特集 2024年8月26日

野良コンテナ鑑賞

社名を読んでいきたい

これまでがんがん物品を輸送していた名残りのように会社やブランドのロゴが描かれているのも多く、旅の終わり感を一層強く放っている。

森永ドライミルク。1921年に国内ではじめて機械生産による粉乳として誕生した「ドライミルク」のロゴが残されている。
衛生用品のブランド「リースキン」いや会社のロゴ楽しいな。

 沖縄の離島でこれに出会った時は心が動きまくった。

マルエツ!お前なのか!(伊平屋島)

首都圏を中心に展開するスーパー「マルエツ」のコンテナ。ダイエーと提携時のロゴマークが懐かしい。というかダイエーってこんなんだったよね。

全店(?)無料配送のペイントとの絡みを見ると格子窓は後からつけられたものだろうか。

現役時代は店から店へ品物を届けて回っていただろうコンテナが、いったいどういう経緯で伊平屋島までやってきたのか。私としてはダイエーとの提携が終わった時に秘伝の品をコンテナにしまいこみ、ダイエー文化の一掃をはかる勢力から守るために方舟のように海に流して、それが流れ着いたというロマンのある説を推したい。そんな長期間浮いていられるものだろうか。

置き配だったらどうしよう

企業が物流系になると旅の終わり感はさらに濃厚になる。

千葉県に本拠を構える食品卸ユアサ・フナショク。
トラックの駐車場に置いてあるので物流拠点のサイン的なやつで野良という感じでもないが、もう輸送用としては使われないだろうということで。なによりデザインがかわいくていいじゃないですか。
鶏卵食鳥流通センターおつかれさま!
なんでも便なんでも運んでおつかれさま!

 かつて街中を走っていた赤ボーダーのあいつも畑にいた。

あのワンちゃん(たしかダックスフント)のやつ!

 微笑む犬とリボンをトレードマークに個人宅配事業を展開していたフットワーク(正式名称はフットワークエクスプレス)という物流会社である。1990年代初頭にはF1チームに出資するなどノリにのっていたが、なんやかんやあって2001年に倒産、現在は日本郵便の傘下となり、社名も変更されている。

言われてみればこのトラックいつしか見かけなくなったなあぐらいの関心しかなかったのだが、こんなことになって畑に来ていたとは。

あらためて見つめるとショートケーキを包んだ箱のようで、物を届けるということのワクワク感が伝わってくるいいコンテナである。おつかれ様でした。

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犬だけではなく、あのペリカンも軒に置かれていた。

ペリカン!なつい!

塗装が薄れてラスコー洞窟の壁画化が進んでいるこのペリカンは物流業界の超大手、日本通運による宅配事業「ペリカン便」のもので1977年に登場すると80年代から90年代にかけてがんがん成長し、クロネコや前述のダックスフント、カンガルーやこぐまなどさまざまな動物ロゴが覇を競う動物戦争を繰り広げた。
しかし、これもなんやかんやあって低迷に向かい、郵便事業株式会社(当時)の「ゆうパック」と統合、2010年に「ペリカン便」は姿を消した。

もっと最近まであった気がしていたがもうそんな前のことだったのか。これまたどのような経緯で軒下に置かれているのだろうか。置き配だったらどうしようかと思った。


コンテナとはあくまで箱そのもののことで、定規格のコンテナにさまざまな荷物を積み、コンテナごと運ぶ輸送体系をコンテナリゼーションという。
コンテナは中古品がリサイクルとして流通しており、買い取られたコンテナ達はさまざまな形で活用され、いくつかは今回紹介したように畑に行き野良となる。コンテナの生き様である野良コンテナもまた、コンテナリぜーションの一部なのではないか。
街で見かけたかっこいいトラックのかっこいいコンテナと、いつかまた畑で会えるといいな。

それまでお互いがんばろう!

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