特集 2018年3月3日

2月の記事ベスト5発表!&「未踏の地に足を踏み出す感覚」

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こんにちは、編集部石川です。
ひな祭りですね。1月は元旦、2月は節分、3月はひなまつりと月初にイベントがあるので、年の前半は月意識が高まりますね。4月の新年度と5月のGWくらいまでこれが続くのですが、6月から急に何もなくて原野に放り出された気分になります。

さて、2月の総集編。記事のランキングと、ライター西村さん、辰井さんへのインタビューで送りします。
インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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アクセス数ランキングです。お祖父さんが作ったドールハウス、中学時代の姉妹制度と、他人のノスタルジーに感じ入る記事2本が話題に。
妻が「子供のころにおじいちゃんが団地っぽいドールハウスを作ってくれた」と言った。見ると、泣けるほど昭和の住宅だった。
中学時代、先輩、後輩、友達…という関係性に加えて「姉分」や「妹分」なるものが存在した。
食べ放題の殿堂すたみな太郎で「バカが考える美味しいごはん」を追求した。
いろんな部位が売られている大きめのお肉屋さんで、気になる肉を見つけた。豚のタン下と豚バラ先軟骨だ。
大豆や麦、ピーナツ、ごま、ひまわりの種を炒って、コーヒーを作ってみた。ごまはコーヒー味には遠かったが、お茶みたいで美味しかった。

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TwitterやFacebookなどのシェア数のランキングです。アクセス数ランキングの2本に続いて、3位にはまたも君津のノスタルジーに飛び込む記事が。5位で国会議事堂の石材を見に行った西村さんは、次ページでインタビューもしております。
中学時代、先輩、後輩、友達…という関係性に加えて「姉分」や「妹分」なるものが存在した。
妻が「子供のころにおじいちゃんが団地っぽいドールハウスを作ってくれた」と言った。見ると、泣けるほど昭和の住宅だった。
60年代後半に八幡製鉄が新工場を完成、2万人もの北九州人が移住した。君津ではもっぱら北九州の方言が使われ、九州カルチャーが街を占拠した。
仕事ごとにいつが忙しいか、いつがヒマかをアンケートで聞いてみた。6月が意外にみんなのんびりしているみたいです。
国会議事堂は国産にこだわった石材が使われている。これがいまやとんでもなく貴重な石材なのだ。専門家と見学してきた。
次はライター西村さんのインタビューです。
いったん広告です
明治23年に浅草に造られ関東大震災で崩落し解体された12階建てのレンガ造りの塔、浅草十二階こと「凌雲閣」の土台が出土した…!

工事現場からすごいの出た

安藤
2月に話題になった記事といえばなんといっても西村さんの凌雲閣です。

西村
はい。浅草十二階。安藤さんも見に行ってましたね。

西村さんが見に行った日の凌雲閣跡
西村さんが見に行った日の凌雲閣跡
翌日、安藤が見に行った日の凌雲閣跡
翌日、安藤が見に行った日の凌雲閣跡

安藤
僕は話題になった翌々日くらいに行ったんですが、もうレンガもらえませんでしたよ。

西村
記事にしようと思って行ったんですか?

安藤
いえ、単純に見たかったからです。三土さんも行ってましたね。さすがは「ストへぇ」の二人だなと思いました。

西村さんと三土さんがマニアックな街歩きネタを披露する動画、ストへぇ
西村さんと三土さんがマニアックな街歩きネタを披露する動画、ストへぇ

ストへぇの二人、レンガをもらう

西村
そうなんです。実は三土さんが記事にするつもりだったみたいで。

安藤
かっぱらったんですか。

西村
いや、記事のスケジュールがたまたま僕の番が近くて、それで先に書いちゃいました。わるいことしたな。

安藤
生き馬の目を抜くデイリーポータルZと言われていますから。でも三土さんもレンガもらってましたよね。あれどうしました?メルカリに出しましたか?

西村さんのもらったレンガ
西村さんのもらったレンガ
三土さんのもらったレンガ
三土さんのもらったレンガ

西村
出さないですよ。大切に玄関先に置いています。瞬間的にオークションサイトで値上がりしていたみたいですが、たまごくらいのサイズで3000円とか強気の値付けだったので、僕のサイズならたぶん20万円はしますね。

安藤
仮想通貨もびっくりの皮算用ですね。レンガですが、もらえたのはたぶんその日だけですよ。勝手に持って行っていいよ、って感じだったんですか?

西村
そうです。トラックの荷台からみんな群がってもらっていきましたから。

安藤
いいなー。

西村
施工業者の好意で配ってたらしいんですが、あのへん道が細いわりに車通りがあるから大丈夫かなと思いましたよ。工事現場の人とか台東区の役所の人とか、凌雲閣の人気を甘く見てますよね。

安藤
わざわざレンガもらいに来るほど好きな人がいるとは思わなかったでしょうね。浅草十二階って西村さん、前から知ってましたか?

西村
知ってましたよ。でも妻はあまりよく知らなかったみたいで。みんな知らないんですかね。

安藤
江戸川乱歩の小説に出てくるって聞いて、行く前に読んでみたんですが、前に読んだことある話でした。でも浅草十二階についてはまったく印象に残っていなかったです。男が好きな女を塔の上から望遠鏡で眺める話で、その塔が浅草十二階だったという。

西村
絵に入りこんじゃう話ですよね

安藤
そうそう。望遠鏡で見てた女が実は絵で、その後男も絵の中に入っちゃって、それを抱えて兄弟のどちらかが旅をするっていうすごい話です。

次は何が出るんだろう

安藤
次に掘ったら出てくるかもしれないものクイーズ!

西村
急ですね。

安藤
なにが出ると思います?ほら、貝塚とかよりもうちょっと現在に近い方がうれしくないですか。

西村
確かに。銀座の高速道路の下あたりは掘ると戦争のがれきが出てくるんじゃないかな。あの辺はもともと水路で、がれきで埋め立てたって聞いたことがあるので。あとは戸越銀座も震災で壊れた銀座のレンガで埋め立てたらしいので、掘ると出るかもしれないですね。

安藤
そういうことよく知ってますよね。

西村
ウィキペディアで読みましたから。

安藤
掘ると出るものといえば、僕たちが子どもの頃は毎年のように徳川の埋蔵金を掘る番組流してたと思うんですが、最近めっきり聞かなくなりましたね。

西村
群馬の方の山を掘っていたやつですね。いい時代だったなと思います。

安藤
次また何か出たら速攻で見に行って記事にしてください。

西村
はい。

次のページはライター辰井さんへのインタビューです。
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60年代後半に八幡製鉄が新工場を完成、2万人もの北九州人が移住した。君津ではもっぱら北九州の方言が使われ、九州カルチャーが街を占拠した。
石川
記事の前に、辰井さん初対談なので、簡単に自己紹介お願いしてもいいですか。

辰井
辰井です。もともとテレビ番組の情報を集めるリサーチャー(兼放送作家)をしていました。

石川
リサーチャーっていうのは何をするんですか?

辰井
番組で使う情報を集める仕事です。たとえば私も関わっている秘密のケンミンSHOWであれば、番組で使う県民性ネタを探しますね。
そこから、去年から一念発起して、前からやりたいと思っていたライターをやっています。だからデイリーの新人賞には気合を入れて応募しましたね。

石川
そうそう、辰井さんは新人賞の出身なんですよね。その時の応募作がこれです。
辰井
なので第二のふるさとと勝手に思っているので、今年の金沢の大雪のニュースを見ると、気が気じゃなくて。

石川
ライターとしての故郷だ。
そしてデイリーでの1本目がこちら。
辰井
味噌溶き系ラーメンはテレビの仕事で採用されなかったネタで、それでも心惹かれるなと思っていて、念願かなって行きました。
別の仕事のボツネタでも「良いネタなのにな」っていうものはあるので、それを使える所があるのはありがたいですね。

石川
編集方針次第ですしね。なんでもOKな編集方針だとボツネタの流れ着くネタの墓場みたいなサイトになってきそう。
デイリー以外の媒体だと今どこで書いてますか?

辰井
他はねとらぼ(アンサー)とSPA!が多いですね。他にこれから新しくはじまる仕事などもあったり

石川
ねとらぼよく見かけますね!SPA!もこないだ知らずに読んでたら辰井さんの記事でした。
お気に入りの記事とかあります?

辰井
両極端なもので行くと、このあたりですかね。

人間VSコンピュータオセロ 衝撃の6戦全敗から20年、元世界チャンピオン村上健さんに聞いた「負けた後に見えてきたもの」

パチンコのネオン看板は、なぜ“パ”だけが消えるのか? その理由がついに判明


日進月歩で発展するAIの脅威を、オセロでコンピュータと戦った方の経験を聞いて考える記事と、パチンコの「パ」は実は消えやすい、という記事です。

石川
知的な記事とバカ記事。
辰井
さっきのネタのOK/NGの話でいうと、ねとらぼアンサーあたりもかなりOKを出してくれるんですが、これデイリーしか出せないかなぁというネタは確実にありますね

石川
例えば?

辰井
まだ記事にはなってませんが石川さんOKが出てるネタで、「ラブホテルのお城を要塞に見立てて、お城としての要塞度(守備力など)がいかほどのものか、お城の専門家に聞く」というネタ。他だとちょっと怒らせそうで出せないネタなので…(笑)

石川
そうか、そういうのがデイリーっぽいんですね。
あれは普通にいいネタだと思いました。ラブホテルに攻め込むっていうのがおかしいし、あとはこれをきっかけに城マニアから濃い話が引き出せそうで。

辰井
デイリーの場合、あがりがどこまで計算できるか、というのがやや薄くても、そのプロセスで楽しめそうだとか、他の要素があれば見切り発車でやらせてくれるような傾向がある気がします。ライターとしてはそういう所があるとホントありがたいですね

石川
メディアとして、アクセスの多い記事だけでもよくないと思ってるところがあって。
ヒットしなくてもライターの興味だけで動いてるような記事が大事、という空気があると思います。

辰井
あとラブホお城ネタは、それにつきあってくれる貴重なお店がどれだけあるかというのも勝負ですね

石川
外観や立地だけだったら勝手に評価していいんじゃないですかね。
中に入って天守閣まで攻め込むとか考えるとホテル側の協力が要りそうですが。実際に足軽の格好をして天守閣まで攻め込んでみるとか。

辰井
間違いなく銃刀法違反の疑いで職務質問されそうなのがたまらないです。
話は戻って、テレビも最近「ガチ感が大事」「それが視聴者に伝わるから」って言われるんですが、そのガチな気持ちのまま色々進められるのはやりやすいです。PVのことを言われないのはとても助かります

石川
とはいえ辰井さんの記事は結果的に好評なことが多いですよね。
その辺はライターの持ち技として、リサーチャーで鍛えた調査力が利いてるのかなと思います。
情報のしっかりしてる感じはデイリーの中で群を抜いてるなと。
辰井さんの記事にはどうやって探してきたんだという引用資料がいっぱい出てくる(読売新聞1997年2月21日号)
辰井さんの記事にはどうやって探してきたんだという引用資料がいっぱい出てくる(読売新聞1997年2月21日号)
辰井
ありがとうございます。調べたいと思ったら何か勝手に体が動くんですよね。
特にまだ良く調べられていない事を調べるのは、未踏の地に足を踏み出す感覚で、それを楽しめています。

石川
リサーチ力と言えば、先々月かな、デイリーのライターで集まってネタ会議をやったときに、きだてさんと辰井さんがいて。
例えば誰かが工作のネタを言うと、即座にきだてさんが「こういう文具ありますよ」みたいな感じで便利な道具教えてくれるんですよ。で、こんど撮影場所どうしようみたいな話になると今度は辰井さんが即座に調べて教えてくれるという。
この2人がいるとネタ会議がめちゃくちゃはかどるぞ!!という状態になってました。

辰井
あれってテレビの会議で下っ端がよくやる所作なんですよね。ADさんや若手放送作家あたりがサッと調べてみんなに報告したりするんですが、それが染み付いているというか。
大きな会議だと、PCに大きなモニターを繋いでいて、ADさんがサッと調べてみんなに見せています

石川
あーなるほど、そういう文化なんですね。
ちなみに一瞬でさっと調べるコツとかあるんですか?

辰井
そんなにいっぱいコツを持っているというわけでは無いです。強いて言えば検索エンジンのオプション(「site:」ってつけるとサイト内検索できるとか、ORとか「-」とか)を覚えているとかですかね。あとはどのデータベースを使ったりすれば良い、というのが知識としてわかっているとか。

石川
なるほどー。
技というよりは、やっぱり経験というか、勘所を抑えてるかどうかの差が大きそうですね。

辰井
経験、そうですね。
正直リサーチャーって僕にとってはすごくやりたい仕事、というわけで入ったわけでは無くて、最初に若手放送作家としてそれがあてがわれて、それをこなしていった結果リサーチの仕事が中心になって…という感じですね。
ただ結果的にそれが今の楽しみな仕事に繋がってるから結果オーライです。
石川
雑談で終わりそうな勢いなので記事の話もしましょう。
文中でも閉店してる店が多かったりしかも定休日だったりと書いてあって、店探すのにけっこう苦労したのではと思いますが、実際どうでしたか?

辰井
お店は予想以上に大変でしたね。ネットで調べるといくつか当時からの九州移住者の香りを残す店がいくつか出てくるんですが、それが軒並み閉店していて。
北九州出身の方が住む団地の周りにもスーパーが色々あったんですが、最近軒並みなくなってしまって。そこには九州っぽい食品なども結構置かれていたようなのですが。

石川
閉店問題は地方取材につきものですが、軒並みとは。恐ろしい…!

辰井
一度地元の方に電話して「まだまだ色々残ってるよ」と言われたので、見切り発車で来てみたら、その方が言うお店も含めて、色々となくなっていて。せめて10年前に来ていたら、八幡風やきとりのお店など、まだまだ残っていた痕跡があったのですが
あと個人商店がお休みになる月曜日に行ったというのもネックでした。都会に住んでると、定休日の概念があまり無くなってしまうんですよね
閉店してた八幡焼き鳥の店
閉店してた八幡焼き鳥の店
石川
それは確かにそうですね。

辰井
あと日吉のご主人に教えていただいたお店もあったのですが、そこも18時閉店で行けず。郊外は早くお店が閉まりやすいのも穴でした。

石川
いろいろな地方あるあるが終結した取材でしたね…。

辰井
ずっと東京近辺で過ごしてたので、今まで気づいてなかった地方事情にいろいろと出くわして、ホント勉強になりましたね。

石川
リサーチャーって自分で現地に行って取材ということはあまりないんですか?

辰井
ほぼ無いですね。テレビの仕事が中心にやってた10年間で、関東を出たのは2回だけかも。それも仕事じゃなくてプライベートでの2回です。若手の放送作家なんかだと、すぐ呼び出しに対応しなくちゃいけないというのがあって、なかなか関東から出られないので。

石川
うおー厳しい!

辰井
なのでライターになって自分で取材に行けるのがホントに嬉しかったですね。金沢に行ったのも、東京を抜け出したいという気持ちが今思うと強かったからかも知れません。

石川
なるほどー。そういう意味でもぜひ記事執筆楽しんでください!

(以下ゆるゆると取材経費の話へ…)

お知らせと今後の予定

少し先ですが4/21にはWEBメディアの集まる即売会、webメディアびっくりセールを開催。出展メディアにはTBSなどの名前もあり、WEBメディアの定義を揺るがせつつ盛大に開催していく所存です。

さらなる最新情報はTwitterFacebookを御チェックのほどお願い申し上げます。

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