多摩川という非日常
多摩川沿いには非日常が多く、記事にしやすい。筆者がいままで書いてきた記事の多くで多摩川が登場する。
・多摩川の河川敷にひっそりと埋まったライオンの遊具の真相に迫る
・池を囲んで近距離Zoom飲み会をしたら色んな感情で泣きそうになった
・これが本物のたたき台だ!(外でたたき台をたたくシーン)
・1日で小学生の夏休みぜんぶやる (外で遊ぶシーン)
今後も多摩川とはうまく付き合っていきたい。
多摩川沿いを歩いていると武蔵小杉のタワーマンション群(タワマン)が見える。多摩川をどこまでさかのぼれば見えなくなるのだろう。武蔵小杉のタワマンから逃げる旅が始まる。
川崎市中原区に住んでいる。区内を散歩しているとわりとどこからも武蔵小杉のタワマンが見えるので安心する。方角が迷子にならなずにすむのだ。
しかし、同時に「こわい」とも思う。どこに行ってもタワマンが追いかけてくる感覚だ。ときに中原区から離れても追いかけてくる。
そこで今回、どこまで行けば武蔵小杉のタワマンから逃げ切れるのかを検証する。バトルフィールドは多摩川だ。多摩川沿いは視界が開けているので、けっこう遠くまでタワマンが追いかけてくる気がする。こっちはタワマンの本気が見たいのだ。
武蔵小杉のタワマンから逃げる旅。はじまりはもちろん武蔵小杉のタワマンである。
まるで筆者がタワマンに住んでいるような言い方だが、筆者はここからだいぶ離れたノーマルマンションに住んでいることを白状しておく。
程なくして 丸子橋へ。
ちなみに自転車はHELLO CYCLINGというレンタル電動自転車である。行った先で自転車を返し、帰りは電車で帰ってくる作戦だ。体力勝負の企画ではないのでできる限り楽させてもらいます…。
ひたすら多摩川沿いを自転車ですすむ。
必然的にここからは河川敷の画像が続く。
そこで、この記事の楽しみ方を先に共有しておく。
タワマンが見えなくなるのは記事の最後のほうなので、しばらくは②の「それはそれとして、多摩川沿いは面白い場所がいっぱい」のほうでお楽しみください。
このあたりは多摩川を挟んで神奈川側と東京側の両方に「等々力」「野毛」といった同じ地名がある。度重なる洪水や改修によって多摩川の流れが変わり分断されたのだ。等々力大橋(仮称)は神奈川の等々力・野毛と東京の等々力・野毛を百数十年ぶりに再会させる橋でもある。
…とたいそうなことを書いたが、すぐ近くの第三京浜がその役目を担っているので感動は薄い。
この第三京浜の近く、東京側の河川敷にはライオンの遊具が埋まっている。つい最近記事にしたのでよかったら見てください。
この先、東京側のほうが武蔵小杉のタワマンを見やすいであろう。二子橋を渡り東京側へ移動する。
旧堤防にはところどころ、陸閘(りっこう)という切れ込みがある。その切れ込みを通りふたたび川沿いに戻ると、見えた。武蔵小杉のタワマン、久しぶりの再会である。
正直、ここまでは想定の範囲内。しかし、ここからは未知の領域。どこまで追いかけてくるのか楽しみだ。
ここからは東京側の堤防の上を自転車で進んでいく。当面の目標は調布(厳密には京王多摩川駅)である。
…と言いつつ、まさか調布までタワマンが追いかけてくるとは思っていない。せいぜい狛江ぐらいだろうとたかをくくっていた。このときは。
多摩川沿いは車の練習コースが本当に多い。増水時に沈んでも許容できる広い土地と考えれば車の練習コースはぴったりの使い道だ。もっとも、増水時に車の避難は必要だが。
そういえばタワマンを見るのを忘れていた。多摩川沿いは面白ポイントが多すぎる。
いよいよ本格的に調布が近づいてきた。
というわけで当面の目標としていた場所に来てもなお、武蔵小杉のタワマンはコンデジのレンズを通じてくっきりと見える。肉眼でもわりと見える。月のようにどこまで行ってもついてくる。こわくなってきた。
1日目の調査はここまでとし、近くの駐輪場に自転車を返却し電車で帰宅した。1日目ということは、2日目があるのだ。
2日目。立川までに終わればいいなと思いつつ、心のどこかで青梅まで行かされる気もしている。その覚悟はできている。
タワマンからの逃走、2日目が始まった。
しかしこのあたりから「おやっ?」という感じになる。
ついに武蔵小杉のタワマンが見えなくなったのだ。別れは突然やってくる。タワマンの急激な弱りっぷりに戸惑いつつ、「でもどうせまたすぐ見えるんでしょ」という気持ちで次の橋へ向かう。
あんなにも武蔵小杉のタワマンから逃げてきたのに、いざいなくなると寂しいものだ。 恋か。
あの山が邪魔だ。あの山さえなければ見えるのに。
これはもう武蔵小杉のタワマンから完全に逃げ切ったと言っていいでしょう。 対戦ありがとうございました。
というわけで、この記事の楽しみ方①「武蔵小杉のタワマンが見えなくなるのはどこ?」の答えは東京競馬場近くにある是政橋 である。ここまではギリ見える。橋より先に行くともう全く見えなくなる。またひとつ賢くなった。
電車で行く場合は南武線の南多摩駅で降りるとよい。
石橋大橋での撮影から数十分後、 私はカレーを食べていた。
私は立川にいた。それは多摩モノレールから武蔵小杉のタワマンが見えるのかを調べるためだ。多摩モノレールは途中で多摩川を横断する。モノレールはけっこう高いところにある。であれば、山をこえてタワマンが見えるかもしれない。
モノレール車内は混んでいたので、多摩川を横断する手前の駅から撮影することにした。
多摩モノレールから武蔵小杉のタワマンは見えない。 それがわかっただけでも大きな収穫だ。
結局、武蔵小杉のタワマンが最後に見えた場所は是政橋で、以降は山が邪魔でタワマンが見えなかった。
後日、等高線でその山の標高を調べたところ、157mとあった。武蔵小杉のタワマンの最上部が標高153mなので、すっぽり隠してしまっている格好だ。
この山の正体は多摩サービス補助施設と呼ばれるもので、かつての日本陸軍の多摩弾薬庫だったものが、いまでは米軍横田基地のレクリエーション施設となっている。こんな身近なところに米軍施設があるとは知らなかった。
多摩川沿いには非日常が多く、記事にしやすい。筆者がいままで書いてきた記事の多くで多摩川が登場する。
・多摩川の河川敷にひっそりと埋まったライオンの遊具の真相に迫る
・池を囲んで近距離Zoom飲み会をしたら色んな感情で泣きそうになった
・これが本物のたたき台だ!(外でたたき台をたたくシーン)
・1日で小学生の夏休みぜんぶやる (外で遊ぶシーン)
今後も多摩川とはうまく付き合っていきたい。
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