住所を間違えて送ってしまい誰も来ない
デイリーポータルZにはチャーハン部という部活動がある。集まってチャーハンを食べに行く部だ。
今回、編集部の橋田さん、安藤さんがチャーハン部に参加してくれた。
予定を調整して「じゃあこの日で! もし他の人も来れたら来てください!」とメッセージを送り、当日の朝にはリマインドとして「この場所に19:00に集合しましょう」と住所を送った。
みんながわざわざお店を検索して住所を調べなくても、コピペすれば来れるような配慮である。部長のやさしさが出た瞬間だった。
そして、時間になっても来ない。待ってる間に「居酒屋どうですか?」とめちゃくちゃ誘われる。どうする、もう飲みに行くか?なんで誰も来ないんだ。あれか、急にみんな退部した?
そしたらさ、朝に送った住所を間違えていたよね。
「すみません!でも、仕事で疲れているからしょうがないですよね」といいわけした。冷ややか視線を感じたが、無視をしてそのままお店にはいった。自分で言う台詞じゃないかもしれないが気持ちを切り替えていこう。
かにチャーハンの店に行く
ここのチャーハンはかにがたっぷり入った豪華なチャーハンがリーズナブルな値段で食べられるらしい。かにたっぷりのチャーハンがあれば、かにみそが入ったチャーハン、エビマヨチャーハンなどどれもおいしそうで、われわれは券売機の前で迷いに迷っていた。
絵面を気にして、それぞれ違ったチャーハンを食べた方がいいのか、自分の食べたいチャーハンを食べたほうがいいのか迷う。ここで部長の江ノ島がこう言った。
「食べたいものを食べたほうがいいですよ」
欲望が開放され、全員が食べたいチャーハンのボタンを押した瞬間だった。
そして、橋田さんはかにかにチャーハン、安藤さんはかにみそチャーハン、そして江ノ島はエビ中華マヨ和えチャーハンにした。
した。と書いたけど、あとで写真を見てたぶんそうだろうと思って書いている。自分のチャーハンが食べたい気持ちにあふれすぎていて誰がどれを頼んだか見てなかったから。
このお店、チャーハンの提供がかなり早く、立ち食いそばぐらい早い。チャーハンはパッと食べて、スッと帰るのが粋だと思う自分にとって理想のお店。
かにチャーハンを食べる
そして橋田さんのかにかにチャーハンがやってきた。
「こんなにのって採算合うのかな」と橋田さんは心配をしている。心配したくなるチャーハン。
チャーハンだけでもおいしいのに、そこにかにがたっぷり入ったらどうなると思う? 正月に食べてもいいぐらいめでたくて、おいしいチャーハン。あけましておめでとうございます。
かにを全部使ったチャーハンと言ってもいいかに肉入りかにみそチャーハン。こんなチャーハン、高級中華料理屋でしか見たことない。高級中華料理屋行ったことないからわからないけど、きっとあるだろう。今度、チャーハン部で行こうな。
いろいろな角度からかにのうま味がやってくる。立体的においしいチャーハン。それを見ていてもうたまらない。おれのチャーハンを見てくれ。そして、早く食べさせてくれ。
筆者が頼んだのはエビ中華マヨ和えチャーハン。見るからにエビがプリプリしている。でもさ、人は見た目で判断してはダメだと言うだろう。なので食べてから判断します。
エビ、プリプリしていた。見た目と同じで興奮した。
お米はパラパラ感としっとり感のちょうどいい。このチャーハンだけでもおいしいが、このエビマヨのマヨネーズソースとチャーハンを一緒に食べたとき、脳に電気走るぐらいの衝撃があった。脳がゆさぶられるほどのおいしいさ。
これからの人生、チャーハンにマヨネーズをかけていこうかなと思ったが、そんなことしたらダメだなと思ったので、はめを外すときだけやります。
まさかの2軒目に部員たちが驚く
全員、満足げな顔をしてお店を出た。「いやーおいしいチャーハンでしたね」と言いながらエレベーターで降りて、外に出て少し歩いたら、変わったチャーハンがあるのを見つけた。
店内が満席の為、外で並ぶ。その間「2軒目に本当に行くんだ」と誰かがつぶやいた。
3人中2人がお腹いっぱいである。でも、お腹いっぱいだからこそ見える景色があるはずなんだ。(でも、本当に無理そうなら解散でも大丈夫ですよ、という会話もした。部長のやさしさがまたも炸裂した。)
橋田さんは「量を少なくしてもらえないかな」と言っている。「無理そうなら、ぼくが食べますよ」と心強い言葉を投げかけた。いま、全員がチャーハンを食べきるという夢に向かって団結している。
みんなやり切るぞという目をしている。もしくは、今食べられるものを必死に探している目をしてる。
豚しゃぶは少しすっぱさと辛さを感じるタレがうまい。おれ、この夏、この冷しゃぶを週3で食べたいかもしれない。冷しゃぶが好きだからさ。
豚しゃぶチャーハンの豚は冷やしと温かいのを選べる。今回は冷たいバージョン。
熱々のチャーハンの上には水で冷やした薄切り豚バラが乗っており、そこに酸味が効いたにんにく醤油タレがたっぷり汁だくチャーハンになるほどかかっている。熱い季節に食べたいチャーハンだ。
さっぱりした味付けでエビもプリプリだ。量も多い。「残しそうなら食べますよ」と食べ終わるまで5回ぐらい聞いた。でも、ひとりで食べられてえらいなと思った。
ルースとはチンジャオロースのピーマンが入ってないもので細く切られた豚肉とたけのこが入っている。この豚肉とたけのこがこのチャーハンにはかかせない。
豚肉がプリプリとして、たけのこのシャキシャキしており、アクセントとなって、味だけではなく、食感までも楽しい。
あんは鶏がらしょうゆのような味がする。このあんがチャーハンとバツグンに合う。
チャーハンが薄味なので、このあんと食べるとちょうどいい味の濃さになるように計算されているようだ。
お米、あんかけ、具材、この3つが合わさってこそ完成する
三位一体なチャーハンとはこのことである。
家に帰ってからしばらくしたら安藤さんから「帰りにどうしてもビールが飲みたくなってコンビニで買ったんだけど、一口しか胃に入りませんでした」とメッセージが来た。次回はこんな体育会系ではなく、和気あいあいとした活動をしたいと思います。
おれたちチャーハン部!
部長、江ノ島茂道 以下、ライター10人が部員として所属する、チャーハンを食べる部、チャーハン部。その活動記録です。