特集 2018年12月12日

「ベアリングマ」を作った

今はただ静かにたたずむ木彫り風熊であるが…

この間、半身浴をしているときにヒグマのことを考えていて、そこから「ベアリング+クマ」で「ベアリングマ!」というダジャレが頭に浮かんだのだが、そういえばベアリングを仕込んだ熊の置物ってないかもと気づき、作ることにしたのだ。ヒグマからの落差がありすぎる。

獲物がとれて「嬉しい!オラオラオラー!」と、得意になって首をぶん回す、その首にベアリングを仕込もうというわけである。新しく激しい土産物は、果たして無事誕生するだろうか。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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単にダジャレと思うなかれ

ベアリングとは、回転する機器には必ず使われている部品だ。こう説明するよりも、ひところ大ブームになった「ハンドスピナー」の中心にある部品といえばわかりやすいだろう。

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もはや懐かしおもちゃといったたたずまい。
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取り出した後の写真だが、これがハンドスピナーの中心にいらっしゃったベアリング。


軸を滑らかに、かつ発熱や摩擦も少なく回転させることのできる大切な部品だ。産業界になくてはならない。しかし今日は、自然界のヒグマの首に埋める算段である。

ちなみにベアリングの「bear」は「担う」「運ぶ」という意味の動詞だが、熊を意味する「bear」とはたまたま字が同じで、語源はまったく違うそうだ。というか、2つともスペル同じだったのか。海外にも通じるかなダジャレ。

ところで、うすうすお気付きの方もいらっしゃるだろうが、この企画を風呂で考えついたのは漫画「ゴールデンカムイ」に触発されてのことである。作中、ヒグマが獲物を投げ上げもてあそぶ習性があると紹介されていたのだ。壮絶なシーンでした。

ちなみにうちの犬も、おもちゃで遊んでいて興がのってくると、高く頭上に放り投げるぞ。

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次はお前も作ってやるからな、ベアリングで。

ベアリングで首を回転させたら、なんとなくその光景に近い感じになるのでは、と思ったのだ。

テクスチャーは、あくまで「木彫りの熊」を参考にしたいが、現存のを改造するとあっという間に話が終わるので、ここは一から熊を彫っていくことにする。あー、もうすでに不安だがやるしかない。

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今回参考にするのは、ゴールデンカムイと、可動「木彫りの熊」フィギュア。

では作ってまいりましょう、と、その前に。

制作写真がいつも淡々と並ぶだけなので、今回はちょっと趣向を変えて、作られた本人にも登場いただき、制作の様子を共に見ていこうと思う。よくいらっしゃいました。

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作ってくれてありがとう。首、よく回りますよ。
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それはよかった。それに体が軽いでしょう。こういう素材で作ってるんです。
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(002)ベアリング基準で大きさを決めて、スタイロフォームを彫っていく所存。
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どうりで。でも木彫りの熊、にしては体が大きすぎやしませんか。トップの写真ではあまりそう見えないようだけど。
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それは私がおっかなびっくり彫っているからですな。
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頭に対して、だいたいこんな感じで、とスタイロを切り出した。もうこれで完成にしたいくらいだ。
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05)ものすごく紆余曲折してなんとか形が出てきた。
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彫刻やってる人は、最初にザク彫りだけでおおよその形を出せますよね、「総論から各論へ」みたいな感じで。私みたいな素人は「各論」をちまちま積み上げて、挙げ句の果てに全体像がよくわからなくなる感じです。
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ふーん。
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ふーんて。まあ、よくわからなくなる→微調整→だんだんわかりかける→微調整を、死ぬほど繰り返さないと、ダメなわけ。
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ベアリングはここに収まる予定。
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念のため下地を塗ったあと、石粉粘土を貼り付ける。このほうが食いつきいいかと思って。
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粘土盛るんですか。スタイロ何とかに彫り目を入れるわけじゃないんですね。
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スタイロ何とかには彫刻刀で彫り目を入れるのは困難ですから。グズグズって崩れる。
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じゃあスタイロじゃなくて最初から木彫りで良かったのでは。
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本物の木はとてもじゃないけど、私にはハードル高すぎ。
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じゃあこれは「木彫り風粘土オンザスタイロ熊」ですね正式名は。
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熊、細かいな。
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よって、石粉粘土が乾いたら、そこに彫り目を入れていくというわけだ。
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「それっぽく」精神が勝利する日も近いぞ。
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「それっぽく」ブラシを重ねていく。
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ベアリングを埋めてみた。これが本当の「ベアリングマ」だったのかもしれない…
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一瞬でもこんな異形のモノにされるとは心外です。おれは首なし鶏マイクか。
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経過観察ですよ。問題なければ頭部を接合しますから(マイク…)。
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頭部側の埋め込みテスト。
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この、頭部とベアリング回転部分との1mmほどの隙間が、保持されていなければならないのです!体側でも、その隙間の具合を試していたわけですよ。
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そうでしたか、それは失礼しました。腹が減ってイラついてしまって…。
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(!)マジっすか、急ぎます。

やがて、オツハタ研究所で誕生した特殊生物ベアリングマがこれだ!
 

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