スーパーへマンタを買いに行く
マンタが売られていると聞いたのは、佐渡島のエーコープ金井店。JAグループが運営する普通のスーパーである。今日の予定をすべて変更してやってきた。
ここへは何度か来たことがあるけれど、新鮮な地場野菜や魚を揃えている素敵なお店だ。ここにマンタ、本当だろうか。
入口からまっすぐ魚売り場へ直行すると、ちょっとした恐竜のような巨大生物が、モミジを添えられて展示されていた。
マンタってこれか!
めっちゃでかい。両翼の端から端まで余裕で2メートルはあるだろう。正面から眺めていたら、ヘビー級のプロレスラーに通せんぼをされている気分になった。
値段は一匹5000円で、売約済みの札が張られていた。すでに誰かが丸ごと買ったのだろうかと店員さんに確認したら、どうやら買ったのは私のようである。確かに友人づてで取り置きをお願いしたが、一匹丸ごとになったのか。
これはさすがにちょっと多い。いや、ちょっとじゃない。どうしよう。でも買わないと悪いしな。
店員さんが「車は軽トラックかなにかですか?」と私に尋ねる。そうですよね、マンタは普通の車に入らないですよね。すみません、普通の車です。
金額の問題ではなく物量の問題で困った。一匹丸ごとだと運べないし、食べきれないともったいない。そこで半身分の可食部のみ買わせていただけないかとお願いをしたところ、「残りは切り身で売るから大丈夫ですよ」という話になった。ありがとうございます。
対応いただいた方に、佐渡ではマンタをよく食べるのですかと伺ったら、「10年この仕事をやっていますけど、マンタは初めてみました」と言っていた。よく仕入れましたね。
たまにダイオウイカとかリュウグウノツカイが定置網に入ったというニュース映像を見るが、どうもそういう話の延長線らしい。マンタはもともと温かい海の魚なので、うっかり対馬海流に乗ってしまい、佐渡の海まで流されてきたのだろう。
捌かれるのを待っている間、マンタのおすそ分けを貰ってくれそうな佐渡の友人に連絡をしたところ、「昨日Twitterでみたやつだ!こんなの誰が買うんだよって思っていたら!」と返事が返ってきた。
検索したら、それらしき投稿が見つかった。
なるほど、このエイに間違いない。
この投稿にはイトマキエイと書かれているが、口の位置などを確認したら、マンタと呼ばれるオニイトマキエイではなく、確かに一回り小型のイトマキエイという種類のようだ。さすが魚市場の人、魚の同定が正確である。でも魚には地方名がつきものなので、これは広義のマンタということで話を進める。
マンタを買ってしまった。頭の中を『タイムパトロール隊オタスケマン』のエンディング曲がぐるぐると流れる。あれはトンマノマント、これは佐渡島のマンタ。
マンタを持ち帰る
普通のエイなら何度か捌いて食べたことがある。体が平べったいし、食べられるのは両翼部分(ヒレ)だけなので(真ん中は骨と内臓)、食べられる部分はそんなに多くない魚だ。特にマンタのように泳ぐタイプのエイはヒレの先が薄いように思える。
といっても、そもそものサイズがあれなので、半身でも大きな発泡スチロール3箱分となった。一匹丸ごと買わなくて本当によかった。
ちょっとマンタを料理させてもらっていいですか
マンタを車に積み込んで、向かった先は「その日のセリでお好みのお食事」という看板を掲げた友人のお店である。
宿泊しているホテルだとマンタを調理できないが、ここならきっと大丈夫なはず。
ただこの看板は少し離れたところの店のもので、看板の下にある友人の店は、今年の春にオープンした「珈琲豆焙煎 KAFFA」というカフェなんだよね。こういうお店です。
でも大丈夫。なんでもおもしろがって受け入れてくれるご夫婦のお店なので(前に伊勢うどんの会やタコスの会をやった)、マンタも調理させてもらえることになった。ありがたや。