台北で変なメンツのパンと出会う
先月、11月に家族と台北を旅しました。
台北はダイソー、モスバーガーなど日本発のチェーン店がたくさん軒を連ねます。家族が「無印良品に行って台湾限定商品を買いたい」と言うので、日本の百貨店と似た雰囲気の新光三越に行きました。
雑貨店にも日本でよくみるキャラクターがずらり。台湾でもキティちゃん・マイメロはバリバリ仕事をしており、そこを追いかけていくちいかわの猛攻も見られます。
アガるお供え物
どこか慣れた心地で街を歩いていても、スーパーや雑貨屋の一角には台湾を感じるところがあります。
それはお供え物コーナーです。
日本のスーパーで節目節目にお盆やお正月の商品が並ぶように、台湾でも先祖や神様への
お供え物が「拜拜用品」として売られています。
たとえばこちらの、台北のスーパーで見つけたコーナー
しかも、お供え先(先祖や土地の神様などなど)によって細かく分かれています。知らない世界の中での細分化ほど心ときめくものはありません。
私は、台湾のスーパーに行くと、真っ先にお供え物を探してしまうため、何を買いに来たのか失念しがちです。
先月の台湾旅行で龍山寺というお寺に行った帰り、近くのスーパーをぶらぶら見ていたとき、
なにこのパン、どういうメンツ・・・!?
ていうか、それぞれピンでも見たことない形なんやけど・・・?てか、お供え物のパン?
この「素三牲(スーサンシェン)」という謎のパンとの出会いに、一気に心に風が吹き込みました。
私の気持ちはそれほどほくほくしていたのです。
豚肉・鶏肉・魚らしい
さっそく「素三牲」を台湾の友達にLINEで聞いてみました。
・・・シンプルに解説されましたが、素と三牲の間に「の」を入れただけでは何一つわかりませんでした
先祖や神様にお参りするときに準備するの〜
昔、神事の生贄として準備された動物が元になっている模様。先祖へのお供え物や、旧暦の1日・15日のお祈りに神様にもお供えするそうです。魚と鶏肉は、まるまる一匹というのが標準ルールみたいです。
ということは、
サイズそのままに再現した豚バラの切り身の形だったようです。(そう思って改めて見ると、カーブの具合が見事な気がしてきました。私はいいところを探す達人です。)
肉じゃなくてパンやけど
「素三牲」は、「肉を使わないお供えのお肉3セット」という意味だったと判明。文化圏の外にいる人にとって、前提も結果もなじみなさすぎるお供え物です。この、「それは知らんなあ・・・」感、めちゃくちゃ心地よい。
いやいや、お肉の場合も煮炊きしてからお供えするからそこはあんまり心配してないよ
お供え物って結局自分で食べるから、ベジタリアンの人にピッタリなの
台湾は、宗教的な意味合いや、健康・環境保全のために肉を食べない人も多く、その需要に応えているっぽいです。
肉の味は全くしない代用肉といったところでしょうか。お肉でないなら、もう何でもいいのでは・・・?と思いますが、「伝統的な三牲を用意してお参りはしたい・・・!」という消費者の気持ちが呼んだ商品なのでしょう。
「お供えしたい気持ちがあるなら、形はなんでもいい」まで行かない、「お供えしたい気持ちがあるから、形でなるべくあらわしたい」という微妙なラインが具現化されてます。
ベジタリアン人口よりも数倍多いであろう、ずぼらな人にまでリーチした商品でした。「素三牲」、知らない伝統に、今時の事情が乗っかった進化系お供え物です。
最近はお供え物の決まりがそんなに厳しくないから、ソーセージとかインスタント麺とかをお供えしてる人も多いよ
お供えしたあと自分で食べるから、好きな食べ物を準備するよね
友達が何度も繰り返す「お供えしたあと自分で食べる」、これがキーワードっぽい・・・。
もしかしたらガチ肉の三牲だって「お参りした後に、みんなで食べるのがうれしい」みたいな理由があったのではないでしょうか。