古賀からの1通目
テーマ
個人的に印象深い記事5本
名作ぞろいでくやしい
斎藤さま
こんにちは。古賀です。暑い日が続きますがお元気ですか。私は毎日ビールばかり飲んでいます。
さて、今日は斎藤さんのネタ記事がお休みということで、お手紙で総集編記事を作ろうと思います。どうぞよろしくお願いします。
まずは私から、個人的に斎藤さんのこれまでの記事で印象深かったものを5本ピックアップしてみましたのでお知らせしますね。
早速、こちらです。
いま、斎藤さんのこれまでの記事を読んでいたら印象深い名作ぞろいで悔しくなりました。
がちがちに企画を組むのではなくて、ちょっとした気持ちとか、行きがかり上あったことがそのまま記事になっているものが多いですよね。
企画段階では企画がはっきりしていても、取材時のふわっとした様子をうまくレポートしている気がします。
「魔が差した」状況を記事にする
ポップコーンがその代表格でしょうか。普通5キロ買わないですよね。記事でも、うっかり、というか「魔が差して」買っているんです。
「魔が差した」という状況をおもしろい記事にするってすごいなと思いました。
担当編集者にそそのかされて、魔が差して買ってしまったポップコーン5kg
あとは餃子の満州ですよね。私も埼玉で育ったのでよく知っています。
これも冒頭の文が
“「宇都宮の餃子」よりもうまいんじゃないか…という考えが湧いてきてしまっている”
から始まっていて、ぼんやりとわいてきてしまった思いが、あとは気持ちのままに(後輩のF君に翻弄されながら)記事になっていることにいま気づきました。
シャーペンの芯の銘柄も、目の付け所がニッチすぎる上に「食べる」というまさかの展開があって、しかもその食べるさまがすごく静かに書かれていてはっとします。
満洲は東京や埼玉の境あたりに多い餃子チェーン
シャーペンの芯を急に静かに「食べる」という展開
サンタについての子どもへのインタビューはちゃんと事前にかっちり企画をまとめて取材していますが、それにしても取材内容が「サンタの矛盾」ですから、静かななかにかなりエキサイティングな企画ですよね。
そう、興奮が静かで逆に読み手の気持ちのほうが妙に盛り上がってしまうような展開が多いのかもしれないです。
きゅうり入りのドラ焼きの記事は風に吹かれることがむしろメインになっていたりして、「行きがかり上の致し方なさ」が記事にすごくプラスになっているのもおもしろかったです。
ほぼ、風に吹かれたレポートになっている
次は斎藤さんご自身として、これはうまくかけたぞ! という記事を教えていただけないでしょうか。
お返事、お待ちしています。
編集部 古賀
晩酌に炭酸水を飲んでいます
古賀さま
斎藤です。本当に毎日暑いですね。
私もビールばかり飲んでいたのですが「これじゃいかん」と思い立ち、晩酌に炭酸水を飲んでいます。健康にはいいですが無理している感アリアリです。
さて、私がうまくかけたと思っている記事ですよね。
凝った作りの記事には達成感がある
自分として、ちょっとこった作りをしているな、というものを選びました。書いている側としては、そういうものが達成感があるのだと思います。
順にご紹介させてください。
この記事は味のレビューのイラストが極貧から石油王へと、ステップを踏んで金持ちになっています。
極貧から
石油王へ
最後にはちゃんと内容と関連したオチもついて、
ずいぶん複雑なことをやっているな、と我ながら思います。
最初の1ページが、何が起こるかわからないサスペンス調です。本当に喫茶店の入り口が怖かったので、そこを伝えたかったんだと思います。
古い推理小説によくある、読者への挑戦状をつけました。挑戦状、一回やってみたかったんです。
この記事では、文章が時系列ではなく、カットバックになっています。
こちらは私の記事ではないんですが(ライター尾張さん名義の記事)、二人で書いています。
尾張さん(左)からサウナの魅力を布教されるという記事
なんでこんなに考えていることが真反対なのか。裸の付き合いをしているのに全然わかりあえていません。
炭酸水じゃなくてビール飲みたい
自分で自分の文章の狙いをいちいち解説しているのは
すごく恥ずかしいですね。やっぱり炭酸水じゃなくてビール飲みたい。
本当に毎回がんばって書いているのですが、狙えば狙うほど私の自己満足になっているような気もします。原稿を編集部に送るときはいつも不安です。
ご返事、お待ちしています。
古賀からの2通目
テーマ
ページビューの多かった
記事10本
PVの良かった記事ベスト10
斎藤さま
こんにちは。古賀です。
晩酌に炭酸水というのは衝撃的でした。私もこの夏はもう限界までビールは飲んでしまったのでそろそろ炭酸水に切り替えてもいいかもしれません。
斎藤さんご自身でのセレクト、なんとなくわかる気がしました。がっつりひねるのではなく、しれっと半ひねりくらいしている記事が実は一番力が入っていたりしますよね。斎藤さんの原稿の独特さが染み渡る5本でした。
今回私からお送りするのは、ページビューのよかった記事です。
1位から10位までいきなりまるっとご紹介しましょう。
大阪支店に「飛ばされる」暗示としての風船
反省文の記事はページビューはもちろん、反響もすごかったですよね。今また読み返してみたのですが、あしらった風船のシールについて
「僕が大阪支店に『飛ばされる』ことを暗示したものである」
と書いてあって改めてすごい企画だとぶるぶるふるえました。
暗示としてのファンシー風船
「無理やり缶詰を開ける」という記事
北山珈琲店はやはり好評でしたよね。加賀屋は読んだだけですでにお腹いっぱいの上に若干トラウマまで負ってしまうというすごいお店です。
回転寿司のデザートと、居酒屋の定食屋づかいは切り口違いのシリーズ記事ともいえそうです。こういう、専門店で別のものを食べるのはわくわくするんですよね。
そんななかでひとり違った光を放っているのがやはり「缶切りを使わないで缶詰を開けてみる」でしょうか。無理やり缶詰を開けるという記事、です。
朴訥で無茶でばかばかしい企画にもかかわらず、そういえば開けてみたかった! と思わせる絶妙さがすごいです。
かつてないほどのワイルド
以上、数字で選んだ記事をお知らせしました!
次は斎藤さんの感覚として反響の大きかった記事を
教えていただけますか。
ご返事、お待ちしています。
編集部 古賀
斎藤さんからの2通目
テーマ
反響の大きかった
記事5本
3時間で仕上げた記事が人気に
古賀さま
ページビューで見てみると、やはり飲食関係の記事が好評ですね。
そうそう、回転すしのデザートは古賀さんの「
ファミレスはほうれん草とベーコンの炒めたのを置きすぎでは」がすごくおもしろくて、僕もこういうの書きたい! と思ってまねしたんですよ。
缶詰を開ける記事と反省文の記事は全然時間がない中で急いで撮影したのをよく覚えています(撮影3時間くらいしかかかってません)。でも意外とそういう記事が人気出たりするんですね。
さて、では僕の中でページビューのように目に見える結果があるわけではないのですが、感覚で反響が大きかった記事をあげていきます。
この記事はプロレス系ニュースサイトで紹介され、業界に衝撃をあたえたそうです。
そのあとリングサイドで解説をしているようなプロレス評論家の方から声をかけていただき、一緒にプロレスを見に行ったりしました。
ツイッターでいろんな人からのガム崩壊報告をもらいました。
なんでかわかりませんが、僕の妹の写真が評判になりました。
いろんな人にインタビューしているのに「そこかよ!」と忸怩たる思いです。
また僕の記事じゃないのが出てくるんですが、僕のところにいろいろ反響が来ました(ライター玉置さんの記事)。
自分で言うのもどうかと思いますが、Gacktによく似ています。
解剖学や生理学をテーマにした記事を
こうして見てみると本当にいろんな記事を書いていますね。
もうデイリーポータルZは4年目です。書いた記事も100本を超えています。
そういえば、デイリーポータルに書きはじめたときに入学した指圧の専門学校も3月に卒業しました。4月からマッサージの仕事についています。
僕は身体の不思議が何より面白いと思っているので、
解剖学や生理学をテーマにした記事をたくさん書きたい、と思っているのですがなかなか良い企画が思いつきません。
古賀さんが以前書いていた「
本を逆さに読むと頭がよくなる気がする」のような素朴な感覚がテーマになっている記事もいいですよね。
もう本当に毎回ネタについては頭を抱えているので、今後ともよろしくお願いします。
(本当にやばくなったらまた総集編お願いしますね!)
斎藤充博
おばあちゃんと仲良くなろうとし、河原ではでかいおにぎりを食べながら、むりやり缶詰を開けようとして、仕事の反省文を女子中学生風にデコる。やさしさと無茶の間で静かにおもしろさを発揮する斎藤充博さんの記事を振り返りました。
なお、近くは浅草サンバカーニバルの取材を予定しているとのことですよ。今後の記事もどうぞお楽しみに!