まとめ
ビジネス系トピックでもあるので「カバンにしまえる大きさのジオラマ」を意識してみたが、アトラクションが過密気味となってしまった。
あの呑気で不気味な雰囲気を再現するには、もっと広い土台が良かったかもしれない。展示などする際は作り変えようと思う。その時は表示板も多言語対応だ。ゆくゆくはカリフォルニアやフロリダにも支店を出したい。
ふだんテーマパークや遊園地になどめったに行かない自分だが、自粛期間が長引くにつれ、そういう場所も恋しく思えてくる。
せめてそういう遊び場のジオラマを作って、恋しい気持ちを昇華できればと思うのだ。
たとえそれが「顧客が本当に必要だった物」だったとしても。
「顧客が本当に必要だった物」などといきなり切り出してしまい申し訳無い。そういう、IT業界のシステム開発案件における「あるある」を風刺したイラストが存在するのだ。まずはその風刺画の説明をしよう。
私が目にしたのは10年くらい前だったか。面白いし、よくできてるなぁと、定期的に見たくなる絵だ。今回調べて初めて知ったのだが、元ネタはもうすでに70年代からあるという。元は、アメリカ産業界あるあるネタを風刺したイラストだったもよう。
私もアルバイトで数年間ではあるがIT企業にいたことがあり(開発には関わらず)、上記のような雰囲気は部を横断してなんとなく感じられた。
ざっくり言えば「要件のまとめきれてない顧客と、その本当の要望をすくいきれずおのおの勝手な思い込みで走り、瓦解していく開発チーム」といったところだろうか。哀愁を禁じ得ません。
ところで私はその内容もさることながら、この絵の雰囲気が大好きだ。牧歌的なタッチでありながら、示す内容はそこはかとなく狂気をはらんでおり、そこに人気(ひとけ)のない光景が広がって、いっそう不気味に見える。いい。
なのでどこにも行かれないゴールデンウィークに、この原っぱをジオラマにして、せめて外出気分を味わおうと思ったのである。テーマパーク「顧客が必要だったものランド」の建設だ!たぶんここまでで論理の破綻はしてないはずだ。
まさかこの粘土細工を、計8本弱(イラストは10パターンだが木が登場するのは8パターンですね)作ると思っちゃいませんね?シリコーンで型をとって、レジンで複製するのです。
根っこは構造的に空気が入ってしまったが、他はだいたい成功した。これは8本型取りしたあと、裁断や彩色などしておこう。
葉っぱはどうしよう。フェルト原毛?やっぱり粘土?うーん…と迷う合間に、小道具をちまちまと作っていく。
さて問題の葉っぱ部分だが、全ての木に統一感を出したかったので、粘土で作って複製することにした。幹と一体型成形で良かったのかも…
大きさも抑えたし、簡易な形だしとタカをくくっていたのだけど、やることが多すぎて全然完成が見えてこない。作業時間が長いと、我に帰る瞬間が多くなる。「『顧客が本当に必要だった物』ランド?なんだそりゃ!」と新鮮にハッとしつつ、このへん作業しておりますよ。
これがまた対象が小さいもんだから、接着や固定など大変である。そんな中で再現力高く制作するドールハウスやジオラマ職人の方は本当に尊敬する。
作っても作ってもまだまだ終わらぬ。10パターン分の光景、甘く見ておりました。
しかしようやく大道具小道具が出揃い、箱庭感覚の敷地建設が始まるのだ。
うちにあった素麺セットの木箱の蓋を利用して、大地を作ろう。
そしてやっと、テーマ(が残念な)パーク「顧客が本当に必要だった物ランド」がここに開園したのだった。
こうしてうちのリビングに「顧客が必要だった物ランド」が出現し、いつでも年パスでじっくり堪能できることとなった。
ひとけもないので、ソーシャルディスタンスもばっちり確保だ。
ひととおり回ったあとの虚無感も他では味わえないポイントだと思う。
ビジネス系トピックでもあるので「カバンにしまえる大きさのジオラマ」を意識してみたが、アトラクションが過密気味となってしまった。
あの呑気で不気味な雰囲気を再現するには、もっと広い土台が良かったかもしれない。展示などする際は作り変えようと思う。その時は表示板も多言語対応だ。ゆくゆくはカリフォルニアやフロリダにも支店を出したい。
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