特集 2023年11月14日

あなたの食を一新させる『江戸時代食べ』

今日からできる新しい食体験、江戸時代食べとはなにか

おせんべいのよさがわからない。ある日立派なおせんべいを頂いたのでなんとか美味しく食べられないかと考え、せめて新鮮な気持ちで食べることにした。江戸時代の人になったつもりで食べたのである。

みるみるおせんべいのよさが分かった。これはすぐにでもできてあなたの食を一変させる食べ方かもしれない。

2006年より参加。興味対象がユーモアにあり動画を作ったり明日のアーという舞台を作ったり。

前の記事:ギロチンを手作りする

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

江戸の気持ちは万人に通用するのか?

ある日偶然発見した「江戸時代の人になった気持ちで食べるとなんでも美味い」という江戸時代食べメソッド。 

これが他の人でも有効なのか、担当編集の安藤さんと試食会を開くことにした。見た目の気分を高めるために着物っぽい衣装をつけるが、基本的には各々が脳内で行うものである。

P1400864.jpg
江戸時代っぽい衣装をつけてもらうが、基本的には脳内で行う
大北:
まずはおせんべいです。僕はおせんべいの美味しさがわからなかった。悪い食べ物ではない。でもまあ、せんべいだなというかシンプルじゃないですか。お腹空いてたら食うけど、くらいの。
煎餅
スーパーで買ってきた醤油せんべい
大北:
ちょっと、意識せずに食べましょうか。
(いつもどおりおせんべい食べる)
安藤:
ま、こんなもんですよ。
大北:
ま、こんなもんですよね。この世の中にある結構な食べ物の数は「ま、こんなもんですよ」だと思うんですよ。
安藤:
無意識だよね。意識してない。もう1時間後には忘れてますね。
大北:
これをちょっと江戸時代になった気持ちで食べてみてください。
安藤:
どうやって?
大北:
これはほんとにもう自分がそうだとただ信じるしかないんですけど。
安藤:
……トレーニングいるよね。
大北:
例えば江戸時代の我々が今日の昼食べたものとか思い浮かべたらどうですかね。玄米が7で白米が3のご飯の冷えたやつ。あっためるものがないから。
安藤:
あとたくあんだ。
大北:
あとナッパ茹でたのに味噌つけて。煮干しをちょっとかじって、あ、魚おいしいなってなった。
安藤:
畑やってきたからね。結構しんどかったけど。
大北:
マインドが仕上がってきましたね。さてこれは庄屋さんが町へ行ってきたっていうので、お煎餅をお土産にくれました。
安藤:
おせんべいとは…??
おせんべいとはなんだ…!? マインドが仕上がりすぎて食までたどり着かない
大北:
あ、仕上がりすぎて話が進みませんね(笑)。安藤さん知りませんでしたか。

わかったこと→入り込みすぎると食べるまで時間がかかる

安藤:
いいらしいと聞いたことはあるけど……。
大北:
それがね、これなんです。
安藤:
ええ!?
大北:
はい1回止めます。食べるのが遅いから。
安藤:
これ本当にその気になんなきゃダメだね。
大北:
一人で頭の中でやるんですよ、慣れたらいけます。はい、再開。
改めて。1回江戸マインドができるようになるとすぐ入れます
安藤:
これか。ふ、蓋みたいだね。
大北:
蓋(笑)お米なんですって。お米でできてて、醤油が塗られてるという。
安藤:
潰して焼いたってことか。あ、軽い!
大北:
生米ぐらい軽い!
安藤:
これ、水で戻したりしなくていいの!?
大北:
いつまで経っても食べられないので、食べてみましょうか。
(口に入れる)
何これ…!? 空気が入ってる!?
安藤:
うん…硬い。硬い食べ物って食べたことない。木の皮? 噛んだ感じは木の皮でしょ。
大北:
うわあああ!
安藤:
香ばしいというか、醤油の味だね。すごい。
大北:
……これ、空気食べてるみたいじゃないですか!?
安藤:
ほんとに米なのかこれは!? ねばねばしないんだね、焼くと。
大北:
変すぎますね! あ、でもなんかみるみるハマっていくっていうか。
安藤:
こういう木あるよね!?
大北:
……バルサ材のことですかね?
安藤:
そうそう! 美味しいけど不思議だね。これがおせんべい!? でも、ちょっと続くね。癖になるね。

→おせんべいが新鮮な気持ちで食べられる 

大北:
いや、そう、沼にハマりますね。空気を食べてるみたいだし食べたことないけど、どんどん行ってみようみたいな。
大北:
口の中にゴロゴロゴロって、なんかこう、岩みたいな。
安藤:
痛いよね。
大北:
なんか痛い、痛い、痛いです。
安藤:
この食べ物は何がしたいの? これはご飯なのか、どういうタイミングでどんだけ食べているのかも全然わかんないね。
大北:
全然わかんない?
安藤:
全然わかんない。
大北:
全然わかんなくなっちゃった(笑)

→新鮮すぎて意味がわからなくなることもある

大北:
はい、ここまで。1回区切りますね。これをやるとおいしさが全然違うなと。
安藤:
意識して食べるようになった。
大北:
じゃこれ今二人で喋りながらでしたけど、黙って一人で食べてる感じで改めて食べてみましょうか。
(普通に食べる)
喋りながら盛り上がった可能性があるので、一人で黙って食べる。
安藤:
うん。ふつう。なんにも意識がないね。
大北:
じゃ黙って江戸時代で食べてみてください。
(江戸時代で食べる)
大北:
現実マインドで食べるよりも、江戸マインドで食べた方が急激に食べ物としての魅力は上がらないですか?
安藤:
わかるわかる。結構イマジネーションがいるけど、でも確かに食べた感触が全く違うものになると思います。

→江戸時代食べは他の人にも通用する

大北:
訓練をすると一瞬であちら側の世界に行ける可能性はありますよね。
安藤:
催眠術みたいなもんだよね。指をパッチンってやったら江戸になる。
大北:
僕はせんべい食べる時一口目に「うわっ! なにこれ!」て思いながら食べることにしました。最初に無理やり江戸時代のう驚きから入る。
安藤:
1回そこにすりこんでおけばなるのかもしれない。僕は初めてあちら側に行きましたから。
大北:
ファーストダイブですね。いろんなものに有効なのかどうかっていうのを今日は試してみたいなと。はい次
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金時豆煮物
甘く煮た豆のよさも我々はわかってない。チョコとかすぐ買えるし…
大北:
我々があんまりピンと来なかった食べ物ということで。金時豆です。
安藤:
お母さんがお弁当に入れる謎の豆でしょ。これ売ってんだ。これを江戸で食べる。
大北:
当時は甘いものないですからね。
安藤:
砂糖は高級品だからね。
大北:
干し柿とかね。さあ食べてみましょう。
とにかく甘いことに驚く
大北:
あんまあ! 甘い!
安藤:
柔らかいね!
大北:
豆に煮るだけでこんなふっくらしないでしょ。ほこほこほこって。
安藤:
芋みたいだね。あ、これは甘いな。柿よりも甘いんじゃない。
大北:
舌にのせただけで甘いんですから。
安藤:
いや、これやばいね……
大北:
これはおいしい……
安藤:
こんなことしていいんですか!? 我々庶民がこんなことしていいの!?

→江戸時代食べなら煮豆に背徳感を味わえるほどに

大北:
(笑)背徳の味ですよこれ。
安藤:
こんななことしたらダメでしょ……
大北:
和尚さんの水飴を舐めてる味だ。
安藤:
ちょっとこれは人に言えない味だね。
大北:
人を殺したような味。
安藤:
これ食べれるんだったら殺せるね。
大北:
もう1回この味を味わいたいなら、あいつを殺してこいって言われる、アサシン軍団の味
安藤:
娘を売るかもしれないね。
大北:
世の中にはもうこれ以上のものない。
金時豆がアサシン軍団の麻薬みたいな扱いになってきた
安藤:
こんな柔らかくて甘いものを食べていけないでしょ。堕落ですよ。
大北:
これは仏様の食べるもんですね。
安藤:
そうだね。これはダメになるぞ。人間。これは
大北:
じゃ、次に行くということで。はい。
安藤:
今はけっこう素直に入った気がするな。
大北:
だんだん慣れてきてるんだ。
安藤:
これ慣れてきちゃったらさ、二度と令和に帰ってこれなくなるんじゃないの?

→江戸時代食べ2回目以降はすんなり入れる

ロースハム
江戸時代食べは洋風のものにも通用するのだろうか?
大北:
これは江戸時代メソッドが効くか不明な洋風なもの。個人的に美味しさがいまいちわからないものとしてロースハムがあるんです。
安藤:
いつも思うんだけど、こんな形の豚いないよね。
大北:
サンドイッチとか好きですけど、なんか単体で食べておいしいものとはあんまり思えず。
安藤:
江戸に入ってると、それが…
江戸時代の人はハムをまず嗅ぐと思います
安藤:
薄いね、これ。薄いね、これ、たくあんより薄い。
大北:
でも、綺麗な工芸品のような
安藤:
すごい丸さだねこれ。
大北:
丸さ(笑)。嗅いだことない獣の匂いがしますよ。
安藤:
あ、これは傷んでるね。ダメだ。
大北:
ダメだった(笑)いけるらしいですから、いきましょう。
安藤:
匂いがまずない。獣臭い。獣というかなんかイッてる匂いする。でもたくあんもこういう匂いか。まあ、そも
大北:
漬かった匂いです。あ、煙のような匂いがしますよ。
安藤:
肉の漬物か~
江戸時代気分になると匂いの嫌悪感まで再現されてしまうことが分かった
大北:
うんうん、あー、やわらか
安藤:
いや、これ生でしょ。じゃあダメだ
大北:
生でもなんかあらがいがたい旨味が溢れてる…
安藤:
これゾクゾクするわ。
大北:
ダメですね(笑)ぼくは危険だとわかっても口が旨味に負けて飲み込んでしまう…
安藤:
食感でちょっとダメかもしんないお腹壊すやつだよこれ

→入り込みすぎると食の安全性がゆらいでくる

大北:
大丈夫ですよ! 入り込みすぎてますね(笑)
大北:
炭で焼いたような匂いがするじゃないですか。
安藤:
あー確かにね。あ、確かにうまいと言えばうまいのか。
大北:
でも基本的に一番怖いのは安全性ですよね。
安藤:
生で漬物みたいな腐った匂いがする肉を食べるのはやだな。そっちが先行しちゃうね。
大北:
江戸時代メソッド。安全性を確信できればいけそうな気もします。
安藤:
今のハムに関しては生理的な危険が先走ったのかちょっと美味しくいただけなかった感じがする。江戸にはないもん。
スナック菓子
サッポロポテトバーベキュー味。安藤がふだんあんまりピンとこないものだそう
大北:
ないものシリーズで、サッポロポテトバーベキュー。
安藤:
これはもう意味がわからんな。
江戸時代の人だと理解できなくなってしまった
安藤:
……木かなこれ。
大北:
宇宙からやってきたような感じがありますね。
安藤:
これは無理でしょう。え。これはないでしょう。
大北:
江戸時代の我々にはオーバーテクノロジーですよ。飾るでしょ。これ。絶対に食べない。これは。うん。
安藤:
あ、いい匂いするとすごく。晩御飯の匂いする気がする。
大北:
焼いた匂いしますよね。いってみますか。
(食べる)
なんじゃこりゃ!!
大北:
えー!? 意外な食感!
安藤:
なんだこれは!
大北:
えー!? 溶けた!!
安藤:
あ、なくなっていく、溶ける、なくなっていった。
大北:
溶ける!
安藤:
味だけ残ってるぞ……なくなるね。消えましたね。消えた消えた。
大北:
うわー。狐に化かされるとかそういうやつじゃないですかね!?

→江戸時代食べだとスナック菓子はミステリー現象級

安藤:
これは明らかに味がおいしいね。あ、この大きさでこの味がついてるのはないよ。
大北:
味だけ残ってる……ええ!?
安藤:
味と香りが残るね。でも、木の部分は消えるんだよ。うん、
大北:
食感みしみしみしみし! で、なくなる。すご!
安藤:
途中まで歯触りは砂なんだけど、急に水になるね。
大北:
唾液に溶けていく。砂糖みたいなことですか。
安藤:
これは不思議だね。なんで穴が開いてんだろうこれ。噛み心地は砂だね。旨い砂。
スナック菓子について言葉が止まらず、だんだん疲れてくる
大北:
えーっ!? これ……うまいけど疲れる。リアクションとりすぎて疲れますね。
安藤:
うん、2枚ぐらい食べるともうなんかお腹いっぱいになる。
大北:
びっくりしすぎて疲れる(笑)。
安藤:
そうですよね。意識を江戸に持っていくと疲れる。あんまり食べられない。

→江戸時代食べは疲れるのでここぞという時にしか使えない 

大北:
もう底が見え始めましたか。
安藤:
意識はカロリー使うんだ。脳がね。
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カニカマ
よくわからなさそうなものとしてカニカマを選んだが、カニもかまぼこもありそう
大北:
ちょっとわけわかんない方面ぶっこんでみようかなと思って。
安藤:
あー、現代でもわかんないもんなあ、これ。入ります。
安藤:
これはなに??
大北:
カニかまというカニのかまぼこ。
安藤:
お、生臭いぞ。魚屋の匂いすんねこれは生で食べていいのかな。
なんだこれは……カニ??
安藤:
うん。あー
大北:
甘い
安藤:
カニだね。
大北:
カニですね。なんかちょっと苦いような変わった味するな。
安藤:
ちょっと古いカニの味がするね。美味しいんじゃないかな。うん。
大北:
これはもうカニってことでいいんじゃないですか。
安藤:
得体の知れない感じじゃないから。割と魚の匂いと味がするから。
大北:
不安がない。心に波風たたん感じ。いや、ちょっと我々が気を抜いてるかもしれませんが…

→変なものでも昔からある味ならすんなり食べられる 

安藤:
危険な感じがしないね、これはいいよ。
ザーサイとかふだん食べないものはどう思うのだろう?
大北:
これどう思うんだろうっていうザーサイ。
安藤:
あー、得体は知れないね。
大北:
ま、でも、野菜の漬物は多いですからね。ごま油って馴染みあったのかな? さあ、いってみましょう。
匂いについて敏感になってしまう江戸の人々
安藤:
なんだ。漬物かな。
大北:
ザーサイという大陸から来たお漬物。
安藤:
唐物だ。野菜かなこれは。すごい匂いがするぞ。あかんね、これは
大北:
(笑)また食に保守的な安藤さんが。
安藤:
これはちょっとしんどいな、この匂いは。ちょっとこれはないでしょう。
大北:
お寺の匂いがしますね。
安藤:
お線香の匂いするね。
(食べる)
必要ないが、辛さに敏感になってしまう
大北:
あ、しょっぱい。
安藤:
あーあ、お寺の味するね。……辛い辛い!
大北:
これは辛い! 普段辛いの食べないから。舌が痛い痛い!
安藤:
喉も痛い。お寺が。お寺だけど痛いなこれ。

→昔もあったが「食べ慣れてないだろう」ことまで自然と再現し始めてしまう 

大北:
痛みがこう、うるさいですよね。煩わしい。
安藤:
あ、でもちょっと癖になるねこれ。
大北:
もう1個言ってみよっかなって気もするけど痛みが邪魔。
安藤:
よくない痛みな気がするよね
大北:
電気を走らせながら食べてるみたいな
安藤:
痛いってことはやっぱ体が拒否してんじゃないかな。
大北:
痛いことがあるとちょっと匂いが不安に思えてきましたね。
安藤:
痛さは毒でしょう。多分フグみたいなもんじゃないと思う。これはちょっと不安だもん。
大北:
もうやめときましょうか。
安藤:
うん。背徳感あるし。ちょっと
大北:
不思議ですけど、なんか急にダメなものに思えてきましたね。
安藤:
匂いって普段あんま嗅がないね意外と。さっき気づいたけど俺、ハムの匂いなんて嗅いだことなかったわ。
ひじきと豆の煮物
給食などでよく出てきたこれも未だにおいしさがわかっておらず…
大北:
次は江戸時代の人も食べてたであろうひじき豆。僕はうまいと思ったことないんですよ。
安藤:
実家で出るけど、家で豆食べないですね。豆っていう選択肢はなかった。
大北:
豆は柔らかく炊くことが評価されてたり面倒そうですよね。
これは江戸の人々も食べてた可能性はありますが…
大北:
さ、食べてみますか。
安藤:
あーすごいしっかりとした味だね。おいしいよこれは。
大北:
ズドーンってきますね。味の大きさたるや。
安藤:
食べていいのかっていうぐらい、ちょっとずつ食べたいですね。
大北:
甘いですよね。またアサシン軍団入りそうなぐらい甘い。
安藤:
高級だよこれ。多分豆がさ。ああ、こんな柔らかい豆食べたことない。
大北:
あー、やっぱ魚の味も下の方にありますね。複雑だなこれ。
安藤:
ひじきもちゃんと味がするよ。
大北:
豊穣な海を思い浮かべますね。
安藤:
お、豊かなね。晴れた日のそういう味だよ。めでたい味がするもん。(拝む)あーありがたいよ。

→江戸時代食べでひじきと豆の煮物が拝めるレベルになる

ひじきと豆の煮物がありがたくなりすぎてついに拝みだす
大北:
(笑)すごいですよ。俺こんな風に思えたことないです。
安藤:
これたくさんは食べらんないね。やっぱりこんなもの食べていいのかって気はする。
大北:
次の家に回したくなりますね。
安藤:
正月でも何でもないのにこれ食べたらダメでしょ。普段の食卓じゃない。
大北:
これ別にお楽しみにしなくても、なんかこう、1人でもまあできるっちゃできる
安藤:
できるし、これこそなんかワークショップとかしたいですね。いかに我々が無意識でものを食べてたかですよね。
シュークリーム
江戸時代の人が食べたらどう思うのだろうシュークリーム
大北:
これです。シュークリーム
安藤:
それはないでしょうね。この見た目のものはジャガイモ以外ないでしょう。
大北:
乳製品ないですしね。
割ると見た目が意外すぎて驚く江戸の人々
大北:
さあ、えー、江戸から。はい、届きました。シュークリームというもので。
安藤:
イモだね。柔らかいよ、芋が。え、ほら、
大北:
紙の質感で、ふわふわ、ふわふわ系。
安藤:
ふかし芋っていうことじゃない。
大北:
(笑)シュークリームがふかし芋になった。割ります。
安藤:
中がトロトロ。これは大丈夫なのかい!? 生き物じゃないのかい?
大北:
シュークリームを江戸の人に食わせようと思ったらパニックになる(笑)
安藤:
おい。おっかさんみたいな匂いがするぞ。
大北:
かかあの乳だ。確かに赤ちゃんの匂いと近いかな。
大北:
わ。どうなってんだこれ。もうどうなってんだ。形が。
安藤:
虫割ったみたいだもんね。
大北:
ひどい表現だ(笑
食べるとその甘さにすべてのことを忘れて…
大北:
あーまあ! あーまい!
安藤:
おっかさん! 甘いな!!
大北:
はちみつむしゃぶりついたぐらいに甘い。香ばしさがある。こんだけ甘かったらもう何の匂いでもうまいって思っちゃいますね。
安藤:
うん、甘いなこれ。染み渡る。かかの乳かなこれ。
大北:
安藤さん、得体の知れなさとの戦いまだやってますね。
安藤:
うーん、美味しいと思うんだけどね。
大北:
美味しいのは美味しいですよね。人間の快楽がすごい。
安藤:
もうすっごい食べちゃダメなもの感があるんだよね。美味しいだけに。でも見た目に大丈夫なのかな。これ食べて。
大北:
僕は甘みにもう負けました。
安藤:
うん、2年分ぐらい甘いね。
大北:
うん、脳にこう、ピューンて上がりますね。
安藤:
あ、皮も美味しいね。和紙みたいな。
大北:
そう、香ばしいんですよ。最中みたいな。
安藤:
あ、これはよく合うなこれ。あれれれれ。勘弁してほしい

→入り込みすぎると罪悪感という新たな指標が出てくる

大北:
もう勘弁してほしい(笑)。
安藤:
疲れる。悪いことしてるみたいな感じ。
大北:
なんかまともな食べ物食べたいですね。ご飯に塩とかそんなん。
安藤:
味噌汁とね。
大福
当時のヒーローであろう、大福を食べたらどうなるのか
大北:
ちょっと当時のご馳走大福を。せんべいもそうですけど結局俺、和菓子のおいしさってわかってないんですよ。洋菓子はバターとか油の味がして快楽原則として強い。
安藤:
油と砂糖だね。
大北:
一方和菓子は豆と砂糖ですから。比べると洋菓子ばかり評価してしまう。
安藤:
まあ、あのー、言ってしまえばご飯の延長というかね。
大北:
そうですよね。ご飯に砂糖ぶっこんでるようなもんじゃないですか。
大北:
はい、庄屋さんにもらってきた大福です。
安藤:
うわー!
大北:
餅。正月にしか食べないでしょ。
安藤:
食べないね。もう。餅とかもう久しぶりに見たね。
大北:
うお、柔らか。こんだけあんこ入ってたらまさか甘くないですよね。塩あんびんって塩で作るやつありますからね。
(食べる)
こんな甘いものがあるのか!
大北:
ま、まさかの…!
安藤:
さっきよりも甘いんじゃないか…
大北:
これはすごい……
安藤:
あああ、甘いね、これ。
大北:
人を殺させたいのかもしれない。
安藤:
これはやりすぎでしょ、こんなふわふわでトロトロであまあまなの。
とにかく甘すぎて罪悪感がわいてくる
大北:
食べたことのあるもので構成されてるからマイナス面はなくて、ただレーダーチャートの甘さの部分だけズドーンって突き抜けてる
安藤:
一点の曇りもなく甘いね。うん、全体が甘いね。
大北:
そうだ、皮から甘い。何をさせたいんだろう。ほんとに
安藤:
俺たちはちょっとね。
大北:
俺たちを踊らせたいんですかね。なんかこう、なんかしてあげないといけない。次の家に回しますか。
安藤:
そうだね。明日だね、明日。今日はここまで
コンビニフライドチキン
コンビニのホットスナックであるフライドチキン。肉はどうなんだろうか
大北:
洋風なもので、おそらく食べたことがないであろうコンビニのフライドチキン。
安藤:
フライドチキンは江戸にはないからな。なんか焼き鳥は食べてたらしいよ。
大北:
罠仕掛けて肉を、みたいな。油もあったでしょうね。天ぷら。
安藤:
これば天ぷらみたいだね、形がね、
大北:
フライドチキンというもので字が思い当たらないんですが。
大北:
(割ると)黄色い汁出てきた。
安藤:
これは大丈夫なのかい……
大北:
肉ですからね。薬みたいなもんですよ。
安藤:
火が通ってさえいれば大丈夫だ。
大北:
あー、ま、ま、肉の匂い。獣を焼いた匂い。うんうんうん
(食べる)
怪訝さがとれない
大北:
天ぷらかな…??
安藤:
でも中はとトロトロしてんの。
大北:
肉ってもっとカタイはずですもんね。
安藤:
なんでこんなとろとろしてるんだろう。なんの肉なんだこれ。
大北:
自然界にいる肉。こんな柔らかくないでしょこれ。
安藤:
ないないない。
大北:
なんの肉……
安藤:
こわ。
大北:
カエルとかああいうの食なんじゃないですか。
安藤:
そんな感じなのかもね。でもこの大きさの肉ってことは大きいよね。
大北:
鳥とかでもこんな柔らかくないですよね。牛とかも当然硬いですよね。
安藤:
うん。魚でもないし、これ大丈夫なのかな。
大北:
……人?
安藤:
うわあ!
大北:
ありうる肉ってあんま思い浮かばないから、食べたことない肉って
安藤:
あり得るね。
大北:
ふくらはぎ……
安藤:
あああ!
大北:
これはダメだ。江戸時代にコンビニのフライドチキン持ってきたらだめですね。
安藤:
今、すごい見えてしまった。

→江戸時代食べ、柔らかい肉は鬼門 

チーカマ
チーズの入ったかまぼこ。異世界感がある
大北:
次これですかまぼこはかまぼこなんだけれども
安藤:
これはもう意味が全くわからない。
大北:
『2001年宇宙の旅』に出てくる猿が「これなんやろ?」って言ってるやつだ。
安藤:
生き物が知恵を授かるやつだ。これはちょっとわからんぞ。
大北:
まあ、これ開けていいですか。
安藤:
水まんじゅうみたいなもんかもしんないね。
大北:
あー、見た感じお団子ですね。
安藤:
団子か、 変わった匂いなんだ。おお、
何度も繰り返したことだがまず嗅ぐ
大北:
おおお、酒の匂いがするかまぼこ。
安藤:
あー、かまぼこだね。
大北:
なんか入ってますね。なんか入ってるね。
安藤:
卵かな
大北:
あ、魚卵のね。魚の卵っぽいですね。
安藤:
あ、でも旨味がすごいね。
大北:
カラスミとかそういうやつかな。
チーズがカラスミのように高級化した
安藤:
あー珍味のね。
大北:
うん、よくできてる。
安藤:
うまいな。
大北:
面白いものがあるんだな
安藤:
あ。面白いなこれは。誰がいつ食べるのかわかんないけどね。
大北:
これ、毎日食わんくていいですよね。今日全般的に言ってますけど。だって疲れるから。
安藤:
ショックが大きいよね。
大北:
年1回でいいわってなりますか。いや、正月っていうのはよくできた制度ですね。

→江戸時代食べでお正月の存在意義を見直す

安藤:
そうだね。いつものものが食べたいね。うん。ご飯と味噌汁が食べたいな。
総評
大北:
さ、片付けをしながら振り返ると
安藤:
疲れるっていうのは発見だね。
大北:
そうですね。実際には美味しいんですけどインパクトがすごすぎて
安藤:
なんか匂いがすごい感じられる気がしました。普段いかに匂いを意識してなかったなと思って。
大北:
安全性を確かめて。珍しい食べ方をすると、毎回この安全性が一番美味しいって話になるんですよね。
安藤:
あー恐怖心とね。
大北:
味をすぐに上回ってくるんです。
安藤:
ハムは本当に初めて匂いかいだ気がするな。やっぱ新しいものに対する恐怖心ってのは絶対つきまとうのね。なんでも最初は受け入れられないよ。
大北:
今となってはありな気がするんですよけどね
大北:
お煎餅とか今までだるいなと思ってたものに対して有効じゃないでしょうか。
安藤:
そうだね。ありがたみが増すというかね。
大北:
ちょっと人間としての主体性を取り戻せるというか。
安藤:
してなかった意識を取り戻せってことだよね。
大北:
我々、水も安全もタダでのべーっと暮らしてますから
安藤:
無意識に1日何も考えずに暮らしたりするからな。
大北:
特にひどい時はもう出されたものをただただ食べたりしてますから。
安藤:
美味しいとまずいとも言わずにね。僕、前からそれ思ったんすよ。子にご飯作ってなんの感想も得られない時とか。
大北:
子供とか江戸マインドで育てたほうがいい。といっても傘かしげたりとかじゃなく江戸マインドで食わす。

昔の人のつもりで食うのは意外と有効

いけた。安藤さんにもこの食べ方は有効だった。我々は思ったよりもすんなりと江戸時代の人の気分になれる。しかも思ったよりも深く。安全性まで疑い始めるまでに。

一人で食べる時もこのメソッドは有効なのだが、二人でやると笑いの絶えない食事になることも今日わかった。あなたにもぜひやってみてほしい。

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