来年もやりきるぞい!
というわけで編集部安藤が選んだ今年のおすすめ記事を紹介しました。
ここで選んだ記事に共通して言えることは、ライターがやりたいことをやりきっている、ということだと思います。疑問を持たずにやりきること、これを来年の目標にしていきたいです。
2023年に公開された記事の中から、編集部安藤が「これだけは読んでほしい!ぜったい面白いから!」と力をこめて推したい記事を紹介します。
2023年に公開された記事の中から、編集部安藤が特に好きだった記事をもう一度読み直しながら、編集部林さん、古賀さんにもおすすめしてみました。
読み逃していた人はラッキー!すぐに読んでみてください。ぜったい面白いから。
安藤:
僕はそもそもでかいものが出てくる記事が好きなんです。そういう意味でも、最近のこの玉置さんのマンタを買って来て食べる記事は最高でした。
安藤:
でかさとか迫力とかを言葉で表現するのって難しいと思うんですが、玉置さんのこの「プロレスラーに通せんぼされている気分」っていうのが写真を完全に説明しています。
あとこのマンタ、入荷したって聞いて、まだお店にあるか確認の電話を入れているんですが、それで売約済みってことになってるんです。買ったことになってる。
安藤:
あと玉置さんの記事には特殊能力というか、すごい技を持った人たちが次々と登場することがあって、この「ヒーローたちが力を合わせて解決!」みたいなアベンジャーズ的展開も好きなんです。
林:
玉置さんの人脈はほんとすごいですよね。
古賀:
ほんとそう、いいところにいい人脈を持ってるんですよ。普段は無口なんだけど、きっと人が好きなんでしょうね。
安藤:
でも好きなだけじゃあヒーローたちは集まってこないですよね。そういう能力も本当にうらやましいです。
安藤:
次も玉置さんです。岡山の四つ手網という漁を体験する記事なんだけど、これが本当によかった。
安藤:
互いに初対面の大人が七人集まって泊りがけの漁に行くんですが、最初の距離感がたまらない。
古賀:
これはいいよねー。写真がたまらん。
安藤:
そうなんです、この中途半端な遠慮というか距離感が出てますよね。でも泊りがけで網を上げて捕れた魚を食べていくうち、徐々にこの距離が縮まっていくんです。
安藤:
さっきの話と重なるんですが、やっぱり玉置さんは人が好きなんだろうなと。
あと、この日の夜中にやることがなくなって、地図アプリで見つけた自販機までみんなで歩いていくんです。ただそれだけの描写なんだけど、ここの空気感がたまらなくよかった。
林:
これ、おれだったら書かないかもしれないなー。その自販機に変わったジュースが売ってた、とかでない限り削っちゃう。
安藤:
ふつう書かないですよね。でもこの部分があることで、みんながすでに結束してるというか、仲良くなったんだなっていうのが分かる気がするんです。
古賀:
玉置さんはロマンの人なんだよね。やってることも食べてるものも、人との関わりも、ぜんぶロマン。
安藤:
あと今年に限ったことじゃないんですが、僕は伊藤さんの記事が好きでして。中でも今年はこのヤギの記事がよかった。
安藤:
伊藤さんっていくつかのジャンルで常に写真を撮りだめていて、ある程度たまったものからキャプションつけて記事にしてるんですよね。それが今回はヤギなんだけど、ヤギに勝手にストーリーを見出してキャプション書いてて、それがいちいちおかしくて。
安藤:
伊藤さんが少年時代、ヤンキーにおびえて暮らしていたっていう、どうでもいい話のあとにブライアンセッツァー似のヤギが出てくるんです。
安藤:
伊藤さんの言っている「グレッチのような声」というのはブライアンセッツァーのギターの名前ですね。
安藤:
このほかにもヤギに本当にいい加減なことしゃべらせてるので全部読んでほしい。
安藤:
大北くんのこの記事は、食べ比べの記事なんだけど、なぜか衣装から入ってるんです。
安藤:
そんな食べ比べ見たことないですよ。大北くんは人に、とくに僕とか藤原くんにバカなことさせる達人なんですが、この記事でも僕と大北くんがスカッとバカで笑えます。
安藤:
こういうバカな記事を徹底的にバカバカしく書くのが大北くんの手腕なんです。
安藤:
江ノ島くんが夏休みに恐山に行ってきたと言っていて。でも単に旅行で行ったから記事にはしませんって言うので、ダメだ、そういうのこそ記事にした方がいい、と。
安藤:
無理にお願いしたもんだから、面白かったところのベスト3にマウンテンデューが入ってくるんです。
安藤:
それから見てほしいんですが、「うめえ」とキャプションのある写真がこれなんです。
安藤:
西村さんも美味い時にこういう顔しますが、もしかしたらこれこそがリアルなのかと。
林:
確かに一人で美味いもの食べたらこういう顔するかも。
安藤:
そうなんですよね。書くつもりのなかった記事だからこそのリアルがありました。あとこの写真なんですが、中心がカバンです。
安藤:
すべてにおいてリアルでした。計画性がみじんも見られない、その代わり写真にもテキストにも生放送みたいな勢いがありました。
安藤:
とりもちうずらさんの化けわらじシリーズですが、僕はこの記事がとにかく好きでして。
安藤:
読んでいて泣きそうになるんですよね。
古賀:
わかる。これは泣けるよね。
安藤:
とりもちさんも少年も、特に泣かせようと思ってやっているわけではなく、言ったこと、やったことをそのまま書いてあるんですが、それがまた品のいい映画みたいでいいんです。
安藤:少年との距離が縮まっていき、妖怪と少年とが友だちになっていく様子が淡々と書かれています。
林:
とりもちさんって悪口とか苦労した部分とかはほとんど書かないんですよね。
安藤:
そうなんです。途中で雨が降ってきて、ずぶぬれになって帰るんですが、化けわらじ、そのまま一人でホテルに戻ってるんです。普通に考えたらおかしいじゃないですか、ずぶ濡れのまま、しかも化けわらじのままホテルに帰るの。
古賀:
たしかに。準備も片付けもなく化けわらじとして出てきて化けわらじで帰ってるんだ。
安藤:
そういう苦労とか裏舞台についていっさい触れていないんです。僕なら半ページくらい書いちゃうけど。
とにかくこの記事は全部の写真がいいので何度も見てください。
安藤:
爲房さんのベスト3記事も推させてください。ちょっとこれは今までにない記事だったと思います。
安藤:
爲房さんの推してる曲を僕は一つも知らないんですが、それでもすごい好きなんだろうなっていうのがテキストから伝わるから嬉しくなっちゃうんです。
安藤:
なにしろ一位が「ぱっぷんぷう」ですからね。なんだそれは。
安藤:
最初から最後まで前のめり、まとめまでずっと早口なんです。まとめの最後が「対戦ありがとうございました」っていうのもわからない。酔った爲房さんと朝まで語り尽くしたみたいな清清しい読後感がありました。
安藤:
地主くんの記事ですが、人が成長するためには高めに設定したハードルを飛び越えなくてはいけない、という説教みたいなところから始まる記事なんです。
安藤:
自己啓発本みたいなテンションで始まるんですが、次のカットでハードルを作り始めます。
古賀:陸上競技で飛ぶ方のハードルだった。
安藤:
しかもこのハードルの出来がいいのも腹立つんです。
安藤:
このよくできたハードルを持ってそこらじゅうで飛んでいるんですが、写真がぜんぶキメキメです。
安藤:
そうか、やっぱり自ら設定したハードルを越えていく人は違うな、と納得しそうになるんですが、締めの文章がもたもたしてるんです。
安藤:
あんなにハードルを飛び越えてきたはずなのにどうしてこんなに文章がたどたどしいのか。それも含めての地主くんらしい記事でした。
安藤:
最後はつりばんど岡村さんのこちら。
林:
これか~。
安藤:
岡村さんって写真写りも良くて、僕は最近、岡村さんってかっこいいんじゃないかって思って読んでるんです。
古賀:
冗談顔ではなく?
安藤:
ではなくです。
安藤:
やってることは冗談なんだけど、やりきることでかっこよく見えてくるんです。ゴルフをしている岡村さんを見る親子の反応も神がかっていました。
安藤:
やっぱりかっこいいな岡村さん。
というわけで編集部安藤が選んだ今年のおすすめ記事を紹介しました。
ここで選んだ記事に共通して言えることは、ライターがやりたいことをやりきっている、ということだと思います。疑問を持たずにやりきること、これを来年の目標にしていきたいです。
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