「そう、タチハラ。見て、これ、全部撮ったん。」
「大廣」の村上義廣さんはお店歴50年にして写真歴40年以上。奈良の写真クラブを取り仕切っており、毎年のように大規模な展示会を主催しているとのことだった。
大判のポジフィルムでしっかりと撮られた写真は、そこに窓があって風景を生で見ているみたいなリアリティがある。
「にいちゃん、いいカメラやね。ライカ?音がいいわな。中判もやるん?ローライか、あれもいいわな。でもな、大判はまるで違うで。これ担いで山登ってな、山にはな、その季節に、その場所で、その時間にしか現れない景色があるんや。それをな、こうじっと待ってな、息を止めて、シャッター切るんや。するとな」
ーーすると、どうなるんですか。
「たまらんで。」
村上さんには年間を通して、この季節のこの時間にこの場所で撮る、というプランがあるのだという。次来るときは一緒に春日山に登ろうや、と誘ってもらったので、僕は行きますよ。
お代を払い忘れるほど盛り上がりました
チャーハンを食べてから20分くらい写真を見ながらカメラの話をさせてもらった。最高に楽しい時間だった。これから仕事で東大寺に取材に行くんです、と名残惜しくお店を後にしたのだ。
東大寺に向かってしばらく歩いているときに、チャーハン代を払っていないことを思い出した。
計らずや食い逃げである。あわてて走って帰ってすみませんすみませんと謝り(おとうさんは「わざわざよかったのに」と言っていた。よくないですよ)お支払いさせてもらった。
旅先でチャーハンを食べるとこういう出会いもあるのだ。やっぱりチャーハンは最高である。
奈良県奈良市椿井町5 椿井市場内
074-226-4935
この記事を読んだ、と店主に伝えてくれると僕がうれしいです。
おれたちチャーハン部!
部長、江ノ島茂道 以下、ライター10人が部員として所属する、チャーハンを食べる部、チャーハン部。その活動記録です。