特集 2024年7月1日

9年かけて12本のハブの記事を書いている~伊藤さんハブまとめ

ライター伊藤さんは定期的にずっとハブの記事を書いています。
ゴールデンウイークと夏休みはずっと島に滞在し、ハブのためにカメラを買い揃えました。

その情熱はどこから来るのか、どうやって探しているのか、いくらかかっているのか。

不躾に話を聞きました。

ハブが島ごとにぜんぜん違うことも分かります。
(アフタートークとして公開した動画の文字起こしです)

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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ハブの記事12本

林:
伊藤さんがどれだけハブに情熱を持ってるかを読者のみなさんにちゃんと伝えてなかったのではないかと思ってこの機会を設けました。『なんかいつもハブを見に行ってる』というイメージで、どれぐらい網羅しているのかまとめたいなと。
伊藤:
ありがとうございます。
林:
まず、伊藤さんが書いた記事をまとめたので見てください。

伊藤:
こんなにありましたか。
林:
12本載せてました。1番最初が2015年に石垣に行ったものから、最新の奄美大島のちょっと南にある与路島(よろじま)行った記事まで全部で12本です。
林:
北限のハブに会いに行く の次に 北限よりちょっと南のハブに会いに行くが登場したあたりで、そこ行くんだと思いました。
『北限のハブ』は分かる。でも 『北限のちょっと南のハブ』って言われたときに『ん?』ってなったんじゃないかと。 そこまでみんな ハブへの情熱がないかもしれない。
伊藤:
おっしゃることはすごいわかります。

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紀行文を書いている

林:
伊藤さんのハブの記事は、伊藤さんがハブに対して奮闘する姿が主題ですか。
伊藤:
ハブという生き物のことを書いてるというよりも紀行文を書いていると、内心思っています。
林:
行った先でハブ取り名人や地元の方との交流がある。南の島で知らないおじさんと交流して、あそこまでよく親密になれますね。
伊藤:
ありがたいことですよね。
東京からわざわざハブを探して写真を撮りに来るっていう物好きの存在が、小さい島にはあまりないことみたいで。
伊藤:
記事にした請島(うけじま)・与路島(よろじま)は島に宿が1つとかの小さい島で、人口100人いないんですね。なんだこいつはみたいな感じで興味持ってもらえて、みんな一生懸命親戚に聞いてくれたりとかしてくれるんです。
林:
東京からハブ撮りに来たやついるぞ、ってなりますよね。

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すごいところ・無人島に住む人に会ってる

林:
オーハ島で見た事ないハブ見つけて、さらにそこに住んでる家族に会ったじゃないですか。あれ、軽くスクープじゃないですか。 記事【無人島でハブ探しをしたらハブも人もいた
伊藤:
会いました。何気にびっくりしましたね。
オーハ島には元々は人が住んでたんですが、過疎化が進んで無人島になったといわれていました。あと市橋達也が逃げ込んだ、っていうニュースもあったりした島ですね。
林:
本に登場した島?

 

逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録

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伊藤:
そうなんですよ。それで、逃亡犯が手記を書いてるんですよ。
林:
読みましたよ。
伊藤:
その本に『ハブを見つけた』みたいなことが書いてあったんですね。そうか、と思いながらも、 そんな真っ昼間に見つけるもんかな、って思ったりして。
林:
伊藤さんはあの本をそういう視点で読んだんだ
伊藤:
オーハ島は久米島の隣の島なんですけど。 久米島にいろいろ情報いただけるネイチャーガイドやってる方がいまして、『オーハ島はハブ天国』って言われてるよ、みたいなことを聞いて。
林:
地獄みたいな天国
伊藤:
俄然興味が湧いてきたんですけど無人島なので、どうにか行く手段ないかなと思ってたんです。平坂さんから紹介してもらった人のコネクションでチャーター船が出せるっていうのでお願いして船で渡ったんです。
林:
そしたら、無人島のはずなんだけど人が住んでた。
伊藤:
周りの人からすると、もう人がいるってことは既に周知の事実みたいな感じだったんですよ。
林:
すごいな
伊藤:
そうなんですよ。『詳しくは現地で聞きな』みたいに言われて。現地でって誰に?と思ってたんですけど、上陸したら確かに整備されてると気づきました。

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意外にハブに出会えている

林:
そんな地元の人との交流もありますが、伊藤さんがこれまでで出会ったハブを地図にマッピングしました。

林:
空振りが多いイメージがあったんですけど、ハブに結構出会ってるんですよね。
伊藤:
これはですね、やっぱりね回を重ねるにつれ腕が上がったんですよ。
林:
サラリーマンなのにハブ探しの腕を上げた。
伊藤:
そうなんです。最初の方の記事は空ぶってるんですよね。久米島に行った時はすぐ逃げられたみたいな内容だった。
林:
久米島の写真は、シュッて通り過ぎてる写真だけありますけど。
 

伊藤: 
でもあれから6、7年経ってるじゃないですか。その間に、実は再訪してハブ見つけてるんですよ。

048.jpg

林:
この前の請島(うけじま)は久しぶりのハブ見られないレポートでしたね。 【奄美の秘境、請島へ!〜ハブのいる島めぐり
伊藤:
そうですね。
林:
北限と北限のとなり、小宝島、宝島は見つけてるんですよね。
伊藤:
宝島、小宝島は何がすごいって、ハブがすごく多いんですよ!

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基本・ハブの種類

林:
宝島、小宝島のハブの話が出たところで、ハブの種類の話を聞かせてください。全部洗い出せたか自信ないんですけど、さっき記事を全部読んで種類を書きだしました。

ホンハブ
ヒメハブ
久米島ハブ
赤ハブ
奄美ハブ
トカラハブ

林:
まず何から聞けばいいかな。ホンハブっていうのはハブですか?
伊藤:
ホンハブは、皆さんがハブって認知しているいわゆるハブです。
林:
「ハブって認知」が難易度が高いかもしれない
伊藤:
沖縄にハブいて怖い、って言うけど、そのイメージしているハブはホンハブですね。
林:
ホンハブっていうのは、背中に鎖みたいな模様がありますね。

001_honhabu.jpg

伊藤:
複雑な模様がありますよね。
伊藤:
今あげてもらってる中でいうと、ホンハブ、久米島ハブ、赤ハブ、奄美ハブは今のところ種類的には一緒です。全部同じ種
林:
呼ばれ方が違う。でも、久米島ハブは模様がシンプルだって書いてましたよね。

伊藤:
模様は全然違うんですけど、種類としては同じハブ。
林:
ローカライズっていうか、狭い地域で独自の進化をしてるんですかね。
伊藤:
そうなんですよ。久米島には、いわゆる普通の模様のハブもいて、僕が見た中では大体5分5分ぐらいの確率でした。

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ハブは北に行くほど黄色みが強くなる

林:
奄美の記事ですけど、これはホンハブでいいのかな。

伊藤:
奄美と沖縄のハブも模様が違うんですよ。沖縄のハブはもっと体の模様が複雑で、全体に黄色とか緑がかってるんですよ。
林:
奄美のは渋い色ですもんね。
伊藤:
これちょっと褐色じゃないですか。毒の種類も実は違っていた、っていうのが最近分かってきたみたいです。
林:
奄美にいるのは何ハブなんですか?
伊藤:
でも種としてはホンハブ。
ただ、かなり違いがあることが今分かってきているんで、 今後どうなるんだろうねっていうのはあります。見た目も違うし毒の種類も違う。 奄美の方が獲物の筋肉を壊死させる成分が強いらしい。
林:
けっこう違う
伊藤:
沖縄ハブの方が毒の成分が弱いということらしいです。
林:
奄美の方が毒としてはタチが悪いってこと?
伊藤:
奄美の方が獲物が大きいからじゃないの?っていう説なんですね。
林:
これは何ハブですか。

伊藤:
ホンハブです。
林:
黄色っぽい。
伊藤:
これは明確にそう証明されてるわけじゃないんですけども、ハブ獲り名人の方と話すと北に行くほど黄色みが強くなる傾向がある。 僕も確かに実感してて、北の方のハブはちょっと黄色み強いなと感じてます。
林:
会社員の発言ではない。

奄美大島の着物の模様はハブ

林:
ハブの柄って沖縄の着物の柄に似てませんか?
伊藤:
奄美大島の大島紬っていう伝統工芸品の着物の柄はハブの背模様をモチーフにしたものと言われてますよね。​

014_oshimatsumugi.jpg

伊藤:
大島紬はソテツの葉とハブの背中の模様がモチーフになっていて、大島紬も地方によっていろんな柄があって、。大島紬(龍郷柄)っていう柄があるんですけど、請島の記事に載ってます。
林:
怖いけど、着物の柄にするぐらい好きという。

模様は違うけどハブ

林:
ホンハブは地域によって模様の違いはあるけど種類は同じであると。
伊藤:
生物学的な種類は同じハブなんですけど、見た目だとか特徴によって名前が違う。久米島ハブって言われてるのもあるし。あとは、金ハブだとか銀ハブっていう呼び方を聞いたことないですか?
林:
いや、すいません、ちょっと存じ上げず
伊藤:
体の色によって呼ばれ方が違う場合もあるんです。
金色に見えるものは金ハブって言われたりするし、シルバーみのあるハブだと銀ハブって言われたりするんです。
林:
金も銀も種類としては同じハブ
伊藤:
奄美ハブと沖縄ハブに、今後は分けられるんじゃないかみたいな話を聞いたことあります。
林:
アツいですね
伊藤:
まだ分かれてないし、そんなすぐには決まらないと思いますけどね。

ヒメハブとトカラハブは別種

伊藤:
ヒメハブはヤマハブ属といって生物学的に属名も違います(※)。トカラハブはホンハブに近いんですけど種類としては別種です。
※ホンハブやトカラハブ、サキシマハブは「ハブ属」
林:
トカラハブ全然柄が違いますもんね。

003_kotakara.jpg

伊藤:
柄も大きさも違います。
林:
黄土色ですよね。
伊藤:
黄土色に小さい細かい模様がついてるんです。あと、真っ黒なやつがいます。
林:
毒も弱い。
伊藤:
毒も弱くて血清もないので、噛まれた人は我慢するしかないんです。
林:
我慢でなんとかなる?
伊藤:
我慢でなんとかなるみたいです。いちおう死亡例はないとされてるみたいんですけど…。
ハブが原因で亡くなったんじゃないか、みたいな例は聞きました。酔っぱらった時にいたずらで手を出して噛まれて毒が回っちゃった、とか。
林:
酔っぱらって居酒屋の犬に手を出して噛まれる人みたいな
伊藤:
トカラ列島が昔もっと秘境って言われてた時代に新聞社が出している訪問記の写真に『この子はトカラハブにかまれて破傷風が原因で残念ながら亡くなった』って書いてあって。なんだいるんじゃないか、とは思ったんですけど。


​​​​​​​

林:
よし、1回ここで締めます。続きはまた次回。
伊藤:
ありがとうございました。​
林:
素人なりにハブ記事を俯瞰するつもりが各論に入ってしまった

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