仕送りリレー 2021年3月26日

北海道のジーンさん、えびめしって知ってますか? 仕送りリレー 岡山→北海道

旅先でスーパーに行くと、大メーカーの全国展開の商品にまじって見覚えのないメーカーの見覚えのないパッケージがしれっと並んでいるのに興奮するものです。

なにこれ見たことない!

ライターが地元で当たり前に買っているものを、他県のライターに送る企画「仕送りリレー」。前回長崎から荷物を受け取った岡山のライター岡本さん(オカモトラボさん)が、今度は北海道のジーンさんへ仕送りを送ってくれました!(ご案内:編集部 古賀)

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岡山の岡本から
北海道のジーンさんへ

魅力度33位の岡山から絶対王者の北海道へ

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岡山からこんにちは。岡本です。

正直にいうと、大変困っている。

編集部の古賀さんから伝えられた次の送り先は北海道在住ライターのジーンさんとのことだ。

北海道といえば都道府県魅力度ランキングで12年連続不動の1位。

それに対して我が岡山県は毎年30番〜40番くらいを行ったり来たりしている。

岡山県は「果物王国岡山」を自称しているが、果物それ自体はこの時期とルールに決められた予算、生モノであり仕送りが難しい。ただでさえ分が悪いのに両手足を縛られたかっこうだ。

岡山を代表して北海道に仕送りする以上、もしあまりに不甲斐ないチョイスをしてしまったら岡山県民過激派(※)に命を狙われかねない。(※岡山で「え?桃太郎が岡山の根拠ってなんか弱くない?(笑)」と言うと岡山県民過激派から命を狙われるので気を付けよう)

ということで、僕が命がけの覚悟で臨んだ仕送りがこちらである。

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岡山からの仕送りリレーだ!

ではひとつづつ説明させていただこう。

きびだんご

岡山県と北海道の共通点はなんだろうか。意外にもその一つがきびだんごだ。

北海道には岡山の吉備団子とは由来が異なるきびだんごがある。

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岡山県民なら歌える「しきしまどーの、マスカーットきびだんご♪」CMでお馴染み。

岡山のきびだんごは広栄堂本店と廣榮堂武田がメジャーだが、あえてややマイナーな敷島堂のマスカットきびだんごを選んだ。

岡山県民的には異論もあるかもしれないが、県外の人の評判はこのマスカットきびだんごがすこぶる良いのだ。

ママカリの酢漬け

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これは岡山のスーパーで売られているママカリの酢漬け。

ママカリとはニシン科のサッパという魚だが、隣家からまんま(ご飯)を借りてでも食べるくらい美味しいことから岡山ではママカリと呼ばれる。

ママカリの酢漬けは岡山県下のスーパーならほとんどどこでも取り扱われている正真正銘の家庭の味だが、ママカリ大好き!と岡山県民から聞いたことがないし、まんまを借りたという話も聞いたことがない。 

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これはお土産用のママカリの酢漬けである。

スーパーで売られているママカリの酢漬けは要冷蔵だったので、 常温で送れるお土産用にした。

白桃ピオーネカレー

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自称、果物王国を感じてほしい。

果物王国岡山がそのポテンシャルをなぜかカレーに向けて発揮してしまった一品。白桃とピオーネを入れたカレーだ。

人気らしいが僕はまだ食べたことないので、もしジーンさんが美味しいと言ったら食べてみよう。

梶谷のシガーフライ

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昔ながらのパッケージが魅力だ。

岡山で長年愛される細長いビスケット。岡山に住む子供はいつもこのシガーフライがポケットに入っているとされる。(そういうローカルCMがあった)

岡山木村屋のバナナクリームロール

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パッケージのデザイはずっと変わっていない。

岡山木村屋のバナナクリームロールだ。

岡山木村屋はあんぱんで有名な銀座 木村屋總本店からののれん分けで、岡山県下では非常に多くの店舗を展開している。その代名詞がバナナクリームロールで、岡山県民なら全員食べたことがあるお馴染みの味。

ただ県外の人にどう捉えられるかは未知数だ。

えびめしの素

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岡山県内では入手しやすいが。

えびめしは岡山市内の多くの食堂や喫茶店で提供されるソウルフード。多分県外ではほとんど馴染みがないと思う。

カモ井のマスキングテープ

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美観地区のイラストが描かれている?

女性の間で人気のマスキングテープは近年岡山のお土産の地位を固めつつある。ビニール傘に巻くと間違えられにくくなるのでおすすめだ。

点字ブロックコースター

 岡山県岡山市には点字ブロックの発祥の地がある。 

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岡山市中区原尾島交差点にある点字ブロック発祥の地。

手前味噌で恐縮だが、ものづくりで岡山を盛り上げようというプロジェクトがあり「岡山のお土産は桃太郎が多いので新しい切り口のお土産を考えよう」という趣旨のもと点字ブロック形のコースターを作った。

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2種類ある。

今回の仕送りでは食べ物が多くなってしまったので、デットストックを引っ張ってきた。NHKの番組で取り上げられた際、南海キャンディーズの山ちゃんが褒めてくれたらしい。

味付け海苔

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海苔は味付け海苔こそ至高。

西日本では味付け海苔がポピュラーで、東日本では焼き海苔が好まれると聞いたことがある。岡山でも海苔といえば味付け海苔だったのでコンビニで初めて焼き海苔のおにぎりを食べたときは驚いた。

北海道は焼き海苔だろうか。北海道の海苔文化についても聞いてみたいので入れてみる。

山陽新聞とタウンワーク

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旅行先のタウンワークを見るのが密かな楽しみだった。

山陽新聞とは岡山県のローカル紙、あと岡山版タウンワークも入れた。

見た目が特徴的なむらすずめ

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岡山県南西部の倉敷市の有名なお土産。

岡山県の第二の都市、倉敷市のお土産といえばこのむらすずめだ。見た目が特徴的で、集合体恐怖症の人はまれに怖いと感じる人もいるらしいが、とても美味しいのでぜひ。

以上のように岡山の濃ーい部分を詰め込んだ仕送りを送ります!

まあまあな無茶振りも含まれますが、ジーンさん、なにとぞよろしくお願いします!

いったん広告です

岡山のオカモトラボさん(岡本さん)から
北海道のジーンへ
荷物が届きました!

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雪ののこる北海道からお送りいたします

北海道のジーンです! 岡山からの仕送り、届きました!
長いこと実家ぐらしだったので、初の仕送り体験です(!)
岡本さん、ありがとうございます。

僕の岡山に関する知識は、大変失礼ながら相当薄く、しかもそのほとんどが桃太郎電鉄仕込みのものだ。

なので、「岡山といえば」で僕がイメージできるのは、ピオーネぶどう園、白桃園、ままかり寿し屋、きびだんご屋、そして桃太郎ランドである。

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サイズ的に桃太郎ランドは入っていなさそうで一安心

ものすごい種類のフライドポテトを食べ比べていた岡本さんなので、きっと岡山のモノもかなりの数知っていらっしゃるのだろう...何が入っているのかわくわくする。

さっそくオープン!

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うおお!見たことがないものがたくさん入っている!

当然であるが、北海道で生活していれば見ることがないものばかりが入っている! ああ、 山陽地方の風を感じる…。

マスカットきびだんご

まず気になったのがこちら。

北海道にも屯田兵の携帯食が由来の「きびだんご」があるのだが、岡山の本家(?)「きびだんご」を味わうのは初だ。

超有名なマスカットときびだんごを組み合わせた、まさに「岡山入門編」といった佇まい。

さっそく岡山の門を叩いてみよう。頼もう!

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パッケージがとてもさわやか
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中にはマスカットシロップがたっぷり

マスカット果汁が練り込まれている「風味」だけのきびだんごを想像していたが、食べてみるとそれを遥かに超えてきた。もちもちの団子のなかからシロップが溢れてきて、マスカットの果汁感を感じる。

ひと粒で岡山の二大巨塔を制覇できるなんて! うれしいお菓子だ。

むらすずめ

次に気になったのはこちら。倉敷名物のお菓子とのこと。
桃鉄の記憶をたどってみると、確かに倉敷の物件にあった。これが「銘菓むらすずめ」か!

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中身は餡のつまった焼き菓子で、食べてみると優しい甘さ。生地が薄いのが特徴的で、どらやきよりも餡の食感がしっかり感じられる気がする!

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見た目がかわいい!

これは余談だが、この次の日にテレビを見ていると、大泉洋さんご一行が、岡山でむらすずめを手作りする様子がちょうど放送されていた。

喋りながら生地を焼いていたので、商品にならないほど焦げ目がついていた。このように綺麗に焼き上げるのも技がいるようだ。

バナナクリームロール

続いてはこちらのパン。岡本さんによると岡山県ではお馴染みのパンだそうだが、もちろん北海道では見たことがない。

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中身はコッペパンであるが、一度も見たことないのに懐かしいパッケージ。新鮮だ!

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見たことのないマーク! それだけでわくわくする!
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コッペパンの間にバナナクリームが挟まれている

見た目通りの素朴な味だが、クリームが「ふわしゅわ」な食感で美味しい!

バナナ味のお菓子が好きな僕にとってはクリーンヒット。
朝にこれを食べて小学校に登校したかった! 岡山の子どもたちがとてもうらやましい。

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にやけちゃってますもんね

シガーフライ

これも見たことないけれど、なんだか懐かしい!

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いかにもスーパーのお菓子コーナーにありそうないでたちだ(見たことはない)。

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袋の中にはミニサイズのビスケットがたくさん入っている

甘くて、しょっぱくて、優しい味だ。見た目だけじゃなくて、味もとても懐かしい。

食べるのを切り上げるタイミングを見失って、無限に食べてしまう。
これは褒め言葉としてとらえて欲しいのだが、近くのスーパーにあったら絶対にたまに買ってしまうやつだ。そして一気に食べるやつだ。

岡山に住む子供たちのポケットに、これがもれなく入っている(!?)というのも頷ける。

ままかりの三杯酢漬

ままかりは名前をきいたことがあっても食べたことはなく、とても気になっていた。

岡山では家庭の味だとのことだが、北海道では全く見たことがない。
「まま(飯)」を「借りる」くらいの美味しさだと言うが、どんな味の魚なんだろう...。

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おいしそう!
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あつあつご飯も用意してみた。一緒に頂いてみよう!

さっぱりした味の中に、旨味をしっかり感じる!
ご飯どんどんいけちゃいますね。お酒もあればよかった!

食べ進めるうちに、なんだか親近感のある味だなと思ったら、ままかりはニシンの仲間とのこと。ニシンは北海道でよく獲れ、よく食べられる魚だ。だからなのだろうか、この親近感!

こんどは岡山に行って、ままかり寿しにチャレンジしてみたい。

岡山県産 味付のり

続いては海苔!

北海道では味付けのりと焼き海苔の勢力は互角といったところだろうか。ご飯のお供は味付けのりで、おにぎりに巻くのは焼き海苔とTPOによって使い分けられている。

関西では味付け海苔がポピュラーなんですね。知らなかった!

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海苔から味つけの調味料まで岡山県産!

大変お恥ずかしい限りだが、岡山県が日本有数の海苔産地であるということを初めて知った。

ままかりに海苔だなんて、ご飯がどんどん進んでしまうじゃないか!岡山県!

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牡蠣醤油のうまみが効いていておいしい!
海苔ビギナーとしての感想だが、普段なんとなくで食べる味付け海苔より食感がいい気がする。ご飯なくなってしまいました!

白桃ピオーネカレー

続いては岡本さんも食べたことがないという、白桃ピオーネカレー。

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パッケージによると、白桃やピオーネだけでなく、岡山県産の食材がふんだんに入っているらしい。いわば岡山オールスターのカレーのようだ。

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鶏肉やマッシュルームなどの具材がごろっと。いただきます!
(ご飯まだあるじゃん)
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ピオーネの粒もまるまる入っている!

フルーツの香りや甘みをしっかり感じる! さすが果実王国!

「〇〇チャツネ入り」のようなカレーよりも数段フルーツの解像度を増した味わいだ。とっても深い味わいだ。しかし、甘口なのかと言われればそうではなく、しっかりとスパイスの辛さが後を引く。

ちょっと勇気が必要なパッケージだったが、大変おいしかった。ギャップ萌えである。

えびめしの素

えびめしは、その名前と噂だけ聞いたことがある。岡山県で親しまれているローカル料理とのことだが、その正体をしっかり認識したことがない。本来ならば岡山に行かなければ味わえない味。どんな味なんだろう。

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ソース味なのね
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正体はまさかチャーハン…?

いざ調理してみると、濃〜〜〜いソースの香りが広がって食欲をそそられる。調理中の香りだけでおいしい!

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できた!いただきます!

ソースの風味がストロング!かと思ったらエビや玉ねぎのうまみをしっかりと感じる!めちゃめちゃおいしい!

作っている最中からの食欲の勢いで、ペロっと完食してしまった。

きっと店によってこだわりのソースの味があるのだろう。食堂をはしごして、えびめし巡りの旅をしてみたい。将来の夢が増えた!

岡山の「懐かしさ」よ

シガーフライやバナナクリームロールの不思議な懐かしさや、ままかりに感じた親近感。ふつうに岡山を観光するだけではきっと味わえなかった感覚だろう。なんだか岡山県民のみなさんの生活にうらやましさが湧いてきた。桃鉄では積極的に岡山の物件を独占していこうと思います。

少しでも地元の雰囲気を感じようと、岡山のラジオ番組を聴きながら書いていた。この記事を書いているとき、岡山は桜の開花の話題で盛り上がっていた。北海道で桜が咲くのはまだまだ先だ。地理的には大きく距離が離れているんだなと実感する。

しかし、部屋には岡山のモノがたくさん! 岡山の温かさに包まれていて、不思議な感覚だ。

岡本さん、すてきな仕送りをありがとうございました!

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マスキングテープを傘に貼って(かわいい!)
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送っていただいたご当地タウンワーク、読んでます

次回、北海道の仕送りが京都に届く! 

はい、ここで再度案内役の編集部古賀です。

岡山のラジオ番組を聞きながら書いてくれたというジーンさん、そして北海道を絶対王者とあがめおそるおそるながらも攻守バランス最高の仕送りをしてくれた岡本さん、ありがとうございました。すっかり岡山の良さに胸がときめきましたね……。

さて、仕送りリレー、長崎、岡山と続いて北海道に上陸しましたが、続いて北海度の品をジーンさんから受け取るのは、京都のこーだいさんです。

岡本さんの言葉を借りるなら北海道と京都は両者が絶対王者という座組。スリリングな展開に期待が膨らみますな……。

次回仕送りリレーもどうぞお楽しみに……どきどき!

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