なぜ私が5キロのポップコーンを買うに至ったか
当初は「いろんな味の和風ポップコーンを作ってみよう」という企画をやるつもりだった。和風のポップコーンはなかなか売ってない。
というか、ほとんどがシンプルに「塩味」だ
味のついていないポップコーンを作ることは簡単そうなので、いろいろ味付けをしてレビューしてみよう、と思っていた。
5キロのポップコーンのタネは通販で買える
しかしここからガラガラと企画が崩れて行く。
どこにでも手に入ると思っていた「ポップコーンのタネ」が中々見つからなかったのだ。困ったな、と思っていると編集部の工藤さんが助け舟を出してくれた。
これがいけなかった
教えてもらったのは「富澤商店」という食材の専門店サイト。そこでは「5キロ」と「200グラム」のポップコーンを取り扱っていた。今思えばずいぶん両極端な選択肢だ。そしてその時には「200グラム」の方は売り切れ、入荷未定という状況だった。
僕はもうそのときスーパーを数件回った後で、すっかり疲れてしまっていた。
そして5キロのポップコーンを購入し
手続き通りポップコーンのタネは迅速に我が家に届けられたのだった。
19インチのテレビよりでかい
あるまじきずっしり感
ポップコーンの膨張率は30倍
とりあえずポップコーンを作ってみる。
30グラムのポップコーンが
家の中で一番でかい鍋(カレーなら6杯分)いっぱいになる
ここでようやく僕は、5キロのポップコーンのタネのすごさを思い知った。30グラムが鍋いっぱいになるのだ。じゃあ5キロ全部ポップコーンにしたらどうなるのだろうか。
このくらいはいくだろう
こういうパターンかもしれない
いや、2枚目はさすがにないか…。でもわからないということはこんな風に恐い。
僕はポップコーンが送られてくる以前の日常を取り戻すように、当初の企画案である「和風ポップコーン食べ比べ」を始めた。
きなこポップコーン
油ときなこが良く合う ★★★★☆
まずやってみたのがきなこポップコーン。ポップコーンと合わせてみたら、ぐぐっと豆っぽいコクがポップコーンに出てきた。うまい。★四つ。
ゆかりポップコーン
さっぱりしたポップコーン ★★★★★
シソご飯の元の「ゆかり」をポップコーンに和えてみた。これもうまい。シソの香りがポップコーンの
油を中和してくれる。さっぱりしていて、いくらでも食べてしまうポップコーンだ。
たくさん食べられる!
ちょっとした来客のお茶請けにも使えそうである。★五つ。
いりこだしポップコーン
スナックとして完成された味がする ★★★★★★★
ポップコーンに塩分以外の「うまみ成分」も加わったら最強なんじゃないか…と思って作ってみたのがこちら。
おいしいなぁ…おいしい…
★五つが満点…と思っていたのだが、さっきのゆかりよりも遥かにうまいので★七つだ。
全然減らない
いや、おいしいことはおいしいんですよ。でも、タネの残量が気になっていて、今ひとつノリきれていないのもまた事実。次ページではもう一工夫して、日々の食事にポップコーンを取り入れてみたい。
丼もの二つ
大量のポップコーン、ご飯と合わせたらたくさん消費できるのではないか。そこで考えたのがこちら。
たまごかけポップコーンご飯 ★★☆☆☆
悪くはないと思う。
しかし、生卵とポップコーンが初対面で打ち解けていない感じがする。この二人がそんな風だから、いつも生卵と仲の良いご飯も気を遣って一歩引いたような態度になってしまった。
みんなよそよそしい
ポップコーン丼 ★★★☆☆
親子丼の要領でポップコーンを煮て、玉子でとじる。甘辛く煮られたポップコーンは、完全にサクサク感を失って、ちょっと殻っぽいというか、ゴミっぽい食感になった。
それでもポップコーンの主体は「油」なので、意外といける。鶏肉がなくて、ポップコーンが大量に余っている時(つまり今だ!)としてはアリな選択だ。
勢いよく行くのが肝心
天かすの代わりに
ポップコーンは「天かす」に似ていないだろうか。ほとんど油でできているところや、サクサクの食感がそうだ。そこで、そばに入れてみた。
ポップコーンそば ★★★☆☆
これは予想通り。そばに入れたポップコーンは天かすとだいたい同じ働きをした。ただ、どうもこの分野では天かすの方が慣れているように思える。ポップコーンは天かすの代用品としては50%くらいのパフォーマンスだ。
もうポップコーンの尊厳は死んだよ
もう一つ、冷や奴に天かすを乗せて食べる「タヌキ奴」という食べ物がある。
ポップコーン奴 ★★★☆☆
これも悪くないんだけれど、やはり天かすの方が良い。
しかし「ポップコーンは天かすそのものには及ばないものの、一応代用品にもなる」という発見は、大きな進歩だと思う。
ポップコーンには、自分の適性や能力の限界を超えたところで広く活躍してもらいたい。そうでないと、君の後ろにいるポップコーンのタネ達の行き場所が無くなってしまのだ。それでは困るだろう。
ポップコーン塩辛のうまさ
こんなふうにいろいろ試している間に最高の組み合わせを見つけた。イカの塩辛だ。
ポップコーン塩辛 ★★★★★★★★★★
真夏の眠れない夜。まだ完全に夢になりきらないような夢の中に、この組み合わせが出てきた。
もう夢に出ちゃうのもしょうがないなって感じ
見かけは悪いが、これはうまい。塩辛の刺激的な味を、サクサクの食感と大量の油でマイルドにポップコーンが受け止めてくれる。ビールにも合うし、ご飯にかけてもきっとうまい。
ポップコーン枕
最後に、ポップコーンの新しい可能性を開拓してみたい。ポップコーン枕である。5キロ買った者だけの特権だ。
ポップコーンをビニール袋に入れて
さらに枕カバーに入れる
タネ70グラムほどをポップコーンにした。枕にするにはこれで足りるのか、それとも多いのか。あてずっぽうでやってみたが、ちょうど良い量だった。
日々ポップコーンに接することによって、ポップコーンに対するセンスが磨かれてきているのだろうか。すごい気もするが、枕以外にどうしようもない。
ポップコーン枕 ★★★★★
固さも通気性も申し分無し。もともと使っていたそば殻よりも良い。撮影のために横になったのだが、本当に熟睡しそうになった。
チャックを開けると寝ながら食べれる
タネの状態のやつでも充分枕としてイケる
目を覚ますと「まだまだこんなにある」という現実が
ポップコーン地獄
毎日ポップコーンを食べている。
ポップコーンの可能性を追求して、味付けから料理から枕の素材まで試してみたが、それでも全然減らない。
もうどうしようもないので、ここでギブアップです。8/27(明日!)行われるデイリーポータルZエキスポに、ポップコーン持っていきます。どうぞみなさんポップコーン食べていって下さい。
エキスポの告知ページは
こちら