高い店の安いもの
高級店で手の届く金額のものを見つけてくる特集です。全体の説明と心意気。
ブルガリのチョコにはどんぶりで食べたくなるクリームが入っている(まいしろ)
銀座久兵衛に太巻きの答えがあるのかもしれない(P.K.サンジュン)
谷崎潤一郎の小説にも出てくる料理屋「瓢亭」の黒豆はまるでシュークリームみたいに中がトロトロ(こーだい)
梅干し1粒400円の夢~紀州南高梅の五代庵~(唐沢むぎこ)
金谷ホテルに泊まらず、赤ワインだけ堪能する(とりもちうずら)
ショッピングモールで買ったヘネシーを飲む(西村まさゆき)
帝国ホテルのポテトサラダは正統派の高級感(べつやくれい)
帝国ホテルに行く
帝国ホテルにやってきた。
「帝国」って考えてみたら強そうさがすごい。皇帝が統治する国。
イメージが神聖ローマ帝国とかオスマン帝国とか大英帝国とかだからかな。あとスターウォーズの銀河帝国。
それはともかく実は数日前にも一度きたのだが、そのときはポテトサラダが売り切れていたためすごすご帰った。
その日はクリスマスだったのだ。
クリスマスパーティーなどで食べようとした人が多かったのだろう。
パーティーでもなく、しかも遅い時間にのこのこやってきた私にポテトサラダは残っていなかった。
そういうわけで数日後にまた帝国ホテルにきたわけである。
こんな短期間に帝国ホテルに2回もくることになってしまい、うっかり皇帝になってしまわないか心配である。
正面玄関からロビーに入ると、これでもかというくらいの量の赤いバラが飾られていた。
ところどころに白いバラが入っていて、めちゃくちゃ立派なベニテングダケみたいでかっこよかった。
ポテトサラダは、正面から入って左にあるショップ「GURGANTUA(ガルガンチュア)」で売られていた。
300gで1188円。
ちなみにふだんスーパーで買うポテトサラダは298円だ。
…高いな、と思って周囲を見回してみると、ポテトサラダの近くにあったステーキは4000円超えだったし、いちごの乗ったエクレアは2500円くらいしていた。
それに比べたら300gも入って1000円ちょっとで買えるポテトサラダはむしろ庶民的ではないかと思えてきた。そう思えているうちに買って帰った。
食べよう
口に入れた瞬間に「うまい!」みたいな激しい味ではなく、上品な味わいがある。
じゃがいもがつぶされ過ぎてなくて食べ応えがあるし、マヨネーズが手作りっぽい味なのもいい。マヨネーズとサワークリームの中間みたいな爽やかな酸味だけど、ちゃんとコクもある。
じゃがいも以外の具は上に乗ったゆで卵とたまねぎだけで、きゅうりやにんじんは入ってない。
ただ味のバランスはとれているので、きっといろいろ試した結果のこのポテサラなんだろう。
トリュフが入っているとかフォアグラが入っているみたいな、高級食材を飛び道具のように使ったおいしさではなく(それはそれで興味はあるけど)、正統派ポテトサラダとしてしっかりおいしく作りました、という味だ。毎日食べても飽きないおいしさ。
ごはんに合う
味がしっかりしているので夫がごはんと一緒に食べてみたいと言い出した。
たしかにこれまで食べたポテサラに比べたらしっかりした味に感じるが、ごはんのおかずになり得るのだろうか…。そのままでおいしいからそれでよくない?
と少しいぶかしげな私を無視して夫はパックごはんをあっためてきた。
一口食べて、「おいしい」という。
本当だ、おいしい。
マヨネーズが上品なのでごはんに負けちゃうかなと思ったのだが、コクがあるからかごはんを引き立てていて、ごはんもポテサラも両方いい。
このポテサラだったらポテサラ丼にしてもおいしいかもしれない。
1杯1188円プラスごはん。
…近所のスーパーの海鮮丼より高いではないか。