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ちしきの金曜日
 
隣の部屋のおばあちゃんと仲良くする方法


今回の記事のハイライト部分

僕はアパートでひとり暮らしをしている。お隣さんとはなんだか微妙な関係だ。

ここで一度、隣の人と仲良くなれないだろうか。

斎藤 充博



隣に住んでいるのは、おばあちゃん

僕は、埼玉県西川口の築30年は経過しているボロアパートに住んでる。お隣さんは、60歳くらいの独り暮らしのおばあちゃんだ。


古いアパート

この西川口のこのアパート、家賃は安いし(トイレ風呂セパレートで47,000円)、交通の便はいいし(西川口は新宿まで電車で30分だ)で、全く言うことない。

この間なんか、隣のおばあちゃんのところに、また別のおばあちゃんが遊びにきてお茶を飲みながら話をして行った。「巣鴨が面白い」「今度巣鴨に一緒に行きましょう」そんな声が聞くともなく聞こえてくる。壁が薄い、とか文句を言いたいのではない。ツイッターでのタイムラインを見ているようで凄く面白いと思った。


ツイッターをしていると、ツイッターみたいな雑談が耳に入ってくる。風流だ

しかし、どんなに僕がこの環境を楽しんでも、所詮は築30年。大きな地震が来たら、このアパートは近隣のどの建物よりも絶対に早く倒壊すると思う。死ぬ時は一緒だ。隣の部屋に住んでいるということは、そういうことだ。

そんな隣のおばあちゃんと、僕は今までロクに会話もしていなかった。

 

洗濯物をどけてくれるおばあちゃん

僕の部屋と隣は、一階にあり縁側で繋がっている。この微妙な「離れているような繋がっているような感覚」というのが素晴らしいところだ。mixiもこのくらいの距離感でできたら良いのになと、ときどき思う。


このように、外で繋がっている

急な雨が降った時に、隣のおばあちゃんはこの縁側を介して僕の敷地内に入ってくる。入ってきたおばあちゃんは何をするか。僕が出しっぱなしにしておいた洗濯物を雨のあたらないところにどけておいてくれるのだ。


これが隣のおばあちゃんによる、雨よけ。ひさしギリギリのところに物干竿を移動、更に干してあるバスタオルを被せてガードしてくれる

この辺になると、「隣の人にそんなことされるのはなんかイヤ」って思う人もいるんじゃないかと思う。でも僕はこれが凄く助かる。

僕が部屋にいる時は、にわか雨が降ってきても、おばあちゃんは洗濯物をどけたりしない。飽くまでも洗濯物の管理の主体は僕自身にあるからね、というスタンスなのだ。

僕が部屋にいるかどうかというのは、特に相手に知らせようとしなくても、自動的に伝わる。壁が薄いからだ。壁の薄さに、スカイプとかメッセンジャーツールの「相手がオンラインか表示」みたいな機能が備わっているなんて一体誰が思うだろう。

こんなITみたいな壁の機能を使いこなしているおばあちゃん。コンピューターおばあちゃんだ。

 

猫にエサを与えているおばあちゃん

もう少しおばあちゃんに付いて語らせて欲しい。隣の部屋のおばあちゃんの楽しみは、近所のノラ猫にエサをやることだ。夕方になると3〜4匹くらいの常連が隣の部屋に来て騒ぎだす。その度におばあちゃんは「静かにしなさい…!」と猫に注意するのだ。日本語で。なにしろ全部聴こえている。


ウチにもその猫が時々デザートを求めにくる(でも僕は猫に上げる物は何もない)

猫へのエサやりを、おばあちゃんはかなり慎重に行っているつもりらしい。この間、猫にエサをやっているところを目撃してしまった。すると、おばあちゃんは僕にものすごい勢いで謝りはじめたのだ。


こっちがビクっとするくらいの勢いで

猫へのエサやりくらいで、そんなすごい勢いで謝られても!逆にビックリしてしまう。だいたい、アンタが猫にエサやっていることぐらいとっくに知っているよ!別にちょっとくらい僕はかまわないですよ!

しかし、最近「ノラ猫への餌やりで裁判沙汰になり、近隣住民に対する賠償命令が下った」という事例を耳にした。意外と隣のおばあちゃんは、昨今の社会情勢をチェックして僕に対応しているのかもしれない。


ちなみに、西川口にはそんな人がどうも多いらしく、猫があっちこっちでだらけきっております

僕と隣のおばあちゃんとの関係は、こんな感じだ。この微妙な関係、「このままで良いのか」という気がしている。なんとか仲良くなりたい。


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