コンテナ景の良さ
コンテナといえば埠頭に積み上げられていたり、トラックの荷台に乗っかっていたりといった光景がパッと思い浮かぶ。
コンテナが海上輸送の舞台に登場したのは1956年のこと、規格化された頑丈な箱に荷物を入れて運ぶことで積み替えなどのコストや時間を劇的に改善したこのシステムは一気に物流や経済のグローバル化を促進し、20世紀最大の発明ともいわれている。
コンテナが世界を変えていく経緯はいろいろな物流会社のサイトでも紹介されているし、名著「コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった」(マルク・レビンソン・村井章子訳/日経BP)ではより詳細にそのエキサイティングな物語を堪能できるので、興味のある方も無い方もその中間の方もあたってみてほしい。
そんなバイタリティを象徴するように、旅先で訪れる港湾に積まれたコンテナの周りでは重機や車が行き来し、その喧騒が生む独特の活気がまたなんとも言えない旅情を感じさせるのだ。
旅の終わり「野良コンテナ」
そんな感じでずしんとした重厚感の中に動的な要素が内包された雰囲気がコンテナ景の魅力なのだが、それと対極をなす生態も存在する。
どこからかやって来て畑や原っぱにぽつりと佇んでいるコンテナ達のことで、私はそれを「野良コンテナ」と呼んでいる。
前述したように港で積まれたりトラックで運ばれていくコンテナは物流の道具であり、ここを離れまたどこかへ行く予感を醸し出しているが、ここにあるのは完全な静であり、旅の終わりである。
草木や他の道具に囲まれ、静かに余生を過ごす姿にはどことなく寂しげな、枯れた趣を感じずにはいられない。
セミ野良
畑は原っぱではなく軒先や道沿い、駐車場の隅にもコンテナは置かれていて、プライベートな倉庫として余生を営んでいる。野良というほどでもないが定住してるなあという「セミ野良」コンテナはオーナーにより装飾されているものも多く、また違った見応えがある。
時おり、荷台を切り離され頭でっかちに見えるトラックを見かけるが、あれを見ていると「どこでコンテナを降ろしてきたのだろう」と思いをはせてしまう。