特集 2023年11月13日

旅先でマンタ(イトマキエイ)を買って食べた

うっかり買ってしまった。

10月中旬、また佐渡島へと渡った。とりあえず島に住んでいる友人と昼飯を食べながら滞在中の予定を相談していたとき、その友人の携帯に「スーパーでマンタが売っているよ」という謎のメッセージが届いた。

マンタってエイの大きいやつのことだろうか。スーパーにマンタ、佐渡ではよくあることなのか。

これも何かの縁である。マンタを一度食べてみたかったので、買いに行くから取り置きしておいてもらうようにお願いした。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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スーパーへマンタを買いに行く

マンタが売られていると聞いたのは、佐渡島のエーコープ金井店。JAグループが運営する普通のスーパーである。今日の予定をすべて変更してやってきた。

ここへは何度か来たことがあるけれど、新鮮な地場野菜や魚を揃えている素敵なお店だ。ここにマンタ、本当だろうか。

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マンタが売られている店には見えない。

入口からまっすぐ魚売り場へ直行すると、ちょっとした恐竜のような巨大生物が、モミジを添えられて展示されていた。

マンタってこれか!

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みんなが二度見をして通り過ぎていく。

めっちゃでかい。両翼の端から端まで余裕で2メートルはあるだろう。正面から眺めていたら、ヘビー級のプロレスラーに通せんぼをされている気分になった。

値段は一匹5000円で、売約済みの札が張られていた。すでに誰かが丸ごと買ったのだろうかと店員さんに確認したら、どうやら買ったのは私のようである。確かに友人づてで取り置きをお願いしたが、一匹丸ごとになったのか。

これはさすがにちょっと多い。いや、ちょっとじゃない。どうしよう。でも買わないと悪いしな。

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誰がこれを買ったんだと思ったら私だった。
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ハロウィンの仮装に最適。

店員さんが「車は軽トラックかなにかですか?」と私に尋ねる。そうですよね、マンタは普通の車に入らないですよね。すみません、普通の車です。

金額の問題ではなく物量の問題で困った。一匹丸ごとだと運べないし、食べきれないともったいない。そこで半身分の可食部のみ買わせていただけないかとお願いをしたところ、「残りは切り身で売るから大丈夫ですよ」という話になった。ありがとうございます。

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「じゃあ捌いてきますね」と4人がかりで運ばれるマンタ。佐渡の海に設置された定置網に入ったものらしい。

対応いただいた方に、佐渡ではマンタをよく食べるのですかと伺ったら、「10年この仕事をやっていますけど、マンタは初めてみました」と言っていた。よく仕入れましたね。

たまにダイオウイカとかリュウグウノツカイが定置網に入ったというニュース映像を見るが、どうもそういう話の延長線らしい。マンタはもともと温かい海の魚なので、うっかり対馬海流に乗ってしまい、佐渡の海まで流されてきたのだろう。

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店の奥へと運ばれていくマンタ。

捌かれるのを待っている間、マンタのおすそ分けを貰ってくれそうな佐渡の友人に連絡をしたところ、「昨日Twitterでみたやつだ!こんなの誰が買うんだよって思っていたら!」と返事が返ってきた。

検索したら、それらしき投稿が見つかった。


なるほど、このエイに間違いない。

この投稿にはイトマキエイと書かれているが、口の位置などを確認したら、マンタと呼ばれるオニイトマキエイではなく、確かに一回り小型のイトマキエイという種類のようだ。さすが魚市場の人、魚の同定が正確である。でも魚には地方名がつきものなので、これは広義のマンタということで話を進める。

マンタを買ってしまった。頭の中を『タイムパトロール隊オタスケマン』のエンディング曲がぐるぐると流れる。あれはトンマノマント、これは佐渡島のマンタ。

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佐渡産のワタリガニやズワイガニが激安でおいしそうなんだけど、しばらくはマンタを食べないいけないので買えない。
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アカエイなどの切り身は、カスベという名前で普通に売られている。
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マンタを持ち帰る

普通のエイなら何度か捌いて食べたことがある。体が平べったいし、食べられるのは両翼部分(ヒレ)だけなので(真ん中は骨と内臓)、食べられる部分はそんなに多くない魚だ。特にマンタのように泳ぐタイプのエイはヒレの先が薄いように思える。

といっても、そもそものサイズがあれなので、半身でも大きな発泡スチロール3箱分となった。一匹丸ごと買わなくて本当によかった。

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久しぶりに心が震える買い物をした。
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半身なので2500円にしていただけた。お安い。
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食材の量に合わせて調味料などを大量購入。こっちの方がマンタよりも高くついた。

ちょっとマンタを料理させてもらっていいですか

マンタを車に積み込んで、向かった先は「その日のセリでお好みのお食事」という看板を掲げた友人のお店である。

宿泊しているホテルだとマンタを調理できないが、ここならきっと大丈夫なはず。

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すみません、マンタを捌かせてください。

ただこの看板は少し離れたところの店のもので、看板の下にある友人の店は、今年の春にオープンした「珈琲豆焙煎 KAFFA」というカフェなんだよね。こういうお店です。

でも大丈夫。なんでもおもしろがって受け入れてくれるご夫婦のお店なので(前に伊勢うどんの会やタコスの会をやった)、マンタも調理させてもらえることになった。ありがたや。

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「マンタ?いいよ、好きに使って!」※写真は以前撮ったもの
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「とりあえずコーヒー飲む?」
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フェリーが発着する小木港の前にある素敵なカフェ。ただし冬季は休業するので来春にでもどうぞ。

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