KK」と書いてある!
「製造者名:信号器材KK」と書いてある!
「信号器材株式会社」は信号や標識などを作っている会社で、「ライン企画工業株式会社」は設置工事などを請け負っている会社のようだ。

なるほど、そういうしくみになってるのか。
カーブミラーは……
カーブミラーは……
裏に回ると、
裏に回ると、
「道路開発株式会社」だ!
「道路開発株式会社」だ!
すばらしい。道路標識的なものは、裏にまわれば何かしら書いてある。
この交差点にある標識なりをぜんぶ調べてみたところ……
この交差点にある標識なりをぜんぶ調べてみたところ……
こうなった。信号器材KK!
こうなった。信号器材KK!
もはや東京は信号機材KKによって征服されているのかもしれない。

と思っていたところ、
曲がった個体を発見
曲がった個体を発見
野原産業!
野原産業!
調べてみると、野原産業も各種標識を含めて広く建築資材などを作っている会社らしい。さすがに東京中の標識を信号器材KKが独占ということはないか。そりゃそうか。
この交差点はこんなふうだった
この交差点はこんなふうだった
名前が分かるとうれしい。単純だけど、なんか面白い。そうか、この信号は小糸工業が作っていたのか。

いっぽうで、なんの情報も分からないものもあった。
たとえばガードレール
たとえばガードレール
裏にまわり込んでも、下にもぐっても何も書いてない
裏にまわり込んでも、下にもぐっても何も書いてない
調べてみると、ガードレールを作っている有名な会社は数社あるようだった。でも、見た目ではぼくには全然分からない。くやしい。やっぱり図鑑が欲しい。型番やら商品名やらが知りたい。

図鑑があれば、ガードレールの種類とかガードレールの各部名称とか載ってるに違いなのだ。
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段差スロープのなかま

フィールドワークをしていて気になったものがある。
これらだ
これらだ
段差を埋めるためのスロープ。いままで全然気にしたことはなかったが、近づいて見てみると、それぞれちゃんと個性があることが分かった。

たとえばこれ。
近づくと、
近づくと、
「キャスコーナー」
「キャスコーナー」
キャスコーナーは、株式会社ミスギの商品名であるらしい。鉄製でしっかりしている。
こんどはこれ。
こんどはこれ。
「JOY STEP」
「JOY STEP」
ジョイステップ。喜びの段差である。樹脂製のようだ。

いったいどれだけの種類があるのか。であった段差スロープをまとめてみた。
「段差スロープのなかま」
「段差スロープのなかま」
いい。ちょっと図鑑ぽくなった。

そしてやっぱりこういう図鑑は必要だと確信を深めるのでありました。だって、たとえば「花の図鑑」しかないと風景はこう見えるわけです。
「花の図鑑」で見える風景
「花の図鑑」で見える風景
でも「街角の図鑑」があれば、風景はこう見える。
「花の図鑑」+「街角の図鑑」で見える風景
「花の図鑑」+「街角の図鑑」で見える風景
どちらがより豊かな生活か、ということだと思うのだ。

ふだん目にしているのに名前の分からないものは街にたくさんある。それは、植物もそうだし、鳥もそうだし、路上の規格品もそうなのだ。それらの個性が分かるということは素晴らしい。

丁寧に暮らすってこういうことなんじゃないだろうか。
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公園にやってきた

近所の公園にやってきた。丁寧に暮らすためのフィールドワークを続けよう。気分はサードウェーブ系男子である。
近所の公園
近所の公園
公園の入口でまず出迎えてくれたのは、Teikin製の車止めだった。
Teikinの「バリカー横型・スタンダード」
Teikinの「バリカー横型・スタンダード」
バリカーとはバリケードとカーを組み合わせた、Teikinによる造語だ。ぼくは上質なコーヒーを飲みながらバリカーをくぐり抜けた。

中に入ると、複合遊具で遊ぶこどもたちが見えた。
中村製作所「プレイビルダー」シリーズ
中村製作所「プレイビルダー」シリーズ
「プレイビルダー ワタリーナ(PBN-044)」に近いが、うんていが足されているなど若干アレンジされているようだ。遊具の安全領域(安全のため確保すべき広さ)は20m x 10m程度だろうか。その内側に入らないように気をつけて進む。

向こうでは親子がシーソーに乗っていた。
コンパンプレイスケープの「スプリング」シリーズ
コンパンプレイスケープの「スプリング」シリーズ
またがる部分は「レーサー」の赤と黄だろう。新しい公園の遊具はコンパン製が増えているらしい。隣の遊具もコンパンだった。
コンパン「ハンモック」
コンパン「ハンモック」
SEIKOの時計で時間を確認したら、
SEIKOの時計で時間を確認したら、
中村製作所のベンチに腰掛ける。
中村製作所のベンチに腰掛ける。
淹れたてのシングルオリジンコーヒーを飲んでほっと一息。
イメージ画像
イメージ画像
つぎは気分を変えて別の公園に行ってみた。
昔ながらの公園だ
昔ながらの公園だ
昼下がり、上質なブランコにひとしきり座る。緑と、そよぐ風が気持ちいい。よく見ると座面にこんなマークが。
日都産業のマークだ
日都産業のマークだ
やっぱり日都産業か。こういう落ち着いた公園には、1939年創業の老舗がよく似合う。
すべり台ももちろん、日都産業。
すべり台ももちろん、日都産業。
家に帰ったら、図鑑で他の遊具についても調べてみよう。安全領域ってなんだろう。最近の流行も気になるなあ。

いかがでしたか? 街角の図鑑があれば、いつもの暮らしがこんなにも上質になります。パイロンや、車止めたちの品番が分かる日常を手に入れてみませんか。
こういう図鑑がほしい
こういう図鑑がほしい
とまあ、そんな気分になるようでもある。

本当につくりたい

段差スロープのページのサンプルを作ってて思ったんだけど、これは本当にぜひ欲しい。同人誌みたいにして作りたいなあと思っています。
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