高い店の安いもの
高級店で手の届く金額のものを見つけてくる特集です。全体の説明と心意気。
ブルガリのチョコにはどんぶりで食べたくなるクリームが入っている(まいしろ)
銀座久兵衛に太巻きの答えがあるのかもしれない(P.K.サンジュン)
谷崎潤一郎の小説にも出てくる料理屋「瓢亭」の黒豆はまるでシュークリームみたいに中がトロトロ(こーだい)
梅干し1粒400円の夢~紀州南高梅の五代庵~(唐沢むぎこ)
金谷ホテルに泊まらず、赤ワインだけ堪能する(とりもちうずら)
銀座に梅干しを買いに行く
私は梅干しが好きです。しかし常備しているものほどお安い商品を手に取りがちな性分で、高級な梅干しはなかなか縁遠い感じです。
そんな私ですが、「今回の企画を機に高級梅干しとお近づきになっちゃえ」と、こだわりの梅干し屋さん「五代庵」銀座店に向かいました(本店は和歌山にあるそう)。
銀座に高級梅干しを買いに行くなんて・・・総資産がにわかには計り知れない老女になった気分です。
まるで楽器店のような店構え・・・
お店にはさまざまな梅干しが。
「今日は奮発しちゃおうかしら」と思って手に取れる価格帯の梅干し(130gで1000円~)や、贈答用の木箱に入った荘厳な梅干し(200gで3000円~)などなど。
立派な壺に入った1kg10万円の梅干しもありました。(もはやなんらかのパワーがありそう)
夢、1粒ください
気になったのが、人気商品だという「紀州五代の梅の心」と「紀州五代の夢」。
紀州南高梅のなかでも大粒で良質なものを選び、丁寧に漬け込んだ一品らしく、「紀州五代の梅の心」ははちみつ梅、「紀州五代の夢」はこんぶ梅だそうです。
贈り物として人気の商品で、木箱の詰め合わせセットがありました。
ぎゅっとつまった心と夢を買うのですからそれ相応のお値段がします。6粒で約3000円ほど。へ、へへっ・・・(自分の懐事情とは折り合いがつかなく、はにかみが出てしまいました)
食欲と企画の趣旨を天秤にかけて足踏みしていたところ、視線をずらせばなんと1粒ずつのバラ売りがあるではありませんか。
お値段400円。このお店の中ではかなり安い・・・!
うんまい
通勤ラッシュの満員電車で、五代の夢がつぶれてしまわないよう気を付けながら帰宅。
五代庵では比較的安い商品といえども、よく考えると1粒で400円です。
私がいつもスーパーで買っている梅干しは、10個くらい入ってて400円前後。じゅ、10倍の値段ですね。
でも、いつも食べてる梅干し10個を一気にほおばるのとはきっと違う味わいなのでしょう。(ドキドキして、質と量の考え方がむちゃくちゃなコメントをしています)
大きくてぽってりしています。果肉がぎゅっとつまってツヤッツヤ。全くシワシワじゃありません。
すっぱさやしょっぱさよりも先にうま味がくる!
そのあとに梅肉のほどよい甘さがやってきます(この甘味もなんとも絶妙なほどよさ)。
梅干しだけを口にしたときの、酸味で顔がキューっとなる感じがありません。「早く白飯かっこみたい」という気持ちよりも、「この梅そのものを味わっていたい」という気分に。白ご飯を用意していましたが、ナシでも全然いけます。
そして食感のよさたるや・・・やわらかくもハリのある皮、中のもったりとした果肉、それぞれ舌ざわりが違うことが私でもわかります。
米をも引き立てる
HPでは「お茶うけにもおすすめです」と紹介されているのですが、「めっちゃわかる」の一言に尽きます。昆布の風味とほのかな酸味、熱い日本茶との相性はぴったりなことうけあいです。
とは言いつつ、
五代の夢が上品な味わいだから、梅の味も米の味も同時に楽しめるのです。
漬物特有の「みんなー、漬物やで!」という大主張がありません。「漬物やから塩分多くて当然やんな!むしろ、しょっぱすぎるくらいがちょうどええよな!」というゴリ押しもないのです。(そんな漬物も憎めなくはあるのですが)
絶妙な主張ぐあいで、米のうまみも引き立っている気がします。あと、昆布のおだしが米にベストマッチです。
食べてる時間が楽しかったです。はちみつ漬けの「梅の心」も食べみたい、というか食べなければいけない、そう思いました。