北海道や九州に比べたら静岡はご近所!?
北海道のジーンさんから頂いた仕送りリレーのバトンを、静岡県浜松市の鈴木さくらさんにつなぐことになった。
浜松には、何年か前に友達と旅行したことがある。そのときは朝に車で京都を出発して、昼食は浜松で食べたっけ(その後うなぎパイの工場を見学したりした)
つまり、京都から静岡まではそれほど遠いわけではないのだ。ここがオーストラリアのド田舎ならぎりぎり同じ町内に属しているくらいの距離かもしれない。それは言い過ぎだが、北海道や九州に比べるとかなり身近であることは間違いない。
そんな(相対的に)ご近所の鈴木さんの知らない京都のものを届けたい、「京都にこんなものが......!」と感心させたい!
そう思いながらスーパーの店頭を1時間以上、右往左往して選んだのがこれだ。
京都人の食に対する姿勢はなかなか節操がない。和食の出汁の味にうるさいかと思えばパンの消費量が日本一だったり、市内には国内有数のラーメン激戦区があったりする。結果的にその節操のなさを反映した品揃えになったような?
説明していこう。
にしん姿煮
温かい蕎麦で私が一番好きなのは、なんといっても断然にしん蕎麦だ。年越し蕎麦もほぼ毎年にしん蕎麦を食べる。
天ぷら蕎麦と同じで全国的に食されているものだと思っていたが、じつはそうではないということを最近知った。にしんの漁獲地である北海道と、ここ京都以外ではあまり普及していないという。意外だ。これは是非、味わってもらわなければ。
とはいえにしん蕎麦そのものを送るわけにはいかないので、常温保存可能な真空パックのにしんを送ることにした。
鈴木さん、申し訳ないですが蕎麦と出汁の準備をお願いします!刻みネギがあるとなお良しです。あと、七味も。
ツバメのオリソース
ウスターソースを熟成させるときに、タンクの底の方に貯まった沈殿物、またの名を澱(おり)を集めて作るから、オリソースだ。
味を簡単に説明すると......濃い!美味い!そして、辛い!最初は少しずつ様子を見ながら使ってください!
じゃこ入り筍ご飯
京都はタケノコが美味しい土地だ。そして、タケノコ料理の筆頭といえば筍ご飯に違いないのだ。ご飯にタケノコを炊き込んだだけなのに、あら不思議、一度に2合でも3合でも食べられてしまう。
筍ご飯の作り方にはいろいろあるけれど、じゃこと一緒に炊き込んだものが一番おいしいと思う。今回は、たくさんある炊き込みご飯の素の中で、自分の好みに一番近そうなものを選びました。
宇治のほうじ茶
他府県の人が京都名物と聞いて真っ先に思い浮かべるのはなんだろうか?
おそらく、お茶だと思う。
そして、静岡名物はなにかと聞かれて私が真っ先に思い浮かべるのも、なんとお茶なのだ!
お茶の産地にわざわざお茶を送るのは無為で愚かな行いのような気もするけれど、こんな機会でもないと静岡の人が京都のお茶を飲むこともなさそうなので、あえて入れてみる。
ほうじ茶を選んだのは、新茶の季節には少し早いからだ。それに、ほうじ茶は寒い季節の飲み物というイメージがあるけれど、強い香ばしさと渋みのある飲み口は暑い中で飲んでも美味しいのだ。
京都醸造 黒ビール『黒潮の如く』
京都醸造は、イギリス人、アメリカ人、カナダ人の3人組が青森で知り合い、京都で立ち上げた醸造所だそう。「は?」と思うけれど、事実だ。
2015年に設立されたばかりの醸造所だからそれほど知名度は高くないかもしれない。でも、とても美味しいビールを作っているのでこれから有名になると思う。
飲み干す一杯 京都背脂醤油ラーメン
冒頭でも少し触れたけれど、京都市左京区一乗寺は日本有数のラーメン激戦区なのだ。
このカップ麺は特定の店のラーメンをモデルにしたわけではないらしい。が、なんとなく「京都のラーメン屋にありそうなラーメン」にまとまっていて見事だと思った。
豆政の五色豆とわさびピーナッツ
明治の創業以来、京都で愛され続けている豆政の豆菓子。
紋章のかわいらしさといい、巨大な五色豆の看板といい、遊び心がこれでもかと詰め込まれたこの店構えは京都の町の宝物だ。
五色豆の方は、京都で生まれ育った人なら「自分で買ったことはないけど、一度は食べたことがある」んじゃないだろうか。なんとなく、祖父母をはじめとする年配者がくれるお菓子の筆頭というイメージがある。
志津屋の京どら焼きとカラメルプリン
一人当たりのパンの消費量全国一位をほこる京都府民が愛してやまないローカルベーカリーチェーン『志津屋』。しかし志津屋のパンの美味しさは賞味期限の短さ(おおむね1日~2日)の上に成り立っているのだった。ああ!
というわけで、パンは無理だったので日持ちのする志津屋のお菓子を送ります。
お濃茶ラングドシャ『茶の菓』
以前いた職場では、交渉などで手土産を持っていくときは、茶の菓を買っていくことになっていた。ちょっと高級感があり、でも気取りすぎない感じがちょうどいいのだ。
味のほうも、数ある抹茶菓子の中でも首位を争える美味しさなので是非。
竹筒水羊羹
ジーンさんが北海道から送ってくれた五勝手屋羊羹を食べたときから、自分の仕送りには絶対にこれを入れようと思っていた。
竹筒から水羊羹がにゅるっと出てくるところが、ダイナミックで見ていて気持ちいいですよ。
市民新聞と地域情報誌『ハンケイ500m』、香袋
最後に、最新の市民新聞と『ハンケイ500m』という地域情報誌、それから家にあった文香を入れて送ります。
以上が、悩んだ末に箱に入れたものたちです。
ここで一つ告白なのですが、決められた予算をほんの少しとはいえオーバーしてしまいました。最初のうちは「あー、あれなら送れるかなあ」などと記憶の底をさらいながらアイデアを絞り出していたのだけれど、だんだん「これもいいな。あ、こっちも喜ばれそう!」と、送りたい欲が花開いていくのが面白かったです。人にものを送るのって楽しい!
静岡の鈴木さくらさん、楽しんでいただけるとうれしいです!
京都のこーだいさんから
静岡の鈴木へ
荷物が届きました!
静岡県浜松市在住の鈴木さくらです。
こーだいさん、悩み抜いてお送りいただいた大切な仕送り、しかと受け止めました!ありがとうございます!
地方在住ライターとして、わたしのところにも参加の打診が来ないかソワソワしながらこれまでの仕送りリレーを見ていたので、編集部の古賀さんから連絡をもらった時はわかりやすく「ヤッター!」と叫んで喜んだ。
しかも仕送りを送ってくれるのは、みんなの憧れの地・京都に住むこーだいさんだという。
こーだいさんが書かれている通り、京都と静岡はそこまで距離が離れているわけではない。しかし静岡人からすれば、京都は修学旅行や家族旅行といった一大イベントでのみ行ける特別な場所だ。
そんな京都から仕送りを送ってもらえるなんて、受け取る前から大感激だった。京都に一人親戚が増えたような感覚になって、とてもうれしかった。
あ〜〜〜もう見ただけでおいしいよ〜〜〜
甘いお菓子からごはんものまで、ラインナップが最強すぎるよ〜〜〜
もともとハイレベルな京都の品々が、地元民こーだいさんの手でふるいにかけられたのだ。つまり、ここにいるのは精鋭中の精鋭。京都界の日本ダービー、いや凱旋門賞…!
豆政の五色豆とわさびピーナッツ
箱を開けたそばからいただきます。
まずは大きくて食べ応えもありそうなわさびピーナッツから。
辛さだけでなく、わさびの味がちゃんとしておいしい!ぽりぽりした食感も癖になる。これはたしかに中毒性が高い。食べすぎないよう小さなお皿に出したわたし、正解。
五色豆は袋を開けた瞬間甘い香りがふわ〜んと広がって、食べる前から幸せな気分になった。見た目もカラフルで、テンションが上がるお菓子。渋いお茶、苦いお茶とも相性がよさそう。
しかしわさびピーナッツと五色豆を同時に開けたのは失敗だったな。辛いと甘いの無限ループにはまって、せっかく小さなお皿に出したのにスムーズにおかわりした。
こーだいさん、もしや確信犯では?わざわざ豆政の本店まで赴いて買ってくれたそうなので間違いない。
ありがとうございます!
志津屋の京どら焼きとカラメルプリン
一人あたりのパン消費量が日本一という京都。京都は何度も旅行で訪れているが、正直パンに着目したことはなかった。
今度京都を訪れた際は、パンも意識してみよう。
生地もあんこもさっぱりしていて、どことなく懐かしく感じる昔ながらのどら焼き。甘すぎず、重たすぎず、あっという間にたいらげてしまった。
もう10個食べたい。
まったり濃厚系のプリンで、なめらかな口当たり。
ローカルベーカリーチェーンといいながら、ベーカリー以外のポテンシャルもとても高い志津屋。
本命のパンはどれだけおいしいんだ…めちゃくちゃ気になる!
お濃茶ラングドシャ 茶の菓
数ある抹茶スイーツの中で、こーだいさんが一番好きだという茶の菓。 期待が一気に高まる。
こーだいさんが以前働いていた職場では、交渉などで外部の人と会う時はたいていこの茶の菓を手土産に持って行ったそうだ。
たしかに、これがあれば交渉は200%成立するだろう。
同梱されていたリーフレットも魅力的だった。
小さなリーフレットだったのではじめはドット絵に見えたが、よく見ると今食べたばかりのラングドシャからなる盆栽だった。こんな盆栽、育ててみたい。
そして、ラングドシャを包む袋の裏面には『シェフからのお願い』が。この手のお菓子で、シェフからのお願いが書いてあるものを初めて見た。
京都からわたしのところになにかしらの交渉に来る人がいたら、この茶の菓を持って来てください。500%成立します。
竹の詩 水羊羹
北海道のジーンさんから送られた五勝手屋羊羹を受けて今回セレクトしたという、竹筒に入った水羊羹。
まずはこちらをご覧ください。
プッチンプリンと同じ要領で底に付いている爪を折ると、竹筒の中から水羊羹がスルリと出てきた。
もっとスローに出てくるかと待ち構えていたら、水羊羹だからか案外高スピードで出てきて笑ってしまった。
そして肝心の味は、想像をはるかに上回るおいしさ!
竹筒の大きさからすると1本で十分かなと思ったが、これなら100本いける。わんこ水羊羹したい。
宇治ほうじ茶
こーだいさんのおっしゃる通り、お茶どころ静岡に住むわたしはあまり他県のお茶を飲む機会がない。家で飲むお茶も、いただきもののお茶も、スーパーで売られているお茶もほとんどが静岡県産のお茶だ。
こーだいさんのご実家では、お茶といえばほうじ茶だったそうだ。
わたしは緑茶を飲むことがほとんどだったが、宇治ほうじ茶を飲んでほうじ茶のよさも実感した。
ほうじ茶独特の香ばしさ、さっぱりとした味わい、たしかにこれからの暑い時期にも向いていそう。
正直、県外産のお茶をライバル視してあまり飲まないようにしてきたふしがある。しかし、それはとてももったいないことだと今回気づかされた。
これからは京都産のお茶も、県外産のお茶も、積極的に楽しんでいこうと誓った(勝手にライバル視してごめんなさい!)
飲み干す一杯 京都背脂醤油らーめん
箱を開けた瞬間目をひいた飲み干す一杯ご当地編、京都背脂醤油らーめん。パンと同様、京都のらーめんに着目したことがなかったが、京都市左京区の一乗寺界隈はらーめんの激戦区だという。
口当たりのいい麺と、商品名の通り思わず飲み干したくなるコクのあるスープ。
普段カップ麺のスープは飲みすぎないように気をつけているのだが…
全部は飲むまい、でももっと飲みたい!を繰り返して、結局底から1cmくらいを残しただけでほぼ飲んでしまった。
濃い目のスープがライスにも合いそう。ライスはいかん…絶対にいかん!京都パワーに圧倒されて、禁断の扉を開けそうになった。
にしん姿煮
こーだいさんから「お手数ですが蕎麦と出汁を用意していただいて、にしん蕎麦にしてお召し上がりください」とメッセージが添えられていたにしん姿煮。
全然お手数じゃありません。京都流で楽しむため、もちろん用意させていただきます。
にしんにかかっている蕎麦のお布団に関しては、こちらの拙攻さんの記事をご覧いただきたい→にしん蕎麦は優しさに包まれている
これを年越しに食べたらほっこりした気持ちになれるだろうなぁ。
上品な味で、京都の年越し蕎麦らしい蕎麦だった。
もう1尾あるので、またにしん蕎麦にしようか、べつの食べ方をしてみようかと調べていたら、じゃがいもと一緒に炊くレシピもあるらしい。にしんとじゃがいも、想像がつかない…せっかくなのでトライしてみたい。
じゃこ入り筍ご飯
筍がたっぷり入った炊き込みご飯の素。 こーだいさんはじゃこと一緒に炊き込む筍ごはんが好きだということで、この商品を選んでくれた。
作り方はいたって簡単。
炊き上がりまで残り15分を切ったところで、干し海老の香ばしい香りが一気に部屋中に広がった。待ちきれず、茶碗としゃもじを持って炊飯器の前で待機。
筍ごはんは油揚げと一緒に炊いたスタンダードなものしか食べたことがなかったが、干し海老やじゃこも香ばしさが加わってとてもおいしかった。
しっかり味がついていて、これ1品で大満足。
食べきれなかった分を朝ごはんにまわしたら、とても幸せな朝になった。
ツバメ オリソース
「容赦ない辛さなので少しずつかけて召し上がってください」という気になるメモと共に箱に入っていたツバメ オリソース。
はじめは少し酸味の効いたおいしいソースという感じだった。が、時間差で辛みが!体感で10秒後ぐらい、結構な時間差で辛みがきたので、ソースが足りないのかと思い追いソースをしそうになっていた。あ、あぶねぃ!
たしかに辛い。でもおいしい辛さだ。食べていくうちに癖になって、このあとポテトにもかけて食べた。
わたしはすっかり、オリソースのとりこになった。
京都醸造 黒ビール 黒潮の如く
イギリス人、アメリカ人、カナダ人の3人組が京都で設立したクラフトビール醸造所・京都醸造が作る黒潮が如く。
生い立ちがおもしろすぎて興味持ちまくり!
飲む前から大好きになった京都醸造ですが、実はわたくし昨年出産し、現在絶賛授乳期でして…授乳期があけたら、アルコール復帰第一号にいただきます!個人的にいただくことになって本当にすみません!楽しみだ〜
地元の人ならではの京都を体感
冒頭にも書いた通り、京都には旅行で何度も訪れたことがある。
しかし今回、こーだいさんが地元の人ならではのチョイスでさまざまな品物を送ってくれて、これまで知らなかった京都を知ることができた。
次に京都を訪れる際は目線が変わりそうだし、一度仕送りをもらったおかげで京都通ぶってしまいそうだ。仕送りのパワー、恐るべし!
こーだいさん、素晴らしい仕送りを本当にありがとうございました!
次回、静岡の仕送りが沖縄に届く!
はい、ここで再度案内役の編集部古賀です。
泣く子も黙る古都京都、その生活密着型の仕送り、よよよ、良かったですね……。「地元の方が交渉事のときに持っていくもの」なんてなかなか知りえないことです。
さらに地ソース! 仕送りリレーも今回が5回目となりましたが、調味料に地域性があるのだなと思わされるばかりです。
さあさあ、堪能した鈴木さんがその静岡パワーをぶつけるのは、沖縄! 地元メディアのDEEokinawaさんに荷物を受け取ってもらえることになりました。
温暖な気候と豊かな自然からうまれいずる文化あふれる静岡からなにがとびだすか。どうぞご期待ください~!