未知の土地のスーパーのわくわく感を届ける!
というわけで、編集部の古賀です。
今回はおおむね3000円くらいの予算で宅急便の引っ越しダンボールより少し小さめの箱にあれこれを詰めて送るルール。
東京から長崎に送るのだから、親になり替わり地元の仕送りを送るというよりは、旅行で未知の土地のスーパーに行ったときのわくわく感、「え、なにこれ?」を体験してもらいたいものです。
山本さんは確か長崎で生まれた後、福岡など九州で暮らし、そして今また長崎在住だったはず。「なにこれ!? これは九州にはないな~」というものを選ばねば。
チョイスしたが、こちら。
九州住みのみなさんが見たら、えっ、これじゃ驚かないでしょう?! というものも詰まっていると思うんですが、どうか説明を聞いてくだされ。
全12品と、オマケとして東京からだから、東京新聞!(東京新聞は愛知県の中日新聞系列の新聞なんですがそこは名前優先でどうか)
(1)亀屋万年堂 ナボナ
個人的に遠地の方へお送りするお菓子として絶大な信頼を寄せているのがナボナ。いわゆる「ブッセ」です。
これ~! レギュラーのフレーバーがパイナップルとチーズの2種というのが意外じゃないですか? ちなみに右は自由が丘の総本店のみで売られる「プレミアムナボナ」。いにしえより最上級の信愛のしるしに贈られるといわれています
絶対的においしいうえに、本店を自由が丘というおしゃれシティに構えるわりにポッシュさがなくいい塩梅で庶民的なのが推しポイント。
難しいこだわりもなく絶対に美味い、これは山本さんも喜んでくれるであろう。
と、思ってサイトを調べたら全国的にイオンで取り扱いがあることがわかり震えてます。長崎でも売っている……まじか……。
使命感にかられ総本店へ行って手配しました
(2)あんずボー
ナボナだけは気持ち強く買ったのですが、あとの11品はもはや勘。
あんずボー、どうでしょうか。これ、夏場に凍らせたやつが家の冷凍庫にはいっていて子どもの頃おやつによく食べてました。
細長いビニールにあんず入りのシロップが小分けになって入ってます。口を切って一口羊羹みたいに押して食べる。パッケージもずっと変わってないんじゃないかな
この手の駄菓子系はローカル色が強めに出がちらしく、あんずボーは浅草で作っているときいてチョイス!
(3)ホッピー
ホッピーのメーカーが港区の赤坂にあるのは有名な話ですが、製造も東京都内(調布市)なんですよね。
東京では居酒屋でみんな飲んでるイメージも、全国的には飲む習慣がないと聞いたことがあるぞ。
基本的には焼酎の割り材。焼酎を「なか」、ホッピーを「そと」と言いがち
(4)甘食
コンビニの菓子パンにもあるくらいなのでこれはわざわざ送ることもないか……と思いつつ、インターネットに甘食は東日本の文化と書いてありました!
普通に山パンが作ってるし全国にあるのかな……
(5)超熟
愛知県名古屋市の雄、敷島製パンの商品は九州で売られていない! と聞いたことがあって、ちょっとまってじゃあ山本さん超熟食べたことないかな!? とぶち込みました。
が、荷物を発送したあとで2019年夏から2020年春にかけて九州全域に販売エリアが拡大したというニュースリリースを見つけてしまった……。
つまりわざわざ普通の食パン送った恰好!(6枚切りのやつが3枚入った小袋)
(6)ウスター ブルドック中濃ソース
東日本で気をはくブルドックソース、中部や西日本ではそうでもないって聞いたんです。
重ねて東日本で普通に使う中濃は西日本ではあまり使わないという情報も。
最近見かけるようになった「まわすだけキャップ」がまた優秀なんですわ
(7)バリュープラス さんま蒲焼缶詰
さんまの蒲焼自体はおなじみかなと思いつつ、知らないプライベートブランド枠でバリュープラスの商品を。これは八社会といわれる私鉄系のスーパーが集まってやっている、個人的には「電車PB」として認識してます。
双葉のマークがバリュープラスの証
(8)どん兵衛
東日本と西日本でどん兵衛の味が違うというのは有名ですが、実際食べ比べたことってそんなになくないですか? 静岡工場の東日本味を送りました。
ここまでは普通
見てほしいのはここ!
(9)日本橋榮太郎 おしるこ
東京の社長の机の上には榮太郎の飴がおいてありがちです(高級品)。
スーパーで買える(やや)高級品
(12)ハナマサのエスニックのレトルト
肉のハナマサは東京住みには超おなじみの業務用大量を安く買える系スーパーなんですが、調べたら東京神奈川千葉埼玉にしかないですかね? エスニック系のレトルトがうまいので食べてほしい!
ひとり分ではなく、2~3人分のパウチ
(11)ごはんですよ
桃屋は全国的なメーカーかなとは思うんですが、西日本のスーパーに行くと海苔の佃煮は兵庫のブンセンが作っている「アラ!」の方がメジャーじゃないですか。
なので、小瓶で隙間に入るし念のため入れておきますね。
どっちみちあったらあったで困らない品だし!
(12)月島もんじゃ焼
念には念を入れて分かりやすいお土産的な要員を!
私は買ったことない、というところまで含めてのお土産っぽさ
以上12点。山本さん、喜んでくれるかな。送りま~す。
解説を貼りつけつつ送る……。届けこの「これ知ってる?」の思い……!1
東京から仕送りがくる
はい!日本の西の端っこ、佐世保在住ライターの山本千尋です。
長崎県佐世保市です。
東京の古賀さんからの仕送りが届きましたよ!
ビデオレター風にお届けします。
まさか佐世保に生きてて東京から仕送りをしてもらえる日がくるとは思いもしませんでした。さっそく開けてみたいと思います。
わあ!!仕送りだ~~~!!!
なんでしょう、この懐かしい感じ。一人暮らしをしていた頃を思い出します(たぶん10年ほど前になります)。そうそうこれこれ、柔らかいものが一番上にくるから、必然的にパンがまっさきに目に飛び込んでくるんですよね。
これまた手書きのメモが一人暮らしの寂しさを癒してくれるようで嬉しかったりします。いや、今は違うから、これは一人暮らしの寂しさが復活する?そして癒される?んん?
なんとも不思議な感覚です。
それにしてもこのご時世だとじんわりクるものがあるな。
さて、寒いので家の中に入ろうと思います。
箱の中身を1つずつ吟味しながら出していく作業が楽しい。初めはパンなどの軽いものから。パン好きなので嬉しいです。・・はっ、これは!
(1)亀屋万年堂 ナボナ
「ナボナ」。なんだこれ。
古賀さんのメモから中身がブッセと知るや否や手が勝手に封を開けてしまいました。ブッセに目が無いんです。スーパーにあるような箱入りのレアチーズ味だったり、チルドコーナーにある単品売りのやつをむんずと掴んでカゴに放り込む性癖の持ち主です。
見てくださいこのふっくら感!バタークリームの中にチーズが見えてる。画像右奥の古賀さんのメモが愛情たっぷりにほほえんでいるように見える(気のせい)。
鼻息荒く実食。濃厚なバタークリームがふわふわブッセと絡んで至福のひととき。これ、自由が丘のひとたちは毎日食べてるわけですよね?うらやましくないですか。
冷静になって、レギュラーのほうは時間を置いてから食べました。こちらは台座ナシでした。パイナップルって、季節限定味とかじゃなくて通年でパイナップルなんだな。めずらしいな。
レギュラーのパイン味のほうも、ドライなパインの果肉がバタークリームとなめらかに溶け合ってもうこの世の至福でした。座布団で例えるなら、普通のウレタン座布団がレギュラーで、お盆のときにお坊さんにお出しする圧縮綿が入ったやつがプレミアムです。しかし正直なところ食べる順番を間違えてしまった感は否めません。また食べたいなあ。お取り寄せしようかなあ。
(2)あんずボー
初見のあんずボー。江戸っ子たちはみなこれをすすっているとのこと。フルーツ系の駄菓子って珍しい気がしますがいかがでしょう。
厚めのパッケージと、太めの線でプリっと描かれたイラストのマッチ具合がすてき。昔の特撮映画のロゴみたいな躍動感の「あんずボー」のフォントも良いです。ミナツネ怪獣あんずボー。わたしが不器用なのかパッケージは手で開けられなかったので、子どもたち大変だなと思いましたが、これ駄菓子屋の店先には単品で並んでいるんですよねたぶん。
左が通常、右が凍らせたバージョン
うまく開けられずこぼしつつオットトと吸い込みました。いや、これはシロップとあんずをうまく二列に並ばせてご案内しないと、あんずだけが袋の中に置き去りになるやつだ。
指を巧みに動かしてあんずをご案内する。
なにこれ、うっっっっっっっま!!!!!!!(凍らせバージョンも同様)
さっきから語彙力が皆無です。ちいさな甘酸っぱさにここまで翻弄されるとは。美味い。一瞬小さな中井貴一がよぎりましたが、ドライフルーツ好きならたぶん声をあげて喜ぶやつでは。
パッケージ裏に書かれていた情報によると、ドリンクとして味わっても良いとのなので、夫にいいちこ+炭酸水で味わってもらいました。が、「ちょっと甘いけどうすい」とのことで、わたしが食べ過ぎてしまったせいですねごめんなさい。
「楽しい召し上がり方」のおすすめは2本でした。
(3)ホッピー
緩衝材に包まれた瓶、というのはテンションがあがるものです。ホッピーだ!こどもびぃるじゃなくて、ホッピーだ!
ずしり!誰か、栓抜きを持てい!
ザ・東京文化というイメージが強いホッピー。とはいえ飲んだことはあって、初めて味わったのは福岡の居酒屋か、地元にある全国チェーンしている居酒屋か。
いずれにせよ、「ホッピーはこどもびぃるではない」と教えてもらったのはその時でした。
ナカとソトという聞きなれないワードや独特な注文形式も、知らない土地のやつだ~!ってワクワクした思い出がありますね。
わたしは炭酸水でいただきました。
20代のころは「ホッピーはまずい!」と言ってる人がいたりしたものです。が、出産を経てすっかりノンアルビールに慣れてホップと仲良しになっている今のわたしにとっては美味しいものでした。愛すべきビールもどきに乾杯!
(5)超熟 &(11)ごはんですよ
古賀さんが震えていらっしゃった通り、Pascoの超熟は地元スーパーでもメジャーな商品になっています……。しっとり感と、トーストしたときの軽い口当たりとサクッとした食感が気に入っています。
また、桃屋の「ごはんですよ!」は白ご飯が常にある環境であれば冷蔵庫に1つはストックしておきたいご飯のおとも。
実は、ブンセンの「アラ!」のほうが馴染みが薄かったりします。近所のスーパーにはありませんでした……!
あら?こんなところに冷凍ネギとチーズが。
そんなわけで、全部組み合わせてトースターでこんがり焼いてみました。パンゆえか、「ごはんですよ!?」と言われているように感じます。のりの風味とあまじょっぱさ、チーズのふくよかさと酸味がマッチしてたまらんです。
(6)ウスター ブルドッグ中濃ソース
イカリマークで育ってきたわたしにとって、ブルドッグは黒船でした。
そもそも中濃という言葉もクックパッドで知ったぐらいですしスマホの予測変換も「中脳」しか出てこないので、本当に馴染みがありません。関東では各ご家庭に1本あるんですよね。
そんなわけで、手っ取り早く我が家のイカリ君と比較してみることに。キャップが簡単に開けられて、手の力加減で中身を出せるのが有能すぎるな。
改めて比べてみるとウスターソースはスパイシーで中濃ソースは甘い!甘い醤油の国で育ってきたので、逆に新鮮でした。
揚げたてハッシュドポテトがいたのでつけて食べました。甘くてほどよい酸味がうまい。
(7)バリュープラス さんま蒲焼缶詰
本当だ、この双葉のマーク、見たことない! 八社会ならぬバス社会(?)である佐世保では、当然なじみがない私鉄系スーパー。なんだか響きが「四天王」のようにも聞こえ、おぉ…と缶をためつすがめつしておりました。
ちなみに近所のスーパーでのラインナップはこちらでした。マルハニチロのメジャーっぷりよ。
そんなわけで、シンプルでおすましな缶詰の中でたぷたぷになっている蒲焼の汁をふんだんに味わってやろうと、アツアツのご飯を準備したわけです。ごはんですよ!が泣いている!
豊かなご飯の時間となりました。がつがつと平らげました。さんまの脂と蒲焼のタレはご飯にもちろん合う。山椒の効いた七味が欲しかった。
(8)どん兵衛
東と西で味が違うという有名な話をようやく経験できる日がくるとは!感無量!
さっそく夫にスーパーで買ってきてもらいました。
関西工場製造です。
ロゴの左上に小さく(W)と(E)が。並べて見る日がくるとは~!
薬味も違うんだ!山椒香るのが西で、唐辛子ぴりりが東ですね。
家族で食べ比べです。こんなにアグレッシブに家族でインスタント麺を食べるなんてあまりなかったように思います。
やはり!東のはスープの色が濃くて、かつおだしの効いた醤油感のあるつゆだというのは本当だった!同じ商品で地域色をちゃんと出すってさすがだな。
夫が好き放題に比べた感想を書いていました。
(9)日本橋榮太郎 おしるこ
段ボールの底に鎮座していた日本橋榮太郎のおしるこ。堂々たるたたずまいに思わず会釈をしてしまいました。
パッケージには「御膳こし」の文字。食事を敬う御膳のこしあんですよ。
仕送りあるあるなのかはわかりませんが、必然的に重いものが底にくるので、荷物確認の最後らへんで日持ちするやつが出てきます。一人暮らしの家に来てくれた母親がもう少しステイしてくれるような心強さを感じます。しかしこれは、心強さというより、おもてなしを受けているかのような。
焼いたお餅を入れていただきました。
1月も後半。2021年のスタートも良い感じに切れたよね…と思い返して一息。なめらかすぎる御膳こしはするすると絹のように喉を通り過ぎていきました。
同梱されていた東京新聞を広げてゆったりとする。ローカルな話題がやはりおもしろい。西も東も鬼滅の刃ネタだ。
(10)ハナマサのエスニックのレトルト
ハナマサは、夫が昔近所に住んでいたそうで知っていました。
でもこれは初見!ワーイ!!大好きなトムヤムクンだ!!うれしい!しかも鶏肉版のトムヤムガイではないですか。わー、右往左往。
かつて肉のハナマサのそばに住んでいた夫は、冷蔵庫を置かずに済んだと話していました。
温めるとキッチンがエスニック料理店のそれになりました。ココナッツ強めのトムヤムクンの香り、レモングラスもばっちり、最高すぎてよだれが出そうでした。レーダーチャート化するなら綺麗な正多角形を描いていたでしょう。具材もたっぷりで満足!
本当はきしめんを入れて食べたかったのですがスーパーになく断念。きのこをたっぷり入れて最後の一滴までぐびぐび飲み干しました。
ごちそうさまでした。あれ?2~3人前?
(12)月島もんじゃ焼き
初めにお詫び申し上げます。土手が決壊しました。
「おおー、これが下町の!」
ほんとうか!?キャベツがあればすぐできるのか!?
人生初のもんじゃは緊張の連続でした。
ドラマ「まだ結婚できない男」で阿部寛がレクチャーしながらものすごい手さばきで焼いていて「これがもんじゃ焼きか……」と見た覚えがあり必死に思い出そうとしましたがダメでした。
穴が開くほど読み込みます。まず、キャベツの切り方が5cmの長さで5mm幅、という細かさに震えました。
怖くてちゃんと測りました。
おこげができたらできあがりの言葉信じて
なんとかおこげがつきました!ヘラがなくスプーンで。
ソースの入ったサラサラの生地がおこげとあいまってカリカリもちもちになっていく過程はとても楽しかったです。
やー、たらふく食べました!東京満喫しました!
古賀さん、旅行先のスーパーに行ったかのような良い非日常感とやさしさをありがとうございました!
東京物語に思いを馳せます・・。
次回、長崎の仕送りが、岡山へ届く!
はいっ。東京のスタジオから、再度古賀です。
超熟もごはんですよもおなじみでしたね……! ホッピーもさすがに飲んだことあったか……。
でも山本さんが元気いっぱい全品食べてくれたので母の気持ちで私は完全な笑顔になりました。こんどまたナボナ送るね!
さてこの企画「リレー」と付いているからには次に続きます。
山本さんが長崎で買った食材をつめたダンボールを、続いては岡山在住の岡本智博さん(オカモトラボさん)へ送ります。
山本さんは何を送るのか。そこに岡本さんにとってのワンダーはあるのか。ご期待くださーい!