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中華料理屋はたいていメニューが多くて選びきれない。「牛肉とニンニクの芽」と「牛肉とピーマン炒め」、どちらか一つを選べと言われてもそんなの無理なのだ。考え込んでいるうちに「青椒肉絲」を見つけてしまい選択肢だけが増える。
しかし我々はチャーハン部なので迷うことはない。
メニューを置いて厨房に戻る店員さんの背中に「チャーハンください」とたたみかけた。歩みを止めた店員さんは、背中ですこし笑ったような気がした。
ほどなくして厨房から中華鍋が振られる音が聞こえ、それがおさまると香ばしいにおいと引き換えに店内に静寂が戻ってきた。
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チャーハンにもいろいろなタイプがあるが、あえて小細工をしない、ストレートで三振をとりにくるタイプのピッチャーだった。ピッチャー?チャーハンだ。湯気がすでに美味い。
しばらく、チャーハンとまっすぐに向き合った。
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取手「中華飯店」のチャーハン。しっかりした味付けのわりに重さを感じないのは、鍋の振りで水分を完全にコントロールしているからだろう。カニとかエビとか、派手な具材に安易に頼らない姿勢も誠実である。シンプルかつ美味いのでいつまででも食べていたくなるチャーハンだった。
チャーハンが、いい
このように、チャーハン部に入るといつでもどこでもチャーハンを食べるので、迷いが一切なくなる。
かわりに地方の名物とかは食べられなくなるが、名物はまたいつか食べるだろうからいまはチャーハンでいいのだ。
いや、チャーハンがいいのだ。
おれたちチャーハン部!
部長、江ノ島茂道 以下、ライター10人が部員として所属する、チャーハンを食べる部、チャーハン部。その活動記録です。