僕は河原に向かった
土手で食べようと思ったのだ
おにぎりセラピーとは僕の造語である。
でかいおにぎりは「おおらかさ」の象徴だと思うのだ。マンガなんかだとまぬけで図体のでかい三枚目がでかいおにぎりによろこんでかぶりついていたりする。
マンガに出てくるおにぎりって、相当でかい
少し昔のドラマで『裸の大将』というやつもあった。あれで山下清が言う「おにぎり欲しいんだな」という言葉の、どんくささと、純粋さ。山下清が食べていたやつもでかかった。
そういうものを全部やさしく受け止めてくれるでかいおにぎり。
僕もおにぎりに受け止めて欲しいのである。これを読んでいるみなさんも「ああ、言われてみとちょっとそうかもしれないな…」くらいには思っていただけただろうか。
ちなみに、カメラ係を頼んだ友人は、
僕の説明にはいまいちピンときていないようだったが、
僕がリュックからとりだしたおにぎりを見たら、
なんか納得してもらえた
ホッカホカ
このおにぎり、米3合分ある
「でかいおにぎり」の大きさは、炊飯器で1回に最大炊ける分に決めた。ひとり暮らし用なので、3合炊きだ。
いつもの僕だったら5食分である。これを一つのおにぎりにしてしまうのだから、それはおおらかな話だ。
でも、実際に炊きあがったご飯を見たら、何だか笑えてきた。そんなにおいしそうに湯気を出している場合じゃない。食えるのか、このおにぎりを。
量にひるむ一方で、当初手間取るだろうと考えていた、おにぎり作りは意外と簡単にすんだ。ごはんをボウルに入れると、その3合分の自重で簡単に丸く成型されてしまうのだ。
あらかじめノリをボウルに敷いておくというアイディアが良かったのかもしれない
ノリ4枚使ったが、わりとすぐ出来た
「でかいおにぎりはすぐできる」ということがわかった
とはいっても限度はありますがね
でかいんですよ
このおにぎりは相当大きいし重い。なにしろ自重で形が出来てしまうのだ。なんかブラックホールの形成過程を思い出した(星が自分の重力で潰れてブラックホールができると聞いた)。
そんなブラックホールおにぎりなんだが、画像だとイマイチこの大きさが伝わらないような気もする。
奥行きと密度が伝わりにくいのが残念
マンガって過剰でいやあね
かぶりつくのにも気合いがいる
なんで河原に来たのか
ここは、僕が毎朝通学の時に電車で通る川だ。ラッシュの電車から見る外の風景は、なんだかとても魅力的に見える。…いや、そういうなんでもない風景が魅力的に見える時点でやっぱり少し疲れているのかもしれないな。
京浜東北線の車窓から観る荒川(川口、赤羽間)
つねづね「あの河原気持良さそうだな…」と思っていたところに来たわけだ。そういうわけでこの場所にもセラピー効果を狙っている。
こういう風にいつもの自分が自分を見ている構図になります
しかし、来てみたら駅と駅との中間地点で、徒歩30分以上かかった。急遽誘った同行の友人にも気を遣い、実は逆に疲れている。
でかいおにぎりがうまい
おにぎりに話を戻そう。かぶりついて驚いた。このおにぎり、めちゃくちゃうまいのだ。
思わずおにぎりを二度見してしまうほど
肉食獣が獲物を屠るようになんども噛み付く
でかい口を開けて食べるのがうまい。場所によってはノリが4枚重なっているところがあってうまい。焼きシャケがまるまる入っていてうまい。
さっき家で焼いたばっかりのシャケがまるっと1ピース入っとる
普通サイズのおにぎりとは気持ちが全然違う、一つのおにぎりが無限に続くような感覚。僕は、初めてインターネットが常時接続定額料金になったときのことを思い出した。でか過ぎるおにぎりは、あの楽しみに近い。
撮影の友人が「意外とうまい」と言った瞬間、なんだか少し癒されたような気がした
そうそう、おかずにタクアンも持ってきてるんだぜ
これも丸かじりしてみたかったんだ
横でそんなにゴキゲンにならないで欲しいと思った
でかいおにぎり全部食いきった
最初は、食べきれなかったら持ち帰って次の日にでも食べようと思っていた。しかし、気がついたら3合分のおにぎり全部食べてしまっていた。おにぎりにするとたくさん食べれるのだ。
まずまず元気が出たような気がする。元気がない人は、絶対やってみた方が良い。