小出し記事「佐世保ハンバーガー日記」
ライター:山本千尋
第一回:甘いマヨネーズと厚切りチーズには夢がある「ヒカリ」
第二回:ミートソースとクリームチーズなんて、ずるいよ「エスアンドケイ」
第三回:日本一長いアーケード街でハンバーガーを「マクドナルド」編
第四回:思い出と立地と味のローカルっぷり「Stamina本舗 Kaya本店」編
第五回:良い意味で突き放してくるアメリカンな味「ブルースカイ」編
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Follow @dailyportalz「伽倻(カヤ)」とは、かれこれ腐れ縁だ
「伽倻」との付き合いは、かれこれ高校生の頃に遡る。今でも縁がある、仲の良い女友達に誘われたのがきっかけだった。
「お腹空いた。伽倻(以下:カヤ)買ってウチで食べようよ」。まるで近所の駄菓子屋に行くかのようなノリで彼女は言った。
「カヤって何屋さんなの?」と聞くと、「知らないの!?ハンバーガー屋だよ。とっても美味しいんだよ。“伽倻”って書くの」と、漢字まで教えてくれた。これぞ、記事のタイトルでよくある“地元民が教える!”という声高なやつである。が、わたしは地元民なので、“地元民が地元民に教える!”となるわけで、とてもひっそりとしているのである。
女友達に初めて教えてもらったカヤの味は、わたしののちの定番となった。県外に住んでいたとき無性に恋しくなり、帰省しては食べていた。その女友達とは、互いに子どもを持つ身になり、年に数回ではあるけれどふとしたきっかけで言葉を交わす。どちらも腐れ縁なのだ。
今日は、カヤが食べたくなったので、カヤのために外出をする。20分ほど、車を走らせる。何かのついでではなく、カヤのために。
到着した。注文カウンターへ行き、わたしの定番の味「チキンかつれつバーガー」、ノーマルなハンバーガー、そしてポテトを注文する。普段はチキンかつれつバーガー一択なのだが、食べ比べてみたくなったのだ。
「30分ほどお待ちいただきますが。」と、とても普段から言い慣れているようすでスタッフの女性から返された。
しまったそうだった。平日でも昼ご飯時だと、混雑してスムーズに買えたためしがなかったのだった。あらかじめ電話予約をしておくべきだった。
観光らしき客と、あきらかな地元民が程よいバランスで入り混じるハイブリッドな店舗前を眺めながら、さてどうしようかと思案する。
そうだ、目の前にあるじゃないか。
イオンが!
ちなみにこちらのイオンは、専用駐車場を持たないカヤにいくつかスペースを貸し出してくれているという懐の深さなのだ。
ちょろっと買い物をし、少し通りをうろうろすることにした。
観光要素がほぼないローカルな立地
イオンで買い物を済ませたあと、「TRIAL(トライアル)」へ。
福岡に本社を置き、全国264店舗、九州100店舗を展開するディスカウントショップだ。ボリュームのあるお弁当コーナーがやたらと充実しているのだ。
この近辺は、商社に町工場など、働く人たちが多いエリアなのだ。ちょうど、カヤとイオン、トライアルを結ぶ道沿いにも転々としている。よって、カヤまでの道のりに観光的要素は一切ない。
観光客たちのモチベーションは、まさに「カヤだけ」なのだ。そう考えると目の前を通っている道路が、ものすごい吸引力と地元民の推しだけで動き続ける空港のオートウォーク(歩くエスカレーター)のように見えてくる。
そういえば、観光ではなくお土産要素ならある。
働きマン+高専の学生+自動車学校の生徒のお腹も満たしてきたのだ
早くバーガーを食えよ、と言われそうだがもう少しだけ付き合ってほしい。カヤから徒歩3分足らずの場所には、高専と自動車学校がある。
学業や車の免許取得にいそしむ人々がいるわけだ。そりゃあお腹が空いたら行くよなぁ。ハンバーガー。
ローカルのなかのローカルを地で行く感じ
比較的長い時間つぶしのあと、バーガーを受け取って帰宅した。イートインスペースは人がいっぱいで座れなかったのだ。
おやきをモチーフにして焼かれたというふわふわのバンズが帽子のようだ。「アメリカはここにあるか?」と聞かれると、「いや、Stamina本舗ならあるがね」と答えたくなるほどオリジナリティにあふれている。一般的な佐世保バーガーのイメージとはまた違う、これまたローカルな印象を受ける。そして何より、ノーマルででかいのだ。
キッチンスケールで測ってみると、重さが370gあった。数字で見ると改めて重いよねと感じる。18年間愛し続けてきたずっしり感は370gだったのだ。
揚げ物が挟んであるのに、不思議と胃に負担がかからない。鶏肉の脂が上質なのか、ぴりっとした生玉ねぎのアクセントのおかげなのか。やや甘めのオリジナルソースはごまの香りをふんわり添えて。やはり佐世保のハンバーガーは甘さがキーなのか。うまく具材をまるっとまとめてくれる。そんなわけで、客観的に見ると胃袋がバグってるなあと思えるほどガツガツいけてしまう。
また、皮付きポテトのボリュームたるや。
これが本当にでかくて。フライドポテトは2本以上一気に食べるのがマイルールです、とか言っていたのを今回だけは撤回させてほしい。
高校生の頃、女友達に誘われて「伽倻」へ初めて行ったあの日、チキンかつれつバーガーと皮付きポテトを二人分買って、2km先の高台にある彼女の家まで30分以上かけて登った。極限の腹ペコ状態であったにも関わらず、わたしたちは完食することができなかったのだ。
怖いものなんてなかったあの頃に経験した挫折の1つ、「伽倻」。ノーマルなボリュームでありながら、18年経った今もやはり敵わないのであった。
おやきっぽくカリッと焼かれたふわふわバンズは唯一無二。どれもボリュームがすさまじい。アメリカンというより、Stamina本舗だから。どローカルな味と立地に震えてほしい。
小出し記事「佐世保ハンバーガー日記」
ライター:山本千尋
第一回:甘いマヨネーズと厚切りチーズには夢がある「ヒカリ」
第二回:ミートソースとクリームチーズなんて、ずるいよ「エスアンドケイ」
第三回:日本一長いアーケード街でハンバーガーを「マクドナルド」編
第四回:思い出と立地と味のローカルっぷり「Stamina本舗 Kaya本店」編
第五回:良い意味で突き放してくるアメリカンな味「ブルースカイ」編
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