特集 2024年7月1日

9年かけて12本のハブの記事を書いている~伊藤さんハブまとめ

ゴールデンウイークと夏休みはすべてハブにつぎ込む

林:
ゴールデンウイークとか夏休みに連絡取ると「今ハブ探してます」って返事が来るじゃないですか。
伊藤:
大体そうですね。
林:
長期の休みを全部ハブに使ってるんですか。
伊藤:
ほぼ全部使ってますね。ゴールデンウィークの例でいくと、今年は帰ってきて翌日仕事でしたから9泊ぐらいしたのかな。
林:
ゴールデンウィークで最大10連休とかそういう時は、 ハブがいる島にずっといるんですね。
伊藤:
夏休みもですね。
ぼくの働いてる会社はお盆休みが夏休みなので、 8月の半ばに行くんです。でも、ハブ的にはあんま良くないんですよ。
林:
ハブ的には良くないんですか?
伊藤:
南国のヘビですけどそんなに暑さに強くなくて、 8月でいちばん暑くなる時期は活動活発じゃない。 5,6月とか9,10月みたいな時期が良いんですよ。
林:
たっぷり休みを取って沖縄から帰ってきて翌日仕事だと、もうクタクタの状態で行くわけですよね。
伊藤:
そうですね。まぁ、会社ではおくびにも出さないようにしてますけど。内心、昨日楽しかったな、とか、ハブの写真整理したいなって思ってます。

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飛行機が高い時期

林:
飛行機の値段がいちばん高い時期じゃないですか。
伊藤:
高いですね。
林:
離島へ行くときは一旦沖縄に行くんですか。
伊藤:
奄美だったら直行便はあるんですけどね。
林:
奄美は高そうですね。
伊藤:
奄美の便数が少ないので高いです。LCCがあると安いんですけどね。ハイシーズンがはじまる前日の夜に入っちゃうとか、色々努力はしています。
最近はとくにレンタカーが高いです。
林:
たまに水上タクシーとかチャーターしてるじゃないですか。あれっていくらするんですか。
伊藤:
奄美の場合15,000円でした。
林:
おじさん1人雇って、伊藤さんのために船出してもらうんすもんね。
伊藤:
ガソリン代とかを考えると、多分破格的に安いはずなんですけどね。
林:
水上タクシーで30分ぐらいはかかるんですか。
伊藤:
40分ぐらいですかね。
林:
結構かかりますね。
伊藤:
迂回して外海のほう回るので、結構揺れるんですよ。
伊藤:
船主の人が、多分70歳近い方だったのかな。
「趣味でカエルとかトカゲで写真撮ってんだよ。お兄ちゃん、詳しいんだったら種類なんだか教えてくれよ」って言われて。ものすごく揺れる船の中で、船主の方のスマホ見せられてましたよ。
林:
googleレンズで調べた、って書いてありましたね。
伊藤:
慣れたもんでね、全然前見ないで僕に話しかけてきて、すげえなと思いましたよ。
林:
長期の休みを使って結構なお金をかけて現地行って探してるんですよね。そして、記事中では1行で「丸2日間回ったが蛇はいなかった」とか書いてあるじゃないですか。
伊藤:
そうですね。
​​​林:
ぜいたくな1行ですよね。2日間かかっている。
伊藤:
今回の例でいくと、請島ってレンタカーとか何もないんです。とにかく歩き回る。
林:
山から転げ落ちてましたよね。
伊藤:
あれは、かっこ悪かったですね。
林:
かっこ悪いっていうか、危ないですよ。
伊藤:
褒められた瞬間だったんですよね。GoProをずっと回してたんですよ。
林:
GoProで撮ってた、転がったときの一瞬の写真使ってましたね。

伊藤:
動画はちょっとえぐいので公開しませんでした。

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晩ごはんのあとにハブを探しに行く

林:
だいたい民宿に泊まってますね。伊藤さんがハブを探しに行くのってだいたい夜ですよね。
伊藤:
そうですそうです。
林:
じゃ、昼間寝てるんですか?
伊藤:
昼間は普通の人よりは遅いかな。でも、 朝ごはんもついてるので、いわゆる朝っていう時間に起きてます。だから睡眠時間削ってますよ。
林:
だいたい何時から行動するんですか。
伊藤:
今回の請島だと、日が落ちて7時半過ぎぐらいに民宿を出て、山に向かって歩き出すんです。
地元の方がよく知っているハブが通る「ハブ道」っていうのがあるんで、教えてもらって。教えてもらった場所を見に行って、夜中の1時30分から2時くらいまで歩きまくる感じですね。
林:
知らない島へ行って、夜中に林道を通るんですよね。ちゃんと舗装してあるんですか?
伊藤:
だいたい舗装されています。
林:
そういう道を歩いて、4時間か5時間歩いて帰ってくる。
伊藤:
そうですね、側溝覗いたり、ハブは木にも登るんで上を見て下も見てると、結構忙しいんですよ。
林:
いろんな動物もいますもんね。
伊藤:
ハブより、猫とかイノシシとかの方が怖いです。
林:
イノシシは怖いですよね。
伊藤:
リュウキュウイノシシっていうのは、本州のイノシシよりも 体小さいし、おとなしいんですけどね。
伊藤:
だけど、パニックになって弾丸のようなスピードで逃げるような行動をすると怖い。向こうの影から威嚇してくる。鼻息をシュシュってこっちに向けて出してきて、漆黒の真夜中なのでこわいですよ。ちょっとこう、人間に近い哺乳類の気配って怖いじゃないですか。
林:
猫はなんで怖いんですか?
伊藤:
猫は急に目が光ってこっち見てるから、こわいじゃないですか。
林:
なるほど、そうですね。
伊藤:
ビクッとします。全然ハブなんかより怖い。
林:
林道って街灯あるんですか?
伊藤:
ほぼないですね。
林:
ないですよね。
伊藤:
自分ライトだけなんで、ほんと真っ暗ですよ。
林:
普通に危ないですよね。滑落したとき誰も助けてくれないわけじゃないですか。
伊藤:
1人の時はそうですね。地元の方に迷惑かけるのがいちばんいけないと思ってて、めちゃめちゃ無理はしないようにしてます。

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ハブを撮るためのカメラ

林:
最近の記事の写真が、真っ暗なところでも写真がすごくきれいになっているんですど、カメラとレンズもいいの使ってますよね。

image13.jpg

伊藤:
もう、それは一期一会なんで。
最初の方の記事はうまく撮れてないんですよ。以前は本当に素人だったんで、カメラが悪いっていうより、何が必要かを自分がわかってないんですよね。 夜に生き物を撮影するのには何が必要かを。
林:
8年前ってそんなにカメラ凝ってなかったんですか?
伊藤:
一眼レフのデジタルカメラは持ってましたけど。普通に明かりを当てて、ISOあげて撮ってました。
林:
今は違うんですか?
伊藤:
今は外付けのストロボ付けて、ディフューザー付けて、フルサイズでレンズも買い揃えて。もう色々照明も変えて撮ってます。
林:
いちいち高そうだ
伊藤:
外付けストロボのディフューザーをつけて。それだと、補助光がなくなちゃって、ピントが合わせられなくなってしまうので、さらにレンズの先に小さいクリップライトをつけています。補助光代わりにして、ピント合わせてシャッターでバシっと撮る。
林:
補助光の時に蛇とか逃げないですか?
伊藤:
逃げようとしたら、棒で押さえつけます。
林:
急なローテク。ソニーの夜中の焚き火が写るぐらい感度の高いカメラありますよね。
伊藤:
夜中の焚き火が映るカメラは7Sシリーズだと思うんですけど、僕はα7IIIです。フルサイズでそれなりの画素数があるカメラで、ストロボをたいて撮影してます。
林:
ハブが出てきてその場でレンズ変えるんすか?
伊藤:
変えないす。なので「これでいくぞ」ってその日ごとに決めていきます。
林:
ハブを撮る時のお決まりのレンズは何ですか?
伊藤:
今までは90ミリの単焦点レンズのマクロみたいの使ってたりだとか、この前間違えて買ったっていう100ミリのレンズ使ってたりします。【間違えて買ったレンズレビュー
伊藤:
最近90とか100ミリだと望遠に寄りすぎるなとというのもあって、60ミリとか50ミリ付近でいいレンズないかな、って探してます。
林:
伊藤さんがハブに近づけるようになったってことなんですかね。
伊藤:
それもあるし、大きいのが見つかるようになってきた。
林:
大きいハブが見つけられるようになったんだ。
伊藤:
そうなんです。
ハブの全身入れたいから距離を取るとストロボが届かなくなっちゃうんですよ。迷ってるんですね、ストロボ強くしようか、レンズを変えようか。
林:
50ミリってポートレート写真をかっこよく撮るレンズですよね。
伊藤:
人を撮りたいって一度も思ったことはないですね。
林:
50ミリで人を撮影すると顔がシュッとしますけどね。
伊藤:
50ミリ、60ミリってやっぱメーカーが力入れるからいいレンズ多いんですよね。ただ寄れなかったりするんですよね。
林:
90ミリだと虫とか捕るの大変じゃないですか?
伊藤:
90ミリは虫だったら大丈夫ですかね。
林:
虫もそんなに近くにいるわけじゃないですしね。
伊藤:
そうですね。
林:
下世話な話ですけど、レンズ1本10万以上しますよね。
伊藤:
10万円前後ですね。
林:
昨日からずっと新しいカメラ10万円くらいで、買おうか迷ってたんですけど、今の伊藤さんの話聞いて買おうと思います。
伊藤:
最近、カメラ高いですよね。
林:
高いですよね。
伊藤:
なんでこんな高くなっちゃったのかな。
sonyもα7IIIっていう機種が出て。それがいわゆるスタンダードモデルみたいなって、僕も使ってて。
その後継みたいな感じでα7 IVが出たら、急に倍ぐらいの値段になっちゃって。
林:
RX100とかもいつの間にかすごい高いですよね。
伊藤:
コンデジもめちゃめちゃ高いですよね。

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島はお金を使うところがないからお金がかからない

林:
伊藤さん、収入をハブに注ぎ込んでるって言ってましたもんね。
伊藤:
メンタルがちょっと細いところがあるから、ちゃんと旅費とかはexcelでつけてるんですよ。
林:
そうなんですか。
伊藤:
割としっかり、どれくらいかかってるか把握してます。履歴は残しておこうと思ってます。ちょっとビビりなんですよ。
今回のゴールデンウィークで20万ちょっとくらいですね。
林:
1週間の旅行でそれぐらいならいいですよね。
伊藤:
現地で使わないんですよ。
林:
そうか、使いようがないですもんね。
伊藤:
お店がなくて自販機しかなかったりするので。
ハイシーズンに奄美大島みたいな大きい島行ってレンタカー使うと、かなりお金を使いますけどね。
林:
ハワイに行ったら、ごはん一食3000円とかかかりますから。
伊藤:
いわゆる家族持ちのサラリーマンの人がファミリーでどっかへ行くよりは安いんじゃないかな。
林:
安いですよ、きっと。
伊藤:
宿もそんな豪華なところ泊まってないし。
林:
毎回民宿のごはんがめちゃめちゃ美味そうですね。

image11.jpg

伊藤:
離島の民宿はちょっと癖になりますね。
昼間に磯で見かけた貝とかがちゃんと食卓にのってたりするんで、それはうまいんですよ。
林:
うまいでしょうね。
伊藤:
そう、びっくりするぐらい。「これ利益取れるんですか?」みたいな食事が出てきます。離島の民宿は食事つきにしたほうがいいですよ。
林:
他に食べられるとこもないですよね。
伊藤:
請島レベルだと何もないですね。昼食は本当にカップラーメン買うとかしかないんです。
林:
お金すごい使い込んでるんじゃないかと思ったけど、実はそんなでもないってこともわかって安心ですね。

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有人島にはほとんど行った

林:
これで 伊藤さんが何をしてるかっていうのはわかってもらえたんじゃないかなと思います。
今後何か予定していますか?
伊藤:
定期便が出ている有人島はほぼ行ってると思うんですよね。
スキューバダイビングをやって帰ってくるような離島があるじゃないですか。
そういうような島にハブがいるって言われている場所があるんですよ。そういう島は、どうしようかなって思っていて。
林:
何島っていうんですか。
伊藤:
石垣島の方のパナリ島という島です。パナリ島だと泊まる手段がないからどうしようと、迷っています。そういう場所を除けば、ほぼ有人島は行ってますかね。ただ、 行ってハブを見つけたけど記事にしてないしてない島はいっぱいあるんですよ。
林:
ハブにも、なんとか線とかあるんですか。生き物の境界の線ってありますよね。ブラキストン線かな。
伊藤:
確か奄美の方にひかれてなかったでしたっけ?ブラキストン線は、北海道の北の方じゃないですか。南は漢字だったような気がするな。
林:
渡瀬線だ。渡瀬線っていうのが確かにハブの境界線ですね。

image10.png
この赤い線(渡瀬線)より北にはハブがいない

伊藤:
この辺の島々って中国大陸から分かれた時に大陸から離れてきてるじゃないですか。
中国大陸についてる時に、多分黄河みたいな川で隔てられていて、それが離れて散らばってこっちに来てる。トカラハブと系統が違うヘビが分布してんじゃないかっていうようなことじゃないですかね。

ハブがいないと言われてる島に行って

伊藤:
僕自身もちゃんと、総括じゃないですけど、ちゃんとまとめなきゃなと思ってるんですよね。
林:
これ、誰かがまとめた方がいいんじゃないですか。
伊藤:
行ってみてどういう傾向だったかとか、総括しなきゃなとはちょっと思ってるんですけど、30島以上行くと物見遊山的な感じでも情報はいっぱいになっちゃってて。
林:
ハブマガジンみたいな作って、いろんな人が寄稿してるふりフリして全部自分が書いている、とかだといいですかね。
伊藤:
もうネットじゃなくて、同人誌的にまとめなきゃダメかな。
林:
誰か編集の人が立つといいですね。
伊藤:
そうなんですよ。あとハブがいないと言われてる島も、本当にいないのか見に行かなくてはいけないのではないかと。
林:
それをやり始めると、 板橋とかにも行かなきゃいけなくなりますよ。
伊藤:
板橋は間違いなくいないですからね。
宮古島だとか、もうちょっとその辺の小さい島とか、本当にいないのかどうかを見てきて「いないや!」って言う。
林:
でも、それ、たまたま出会わなかっただけかもしれないですよね。
伊藤:
証明ができない。
林:
そう、証明できないですよね。
伊藤:
自分で見に行って、いなかった、
林:
底なしですね。

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