チャーハン王は新橋に
デイリーポータルZ関係者でチャーハン部という部活動を作った。部長は江ノ島茂道。構成員はほしあさひ、山田窓、月餅、megaya、米田梅子、トルー、橋田玲子、安藤昌教。
今回、昼に部長の江ノ島さんと雑談していた際、今日チャーハン行けますか、という会話になった。そこで構成員たちに連絡したところ、月餅さんがつかまったので3人で行ってきたのだ。
場所は新橋。江ノ島さんが前から目をつけていた「チャーハン王」というお店である。
チャーハン王はカウンター席とテーブル席がいくつかのこぢんまりとしたお店だった。メニューはチャーハンのみという潔さ。迷う暇があるならチャーハン食べろ、ということなんだと思う。
月餅さんは「炙りチャー王セット」を、僕と江ノ島くんは「チャー王セット」を注文した。
あえて書く必要があるかわからないが、あとに出てくる写真を見て疑問を持たれるのも本意ではないので言っておくと、江ノ島くんは大盛りである。350円で量が倍になる。
注文すると同時に奥の厨房から「カン!カン!カン!カン!」とリズミカルに中華鍋を振る音が聞こえてきた。もう美味しい。
月餅:わたし、チャーハン部に入るまで、あまり外でチャーハンを注文しなかったんですよね。
江ノ島:え、なんでですか。
月餅:なんでだろう、すみません。
このあと江ノ島くんと月餅さんは半ラーメン+チャーハンか、ラーメン+半チャーハンかで議論していたが、結論が出る前に月餅さんのチャーハンがやってきた。
説明によると、まず鶏スープを飲んでほしいとのこと。お店の人が言うんだから絶対である。
月餅:これ、鶏のうま味が凝縮していて、温かくて、もう、ほんと美味い。毎朝でも飲みたいです。
鶏のスープでお店と胃とが繋がったところでチャーハンである。
月餅:しっかり味が濃くて本当に美味い。家で作るチャーハンも美味しいんだけど、こういうのを食べちゃうと、確かにチャーハンは美味しいお店で食べるべきだなと思いますね。
中華鍋を振る音がおさまり、ほどなくして泣き崩れていた江ノ島くんの前にもチャーハンが置かれた。
江ノ島くんがお店の指示どおり鶏スープから順に行ったかどうか見ていなかった。気づいたときにはこの顔だったから。
そして皿を持つ左手がこぶしを握り、そのまま上に突き上げられる。ガッツポーズである。
最後は僕のチャーハンである。僕も正直、中華屋さんに行ったらチャーハンではなく天津半とか麻婆豆腐なんかを頼みがちである。近年、単品でチャーハンを注文した覚えがない。
そんなチャーハン初心者にもチャーハン王は優しい。
一口食べてわかった。ぜんぜん違う。
我が家でも週末の昼ごはんなんかに、その週に余って冷凍しておいたご飯を解凍してチャーハンを作るのだけれど、あれとはちょっと階級が違うなと思った。フライ級のボクサーはウェルター級とは戦えないのだ。
しみじみ美味いなと食べていると、江ノ島くんが追加で注文したクリームチーズがやってきた。これをチャーハンにトッピングしても美味いのだという。
チャーハン王のチャーハンは煮込んだ黒毛和牛のペーストを使っているとのことで、しっかりした味付けなんだけど脂っこくない。半分くらい食べたら特製の酢醤油タレをかけるのがお店からのお勧めとのこと。
酢醤油は脂っこい食べ物をさっぱりさせてくれるのだが、さほど脂っこくないチャーハン王にもガッチリ合うのだ。さっぱりさせるというか、しっかり整えてくれる感じ。これが正解、という月餅さんの言葉にもうなづける。
帰り際、お会計をしながら店員さんに「本当に美味しかったです」「来てよかったです」「必ずまた来ます」と興奮気味に伝えたところ、奥からさっき中華鍋を振っていた方が出てきて照れくさそうにお辞儀をしてくれた。チャーハンを通して心が通じた瞬間である。
というわけで新橋のチャーハン王、美味しかったです。いきなり王を食べてしまったので、次はどのチャーハンに行こうか、迷っています。
おれたちチャーハン部!
部長、江ノ島茂道 以下、ライター10人が部員として所属する、チャーハンを食べる部、チャーハン部。その活動記録です。