台湾ラーメンなのに名古屋名物
名古屋でラーメンというとまず台湾ラーメンの「味仙」が思い浮かぶ。あと「スガキヤ」。
愛知で生まれ育った僕は、子ども時代はもっぱらスガキヤ、大人になってからは味仙によく行った。というのは嘘で、実は大人になってからもスガキヤはよく行っている。
スガキヤと味仙は白と赤、マイルドとワイルド、いわば対局にあるラーメンなのだけれど、どちらも極端で好きなのだ。
僕はチャーハン部という組織に所属しているので(参考①、②、③)、外食する際はできるだけチャーハンを食べるようにしている。
久しぶりに愛知に帰ったので台湾ラーメンを食べようと味仙に並んだのだけれど、考えてみたらここは中華料理屋である。チャーハンがあるんではないか。
正直なところ味仙で台湾ラーメン以外を食べたことがなかった。辛すぎて汗だくで出てきた記憶しかない。
これから新幹線に乗って帰るのだけれど、まだみんなマスクしてるから大丈夫だろうと「ニンニクチャーハン」を注文した。
届いた瞬間からただ事ではない香りがテーブルを占拠した。台湾ラーメンのむせそうなうま辛い香りと、ニンニクチャーハンの香ばしいニンニク臭。目を閉じると雲の切れ間からナナちゃん人形が「どうぞ召し上がれ」と言っている。
ラーメンが熱いのでチャーハンからいただく。
うむ。
これ、食べる前からわかっていたことなのだけどさ
ニンニクチャーハン、ニンニクの香り
当たり前のことを言うので覚悟してもらいたいが、ニンニクチャーハンはニンニクの香りとうま味がすごかった。
チャーハンはパラパラではなく、しっとり系。米粒のひとつひとつを美味いニンニクオイルが包んでいる。目視できる茶色いのはやはり揚ったニンニクで、チャーハンが胃に落ちた後も奥歯にひっついて残った。滋養!少々の体調不良なら治ると思う。
ひと驚きしたところで台湾ラーメンに手を伸ばす。
説明が遅くなってしまったが、ここ「味仙」の台湾ラーメンというのは台湾のラーメンではなく、名古屋で生まれた「台湾ラーメン」というオリジナルの食べ物なのである。
鶏ガラスープのラーメンに辛いひき肉とニラがどさっと乗っていてとにかく辛い。たぶん台湾にこういったラーメンはない。
台湾ラーメンは湯気まで辛いので、麺をすすろうとすると100%の確かさでむせる。僕は何度食べてもいまだにむせる。
話はニンニクチャーハンに戻って、味仙では台湾ラーメンを注文した人が辛さで汗びっしょりになって帰っていくのだけれど、今回僕は発見してしまったのだ。
台湾ラーメンを食べて口の中が火祭りになっているところにニンニクチャーハンをほうりこむ。するとどうだろう、ジューシーなニンニク油がじんわりと辛さを軽減してくれるのだ。
このやり方のおかげで台湾ラーメンをいつも以上にじっくり味わうことができた。
サウナが好きな人がサウナと水風呂とを交互に楽しむというだろう。それとまったく同じである。まったく同じ。こういう根拠のない発言は言い切るようにしている。
というわけで、味仙のニンニクチャーハンは激辛の台湾ラーメンと一緒に食べると最高に美味いし辛さ的にもちょうどいい、ということがわかった。
台湾ラーメン食べたいけど辛すぎてわたし怖いわ、という人におすすめです。