僕たちの夏はどこへ……
パリ:
もちろんまだまだ注意しつつですが、急速にコロナ以前の生活が戻ってきて、最近すごく感じることがあるんです。それは、「あのどこにも行けず、ただただ家にこもっているしかない1年半って、本当にあったのかな?」っていうことで。
ナオ:
ああー、2020年、2021年と、なんだか時間の流れが変ですよね。
パリ:
そうなんですよね、そこだけ削りとられちゃってるような。久々に会った友達なんかも、けっこう同じようなこと言ってて。
ナオ:
うんうん。
パリ:
特に、「夏」は丸々2回ぶんすっ飛んでるわけじゃないですか。
ナオ:
たしかに。いつもの夏の、花火だの祭りだの、そういうのはほとんどの場所でなかったでしょうし。
パリ:
夏らしい思い出なんて夢のまた夢。気づけば、久しくちゃんと海を見てないなと。そりゃ、まったくじゃないんだけど、のんびりと浜辺を散歩したりみたいなのが。それで突然、冬の海でいいから、猛烈に見たくなったんです。それが今回、「それぞれに海を見に行って、報告しあいませんか?」と提案したきっかけで。
ナオ:
お互いそれぞれ海に行ってみる。記憶交換会ですね。
パリ:
一緒に行けりゃあそりゃあいいけど、それぞれに行って報告しあうというのは、コロナで身についたおなじみのスタイルとも言えますね。
ナオ:
ね! 思い出がつまみになる。
パリ:
まずは言い出しっぺの僕から報告しましょうか。
パリッコがゆく「検見川浜」
パリ:
千葉に「トンかつ弁当」っていう好きな駅弁があって、以前、それを買いに行くためだけに千葉駅に行ったことがあるんです。で、千葉港まで歩いて行って海を見ながら食べて、帰りかたを調べたら、「千葉みなと」という駅から京葉線で新木場まで行って、そこで乗り換えたら、もう地元の西武池袋線、石神井公園駅まで1本だったんですよ。1時間半くらい。
ナオ:
なるほど。ルートとしては割とシンプル。
パリ:
はい。で、その京葉線に乗ってたら、「稲毛海岸」「検見川浜(けみがわはま)」と駅が続くゾーンがあって、乗り換え1回でなんだかごきけんそうな場所にいけるんだな! と印象に残ってて、ずっといつか行きたいと思ってたんです。
ナオ:
海っぽい名前の駅、いいですよね。
パリ:
なんかカルチャーからして違う感じがね。そこで今回、より耳なじみのない検見川浜のほうへ行ってみることにしました。当然、千葉みなとより少し近くて、家から乗り換え1回、所要時間は1時間20分ほどでした。
ナオ:
1時間20分電車に乗ってれば海が見られるという。お得情報です。
パリ:
東京の西側出身だから、そういう感覚がないんですよね。だってまず、新木場で京葉線に乗り換えると、いきなり車窓がこうなるんです。
ナオ:
びっくりしますよね。普通に毎日乗ってる人は当然なんだろうけど。
パリ:
そうそう。平日の午後だし、誰も外なんか見てない。車内で浮かれてるの僕だけで。
ナオ:
はは。目に浮かぶわー。
パリ:
そんな見慣れぬ景色を飽きずに眺めてたら、
ナオ:
けっこう大きな駅に見えますね。
パリ:
なんとなく駅周辺は、古くからある街というよりは、再開発されたベッドタウン的なイメージでした。でまぁ、お昼を食べたいわけですけど、上の写真の真ん中くらいに、ちょっとした催事ブースっぽいの見えますかね?
ナオ:
ありますね。
パリ:
それがこれで。
パリ:
改札出た目の前でやってたんです。
ナオ:
わー! かにだ!
パリ:
なんとなく寄っていって、「美味しいですよ! いかがですか?」「今はずわいが旬で、このお弁当とこのお弁当に入ってますよ」とか優しく言われてるうち、買ってました。「特製かにちらし」(1180円)を。
ナオ:
ははは。気づいたらもう右手に持ってた。
パリ:
買ったあと、あれ? 早かった? とも思ったんですが。
ナオ:
駅を出ていきなりですもんね。最速がに。
パリ:
ちなみに、別に千葉の会社とかではなく、東京とか埼玉で出店することが多いそうです。この会社ですね。
ナオ:
「カニの匠」。匠なら間違いないですね。
パリ:
ね。そしてこの判断、あとあと良かったなと判明するんですが、
パリ:
さくっと散歩してみたんですが、地元商店街とかはなさそうで。イオンとか、そういうのしかない。
パリ:
赤く印をつけた場所が検見川浜駅で、海に向かって歩き出したんですが、昔ながらの飲食店とかも、そういうのもなかなか見つからなそうな感じでした。そして、
ナオ:
はは。もうすぐ海だというのが信じられない風景だ。
ナオ:
道ズドーン!
パリ:
太陽ピカー! なんかすべての規模がでかいんですよね。僕の住んでる練馬区とはずいぶん違うな〜と。
ナオ:
でかー! ゴルフって。普通やりたくならないもんな。
パリ:
ゴルフ場規模の空き地。百歩譲って、ソフトボールくらいはいいんじゃないかって思いましたよ。
ナオ:
はは、まあね。誰もいないんだし。
パリ:
特大ホームラン出ても向こうの家々に届かないよ。そんなふだんの日常と違う違和感を楽しみつつ歩いていると、
パリ:
海っぽさが増してきて、このあたりで突然、空気に潮風の香りも混ざりだしました。
ナオ:
海へ向かうバス、いいですね。
パリ:
で、
ナオ:
来たわー! さあ、どうなる!
ナオ:
わー! ピッカーすぎますね。
パリ:
天気がずっとすごかった。
ナオ:
これ、この堤防のようなのの先ってどうなってるんですか?
パリ:
はい。向かいましょう。と、その前に、テンションが上がって撮りまくった写真たちで、心に海成分を補給してください。
ナオ:
完全に海だなー。
パリ:
ね?
ナオ:
海に反射する太陽って、もう「神」ですよね。
パリ:
「神」です!
ナオ:
海。私たちはこれのおかげで生まれたようなもん。
パリ:
この景色を1年間毎日見て暮らしたら人格180度変わりますよね。
ナオ:
変わる。
パリ:
「いいよいいよ、なんも言うな。とにかく俺についてこよ!」っていうやつになる。
ナオ:
稲毛海岸に住んでた友達がいるんですが、もう、なにがあっても海に行ってました。ちょっと気分がクサクサすると海。すると負の気持ちがすーっと消えるそうで。
パリ:
物理的にもう、ちっぽけなんだもんな、自分が。
ナオ:
そうそう。海って「ナニコレ」過ぎるんですよ。意味わからん!
ずっと待っていたよ……
パリ:
この釣り人なんかももう、人格、達観とか超えて聖人君子の域でしょうきっと。
ナオ:
あ、これ、釣り人なんだ!
パリ:
海入って釣りしてる。
ナオ:
楽しくないわけない。
パリ:
でも、すぐ横の堤防からじゃだめなのかな?
ナオ:
確かに。だからもう、海に浸かりたいんですよね。
パリ:
ね! だってそのほうが楽しいもん。……って、勝手なこと言ってるけど本当か?
ナオ:
はは。本当はちゃんと意味があるんでしょう。釣り的に。
パリ:
ね。さて、人間ストリートビューに戻りますね。
ナオ:
すごい道だな!
ナオ:
すげー! このお弁当の写真そのまま、カニの匠さんに送りたい。
パリ:
わはは。「お宅のお弁当、最大限楽しんでおきましたよ?」ってね。
パリ:
また、このかにちらしが本気で美味しくて、帰りに家族のおみやげ用にまた買いましたから。
ナオ:
いいなー! まあさ、たとえ千葉のものではないにせよ、海のものには違いないからね。
パリ:
うん。海の幸ですよ。
ナオ:
ね。海を見ながら海のありがたみを味わう。 もう海につかってるのと同じ。
パリ:
さっきの釣り人と同じ。外側からか内側からかの違いで。
ナオ:
そうそう。海を飲みこんでる。
パリ:
はは。急にしょっぱそう。以降はもうおまけみたいなもんなんで、あと、この日はそんなに時間もなかったので、ぷらぷら散歩しながら帰りました。
パリ:
トイレの横に更衣室あるのとか、ぐっときますよね。
ナオ:
例年なら夏は海水浴客で賑わう場所なんですかね。
パリ:
どうなんだろう。そんなに海水浴場って感じでもなかったけど、サーフィンとかはやる人多いのかも。あとこの、
パリ:
っていう彫刻が、かなりやりたい放題でした。
ナオ:
はは。いろんなやついるなー!
パリ:
鳥も加わった。
ナオ:
すごい! 後頭部に鳥。右の子は鳥から逃げてるのかな? 「こ、ころされるー!」って。
パリ:
となると左から2番めの子は、「お、お父さんをいじめるなー!」ですかね。って、そんな獰猛な鳥にも見えないけど。
ナオ:
はは。
パリ:
あとですね、実は僕、「東屋探訪家」という肩書きもあるんですが、この東屋はすごかった。
パリ:
日本一かもしれない。
ナオ:
これは星3つあげましょう。すごいな。今度ここで打ち合わせしたいですよ。
パリ:
わざわざここまで行ってね。
ナオ:
「次に、3ページ目のグラフなんですが」みたいな。
パリ:
ノートPCとか持ってって、難しい顔で。ちなみに、夕日越しの東屋撮りたくて、
パリ:
いい位置におじさんが座ってたんですが、むしろ絵になるし、後ろ姿のシルエットならばプライバシーの問題もないかなと撮らせてもらったんです。いい時間の過ごしかたですよね。
ナオ:
ですねー!
パリ:
ただ、じっと見てたら、
パリ:
とか思えてきて。
ナオ:
ははは。「ずっと待っていたよ……」って。
パリ:
はは。
ナオ:
「パリくんだね?」
パリ:
いや〜! 何かを授けられる! とこわくなって、「ひ、人違いです!」と逃げ帰りました。
駅へと戻る道すがら
パリ:
さて、また駅に戻る途中、
パリ:
こんなオブジェを見つけて、「わはは、リスとパンダのサイズ感が同じとか、あるある!(笑)」みたいな気持ちで近づいていったんですけど。
ナオ:
パンダ2頭に、リスか。
パリ:
次の瞬間、ゾクっとしましたよ。
ナオ:
え! これは……。
パリ:
あらためてよく見ると、
パリ:
と、うしろのパンダが怯えているように見える。もう一頭はなにもできず硬直しちゃって。
ナオ:
こわいこわい。
パリ:
ね。けどすみません、実は続きがありまして。
ナオ:
あー!
パリ:
な〜んだ! と、ほっとしたのもつかの間、しかしこれ、なんですか?
ナオ:
たしかに、サッカーボー……いや、違うな。
パリ:
そうそう。僕も雑なサッカーボール? まぁ、なにかの玉なのかな? と、無理やり自分を納得させて、ふたたび歩きだしたんです。ところがすぐ隣の公園に、こんどはこんな遊具があって、
パリ:
なんだけど、前に回ると、
ナオ:
ははは。やっぱり事件性ありかもしれん。
パリ:
もしくは検見川あたりには、なにかこういうものが存在するんですかね。みんなが知ってる。
ナオ:
海でとれる名物のね。
パリ:
丸くて、白黒水玉の、「検見川丸ナマコ」みたいな。
ナオ:
はは。地元では給食にも。「また丸ナマコかよ……やだなぁ」って。
パリ:
「気味わりぃし、味もしないしよー」。
ナオ:
どんぶりいっぱいに何個も入ってるのね。
パリ:
街をあげて「どうぶつたちも大好物!」ってイメージを作ろうとしてるんだけど、いかんせん……っていう。
ナオ:
素材が悪すぎる。
パリ:
さて、次が最後のトピックになりまして、駅前まで戻り、ふだん来ない街どうしても地元の店で一杯やって帰りたくなるじゃないですか。
ナオ:
ですよね。
パリ:
ところが、もっとじっくり探索したら違うのかもしれないけど、本当に個人店っぽい店が見当たらないんですよね。で、イオンの地下に、
パリ:
こんな中華屋があって、この、
パリ:
がお得だなということで、最後にここに寄って帰ることにしました。一品と一杯で税込み693円。
ナオ:
はは。「一品ずつお選び!」
パリ:
女王様!
ナオ:
優しい女王様です。
パリ:
なにもひどいことはしてこない。
ナオ:
しかしこれはめっちゃ迷うー。少なくともここが千葉だからといって「ゆでらっかせい」を注文する勇気はない
パリ:
はは。そうそう! 僕はこういう中華の前菜がずらっと並んでると、つい「バンバンジー」とかを選びがちなんですよね。とりあえず肉が得だろうと。ここで「ゴーヤの冷製」とか頼めると大人って感じしますよね。
ナオ:
わかる。確かにバンバンジーいいですね。その上の「蒸し鶏しびれるソースかけ」も美味しそう。決めた、これにします!
パリ:
ははは。ちなみに僕は、
パリ:
にしました。
ナオ:
あ、いいな!
パリ:
ピータン大好きで。しかも「ピータン」と「ピータン豆腐」が同じ値段という。
ナオ:
じゃあもう絶対!
パリ:
ここのはけっこうしょっぱ辛い攻めたソースがかかってて、ザーサイもたっぷり。あと、
パリ:
うまかったです。結果、すごくいい店でした!
ナオ:
いい締めですね。
パリ:
でしたね〜。
ナオ:
すごいですね。いちばん安いのでも食べきれなそうだわ。
パリ:
さっきの海辺の東屋で打ち合わせしたあと、ここで打ち上げしましょうよ。980円のコースで。
ナオ:
そうしましょう! 「3名様~」だから……あ! あの東屋のおじさんを誘って。
パリ:
また「待っていたよ……」って。
ナオ:
ははは。
パリ:
「じゃあ、行こうか、晴晴飯店……」
ナオ:
話が早い。
パリ:
「ただ、手持ちはないよ……」
ナオ:
はは。ないんだ。「でも僕が行かなければ食べられないわけだよね? どうする?」
パリ:
「う〜ん、しょうがないな〜。おじさんにはかなわないや!」
スズキナオがゆく「二色浜」
ナオ:
いやー素晴らしい海でした! 続いてこちらの方向なんですが、まずそもそも、私はわりと頻繁に海へ行くんです。神戸の須磨の海が好きで、大阪市内から電車で40分とかで着くので。
パリ:
僕もいちどご一緒しましたが、いいですよね!
ナオ:
ね! 駅の前の前がすぐ海。これはつい最近の写真ですが、
ナオ:
ふだんから一杯飲みにいく感じで行ってるんです。
パリ:
羨ましい〜。というかさっきの僕とほとんど同じようなことやってますね。
ナオ:
うん。で、須磨駅にはコンビニが併設されていて、近くにはパック寿司なんかも売ってる魚屋さんとか、美味しいサンドイッチ屋さんがあったり。でも、須磨に行ってももう最高なのはわかってるから、今回はちょっといつも行かない海へ行ってみようと思ったんです。
パリ:
うんうん。
ナオ:
それで、大阪の友達に「泳ぎに行こうと思ったらどこの海に行く?」と聞いたら、須磨か、もしくは二色浜(にしきのはま)だと。
パリ:
二色浜、初めて聞く。
ナオ:
大阪の南のほうの海で、岸和田とかあっちのほうなんですが、私は行ったことがなくて。
パリ:
いいですね!
ナオ:
で、当日の朝、
パリ:
うわっ!
ナオ:
どうも天気がよくない。でも今日取材にいかないとタイミング的に無理っていう日で、天気予報では昼からは回復すると言っていたので、それを信じて行ってみることにしました。
パリ:
さてどうなる?
ナオ:
JR新今宮という駅で降りて、そこから南海電車というのに乗り換えて行くのですが、改札内にこんな店があり。
ナオ:
もうお腹が減ってるので、本当はここで食べたいぐらいだった。
パリ:
なにこれ!
ナオ:
なにがなんだかわからないでしょう。“じゃない”の嵐。
パリ:
わからん。
ナオ:
「プレーン」ってね。チューハイ以外で聞いたことない。
パリ:
「ナポリタン風味の黄麺で」っていう人も、世の中にはいるわけですよね。
ナオ:
はは。いるはずです。こうしている今も誰かが注文しているかも。ごはんもありってどういうこと?
パリ:
しかもパスタはないんだ。
ナオ:
ははは。本当だ。ナポリタン風味なのにパスタ選べない。まあ、南海そばは近いのでまた行くとして、先を急ごうと、とりあえず改札内の、
ナオ:
というコンビニでチューハイを買って。
パリ:
アンスリー。
ナオ:
ボックス席なんかあったら飲もうかなって思ったんだけど、
パリ:
あら〜。
ナオ:
ちょっとあれだなと思って、チューハイはリュックにおさめました。
ナオ:
だんじりで有名な岸和田の少し先なんですが、私はほとんど来たことのないエリアで。
ナオ:
こんな駅とか、わくわくするでしょう。
パリ:
降りたいすね〜! 何があるんだ、たこじぞう。
天気予報を信じて海へ向かうも……
ナオ:
で、二色浜駅に着いたんですが、電車を降りたらなんと小雨が降ってきて。
パリ:
ぎゃ〜。
ナオ:
これから海に行こうというのにさー。まあそんなの私の勝手な都合なのでしかたないのですが。
ナオ:
まだ14時ごろなんですよ。
ナオ:
が、もう進むしかない。
パリ:
ずっと不穏ですね、景色が。
ナオ:
そうなんですよ。でも「臨海」とあるし、
ナオ:
なんかもあるんですが、この季節だからか閉まっていて。
パリ:
うわ〜、ふだんならわくわくするやつなのに。
ナオ:
ねー!
ナオ:
だって、すごい良さそうじゃないですか。
パリ:
いいですね!
ナオ:
シンプルなラーメンとかカレーが出てきそうな。でも、
パリ:
さっきから、すべてが廃墟に見えるんだよな。天気のせいかな。
ナオ:
ははは。海に行く天気じゃない。
ナオ:
でも、まだ食べものがなにも調達できてない。
パリ:
ははは。僕でいうかにちらしがゲットできてないんだ。
ナオ:
そう。このあたり、かにちらしが見当たらない。なんだけど、少し引き返したところに、
ナオ:
があった。
パリ:
吉野家かー……いやでも、海辺の店舗ならではのメニューがあるかもしれない!
ナオ:
結論から言いますと、なかったです!
パリ:
でしょうね。
ナオ:
普通のメニューで。まあでも、海辺で牛丼食べたら美味しそうな気もしませんか?
パリ:
確かに。我々、食べものの味なんてシチュエーションでぜんぜん変わるとよく言ってますもんね。
ナオ:
それに、いつも食べてる味だからこそ比較ができる。それで、「牛丼弁当(ご飯少なめ)」を買いまして。
パリ:
なんだかんだで楽しくなってきたぞ。
ナオ:
この向こうへのぼっていくと……
パリ:
……じゃ、なかったか〜。
ナオ:
じゃなかった。
パリ:
じゃないほうですね。
新手のYoutuberあらわる!
ナオ:
でね、さらに雨が強くなってきて、それはまだいいんだけど風がやばいの。
パリ:
はは。風が強い海、こわいからな〜。
パリ:
晴れてたら検見川浜のよりもいいかもしれないくらいの東屋じゃないですか。
ナオ:
そうでしょ。星3つなんですよ。打ち合わせにも最適。で、ここで食べることにしたんですが、強風のせいで雨が斜めに吹きこんでくるんですよね。
ナオ:
吉野家の袋がもう、風で生き物みたいに。
パリ:
わはは。バサバサバサバサ!
ナオ:
牛丼がズズズッと動いていく。
ナオ:
それを拾ってる間に牛丼がテーブルのはじまで移動してて、みたいなやばい状態!
パリ:
壮絶だ。
ナオ:
エクストリーム牛丼。
パリ:
わはは! もう誰これ?
ナオ:
ははは。これ、俺か?
パリ:
なぜか続出するハプニングが人気の、全国をバイクで旅するYoutuberっていう感じです。
ナオ:
ははは。いつも荒天のYoutuber。
パリ:
「今日も雨のち雨」チャンネル登録お願いします!
ナオ:
チャンネル登録しようかな。「今日は軽井沢に来ています! ご覧ください! 豪雨です!」。
パリ:
はは。翌朝、「さて出発します」というタイミングで毎回晴れる。
ナオ:
かわいそうなやつだよ。とにかく風がすごすぎてさっきの東屋の屋根を支える柱の陰に。まあそれもほとんど意味はないんだけど、気休め程度にそこに立って
パリ:
わはは! 新しいキャラ生まれてますね完全に。さっきからどの写真もナオさんじゃないんだもん。Youtuber、アレル。
ナオ:
ははは。常に天気がね。これはセルフタイマーで撮ったものなんですが、そのカメラごと風で飛んでいくぐらいだったな。あんなに味のしない牛丼は初めてだった。
パリ:
逆の意味で、シチュエーションで味が変わったわけですね。
ナオ:
味わうというか「もうとにかく食べて、逃げよう!」と。そして、うおー! と叫びながら
パリ:
こわいこわい。僕がのどかに楽しんでたのが申し訳なくなってきました。
ナオ:
はは。いいんです。どちらも海。というかこんな日に来る私が悪い。
ナオ:
世界中の都市の名前が書いてあって、きっとこの海の向こうにあるんだなー! って。
パリ:
はは。
ナオ:
ニューヨーク、パリ、東京……きっとどこも晴れてんだろうなー!
パリ:
この砂でパンパンの財布、交番に届けたらむしろ怒られるでしょうね。
ナオ:
「職務の邪魔なので逮捕!」
ナオ:
雨もさらに強くなってきたので退散することにして。
パリ:
それがいい!
ナオ:
ここ、海辺一帯が公園になっているので遊具があったり。
パリ:
かっこいい。晴れてたら最高でしょうね。
ナオ:
でしょうね!だっれもいない。なんか撮っておかないとと思ってがんばったりして
パリ:
ははは。アラレちゃんに出てくるやつかと思った。
ナオ:
はは。大きなウンチを背負った人。
パリ:
晴れた日はちゃんと巻貝に見える遊具。
ナオ:
体が風と雨で冷えまくって震えるほどになった私は、とりあえず海から離れようと歩きました。パチンコ屋さんののぼりが風でぶっ飛びそうなので、スタッフの人が回収しているほど強い風でしたよ。
ナオ:
でも、やはり神様はいるもんですね。
パリ:
わっ風呂!
ナオ:
そう。「虹の湯」っていうスーパー銭湯が現れたのです。
ナオ:
さっきまで震えていたのでなおさら感動してね。
パリ:
急にうらやましい!
ナオ:
ははは。でしょ! そもそも寒かったからあったかい風呂が最高に沁みるし。
パリ:
また、雨の露天風呂ってのもいいんですよね。
ナオ:
そうそう! サウナで体を芯まであっためたあとに露天風呂の方に出ると、さっきの強風が吹いてくるわけ。
パリ:
いいぞ。
ナオ:
あの強風が、今の自分にとっては扇風機になってるという。
パリ:
逆転ホームラン。
ナオ:
困難を乗り越えたあとには、いいことが待っているもんです。いい湯だったなー。露天も天然温泉でね。で、そこにこんな食事できるスペースもあって、
パリ:
なんてこった。
ナオ:
うめえのなんの。
パリ:
潮風を浴びまくったあとのレモンサワー、沁みそう。
パリ:
あ、ナオさんだ! アレルじゃなくなってる!
ナオ:
はは。ようやく自分に戻れた。私でしたわ。
パリ:
良かった。
ナオ:
そして虹の湯を出たらね、
ナオ:
そこで、今あの海をもう一度見てみたらどうだろうと思って走って、
ナオ:
ピカーン! ではないけど、
パリ:
ドラマチックな風景ですね。
ナオ:
なんかすごくないですか。絵に描いてみたくなるような。ほんの少しの晴れ間から光が注ぐ感じが神。
パリ:
神だわ。
ナオ:
あいかわらず、
パリ:
アレル!
ナオ:
はは。と、なんだかんだで堪能した帰り、リュックを見ると、
ナオ:
けっきょく飲んでなかったのが出てきて、それを飲みながら駅へ。今度は駅前のここでお弁当を買っていきたいなと思いました。
パリ:
らいすあべにゅー。
ナオ:
帰りの電車を待ってたらまた雨が強くなってきて、あの晴れ間は一瞬のご褒美だったなと。
パリ:
聞いてるこっちもなんだかんだ堪能しました
パリ:
おつかれさまでした。どちらの海にも、今度一緒にとか、友達なんかと行きたいですよね。またひとついい場所を知れたというか。
ナオ:
ね。どっちにしても、海に行けばなんかやっぱりすごい景色が見られることは間違いない。また、冬にしかない海のよさもあるし。
パリ:
ほんとに。子供のころ、海って年に1、2回、何時間もかけて旅行に行く場所っていうイメージがあったんです。もちろん、海辺の街で育った人だとまた違うでしょうが。
ナオ:
うんうん。そうですね。東京にいると特にそうかもしれない。
パリ:
が、意外とすんなり行ける海もあるわけで、僕でいうと、検見川浜の両隣、稲毛海岸とか海浜幕張とかも、海が近いらしく。
ナオ:
ちょっとうとうとしたり、本読んだりしてたら案外すぐ着くし、もっと日常に海を取り入れていきたいなと思わせてくれる旅でした。
パリ:
でしたね! と、いうだけの結論なんですが!