特集 2022年8月22日

1日で小学生の夏休みぜんぶやる

小学生の頃の夏休みが大好きだった。40連休だ。社会人にはまずありえない話だ。しかし、40日もあったゆえにのんびりと過ごしてしまったという反省もある。

当時の夏休みを社会人のいま、ぎゅっと1日にすることはできないだろうか?1日だけ全力で「あの頃の夏休み」を満喫したい。

1992年三重生まれ、会社員。ゆるくまじめに過ごしています。ものすごく暇なときにへんな曲とへんなゲームを作ります。

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小学生の夏休みを思い出す

まずは当時の夏休みを振り返る。まだ夏期講習というものを知らない、筆者の小4の夏休みはたしかこんな感じだった。

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序盤に宿題をあらかた片づけ、中盤以降に遊ぶタイプ。アリとキリギリスでいうところのアリだ。

これを、ぎゅっと1日にするのだ。

タイムスケジュールをつくる

夏休み直前の学校では「夏休みのタイムスケジュール」を作らされた記憶がある。あれを作るところから始まる。

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書きました。タスク系は午前中に済まし、午後はあそび。40日を押しつぶして1日にしたようなタイムテーブルだ。

朝6時起きで6時半からラジオ体操だ。ひゃ~、そうだった。夏休みだからって朝寝坊できないんだった。むしろ、ふだんより早起きしてラジオ体操に行かなければならなかった。


06:30 ラジオ体操

8月16日。予定通り6時に起きて6時半には公園にいた。前日は夜遅くまで酒を飲んでいたので二日酔い&睡眠不足という最悪のコンディションである。こんなにもすがすがしくない朝は当時は知らなかった。

しかしこの日の朝の公園はすずしく、ひんやりと気持ちがよいのは確かだ。
奥様たちの散歩するワンちゃんに見られながらラジオ体操させていただきます。
ラジカセから流すのではなく、完全ワイヤレスイヤホン + ラジコ のソロスタイル。
ラジコの画面。巡回ラジオ体操って当時もあったな~。音声だけだと巡回してる感があんまり伝わってこないんだよな~。

6時半ぴったりに体操が始まるわけではなく、アナウンサーが出張先の地域の紹介を軽快な口調で紹介し、いよいよラジオ体操第一が始まる。

曲を聴くと自然と動きを思い出す。
ぴょんぴょんジャンプする場面。当時は全力で高く飛び跳ねていたが、いまの私のコンディションではこれが限界である。

しかし、体操をすると二日酔いの体からアルコール分が抜け浄化されていくように感じる。なんて心地いいんだ。ラジオ体操という儀式を経て、強制的に夏休みスイッチが入ったような気がする。

あの頃の夏休みが戻ってきた!!

ラジオ体操出席カードは日本郵政のサイトからダウンロードできる。

もちろん誰もハンコを押してくれないのでセルフ押印。

07:30 家事手伝い

家に戻り朝食を終え、家事の手伝いをする。当時の夏休みには、「家事を3つ手伝う」という宿題があったのだ。とはいえ、今となっては普段から掃除・洗濯・料理などを妻と手分けしてやっているので、いまさら「手伝い」といわれましても…。

ということで、普段おろそかにしがちな「お風呂の鏡の水垢取り」「洗面台の鏡掃除」「トイレの便器の奥の方の掃除」など、ニッチなところを攻める。

ひどい水垢。
茂木和哉というクレンザーでこする
ピカピカになった。
洗面台の鏡は歯磨き粉の跳ね返りなどが目立つので、クイックルのホームリセットでぴかぴかにした。(ビフォーの写真を撮り忘れたのでアフターの写真のみです。)

トイレ掃除の写真はお目汚しにもほどがあるので載せませんが、朝7時半からのトイレ掃除は「いいことをしているぞ!」という気持ちになり、自己肯定感が高まった。


08:00 宿題

体操もして掃除もしてまだ8時。よい朝だ。夏休みと言えば宿題である。1日だけだが当時の宿題を可能な限り再現したい。品目は

・ドリル
・読書感想文
・自由研究(工作)
・絵日記

の豪華4本立てである。

あんなに嫌だった夏休みの宿題を自ら用意し喜びながら消化するというマゾヒスティックな行為よ。

 学習指導要領の違いを感じるドリル

くもんの小6の夏休みドリルを買ってきた。 

リビングのテーブルで朝食をとる妻の横でガリガリとドリルをこなしていく。小学生のころはリビングのテーブルで宿題していた記憶がある。

ドリルを全部やる時間はさすがにないので、まとめ問題的な「1学期の復習」を解けばよいことにする。

6年生の算数。うお~楽しい!ふつうに1問計算ミスした。はずかしい。
6年生の国語。教科書で扱っている作品がもとになった問題のようだ。読んだことないけど面白い。
当たり前のように英語もある。

当時は特番みたいな感じでたまにALTの先生が来て「グッモーニング」「ナイストゥーミーチュー」などを教えてくれるだけだったのに。いまはひとつの教科になっているらしい。だいぶグローバルだ。

こうして6年生の算・国・英のドリルをやったが、う~ん、なんかちょっと物足りないなぁ。もっとドリルっぽいドリルをやりたい。

こんなこともあろうかと小3の計算ドリルも買っていたのでした。小3のころはまだ鉛筆を使っていたので鉛筆で解きます。
繰り上がりと繰り下がりを思う存分堪能させていただきました。うおお~!最高!かけざんもやりたい!

読書感想文で無双する

夏休みの宿題の中ボス的存在、読書感想文。当時は憂鬱で仕方がなかった。ボキャブラリー不足で書けないし、そもそも何を書いていいかもわからない。本を読んでも「おもしろかった」以外の感情がない。

しかし、今となっては毎月このサイトで3000字~10000字の文章を書いているのだ。どんとこい。1時間で勝負をつけてやる。

まずは本選び。これには作戦があって星新一のショートショートから選ぶことにした。星新一は小5のころから大好きで、学級文庫に置いてある「おーい でてこーい」「ボッコちゃん」などの短編集をよく読んでいた。今回は「おのぞみの結末」という短編集を購入し、事前に読んで感想の書きやすそうな「一つの目標」というストーリーに目を付けていた。 

いきなり原稿用紙に感想を書き始めるのではなく、あらすじを端的に整理し、テーマを抽出し、関連しそうな自分の話を列挙する。これはいま思いついたやり方。

目標は原稿用紙3枚分。1200字だ。ツイートでいうところの9ツイート分と考えると気持ちが楽だ。

50分後。余裕で書けました。誰にも読まれることのない自分だけの読書感想文。

当時はあんなに苦手で憂鬱だった読書感想文が、いまは余裕で楽しかった。ゲームの主人公が長旅を経て地元に凱旋し「当時びくともしなかった敵が倒せるようになってる」みたいな状態だ。

工作がうまくいかない

絵日記は1日の終わりに書くとして、午前中に済ましておきたいのが工作である。私の学校は自由研究か自由工作かを選べるタイプの宿題だったが、今回は工作をする。なぜなら自由研究はこのサイトで毎月1回さんざんやっているからだ。異常なペース。

しかし私は工作が下手でよく失敗する。そこで今回は時間短縮と成功確率アップを狙ってありものの工作キットで済ませることにした。

10円コロコロゲーム貯金箱。
ワワ、思ったよりパーツが多いな…。

テレビで放送している高校野球をBGMにしながら、もくもくとコロコロゲーム部分を作っていく。

取ってつけたようなイラストとおみくじも書いた。

完成~! 

手こずって2時間以上かかってしまった。気付けばもう12時半。

今回は工作成功か?さっそく試してみよう。

レバーを引くと右から10円玉が飛び出てくる。どういうこと?

説明書を何度も確認したがどこも間違ってない。どうして?こんなの絶対おかしいよ。検索したらYouTuberが同じ工作をしていて同じ症状で悩んでいて、挙句の果てに台を左に45度傾けて遊んでいた。むなしい。

というわけで今回の工作も失敗である。小学生のころもよく失敗して最後は父に泣きついて助けてもらっていたな。工作スキルは何一つ成長していない。

とはいえ、失敗も含めて当時の夏休みの宿題を十分に満喫できた。しかも午前中だけで作文と工作を済ませてしまうなんてすごい!

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13:00 昼ごはん

12時にお昼の予定が、13時になってしまった。ここから1時間押しで進行します。

実家での夏の昼食といえば絶対にそうめんだ。そして、大人になった今、もう私はそうめんといえば揖保乃糸しか受け付けない体になってしまったのであった…。

揖保乃糸をシンプルなスタイルでいただきます。あ~うまい。麺のポテンシャルだけで無限に食べられる。

14:00 外で遊ぶ

正直に言ってこの猛暑の中、外で遊ぶのは危険行為だ。しかし夏はやっぱり外で遊びたい。万全の熱中症対策をして外で遊ぶ。

多摩川。気持ちい~!!
神社もかなり夏だ。

夏休みと言えばだれかと外で遊びたいが、いま小学生にタイムスリップしているのは私だけなので、一人で遊べるバッティングセンターに来た。 

右奥のネットのところが丸子橋バッティングセンター。

このバッティングセンターの2階はカフェになっていて、多摩川を眺めながらクラフトビールも楽しめる最高のスポットだ。(今日は小学生のつもりなので飲みません。)

これは別の日に2階のtry-a+というカフェ(正確にはランナー向けのランステーション)で撮った写真。とても良いので勝手ながら紹介させてください。
さて、本命のバッティングセンター。すいてる。ラッキー。

バッティングセンターでは受付に座っているおじいさんが、「いまベルトコンベアが故障しちゃって、真ん中と奥の2個しか動いてないんだわ」と言っていた。お盆なので修理業者がお休みだそうだ。

真ん中のボックスに入ります。200円18球。
気持ちい~!(唯一出たヒット性の当たり)

野球未経験で何もかも勝手がわからないが、たまにカキーンと飛ぶと爽快である。

バッティングを終え受付エリアに戻ると小さいテレビで高校野球が流れていた。先ほどの私とは比べ物にならないぐらい強烈なスイングで打球が伸びていた。おじいさんは「暑いから水分補給しっかりしてね~」と優しく送り出してくれた。

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16:00 シャワー&おひるね

バッティングセンターの汗を熱いシャワーで流し、クーラーを効かせたベッドでブランケットにくるまって寝る。夏休みの特権「シャワー」「昼寝」の最強コンボだ。精神年齢がどんどん低下していく。

16時15分。おやすみなさい
17時45分起床。寝すぎた。

本当は川崎市の17時のチャイム「椰子の実」を聴いてエモにひたるというイベントを用意していたのだが、すっかり寝過ごしてしまった。


18:00 スイカ

夏と言えばスイカ。塩をかけてあまじょっぱい。

季節のフルーツは積極的に摂取していこう。心がどんどん豊かになっていく。

18:30 ゲーム

宿題も外遊びも昼寝も終えた私がやるのは、ゲームだ。クーラーの効いた部屋で無心でゲームをやる。これも夏休みの一環である。

これは超魔界村で裸一貫の勇者が1面のボスを倒した様子。

超魔界村はザコキャラの攻撃1発で鎧が消失し裸一貫になる理不尽なゲームだ。2面のボス戦で何度も死に、気がつけば20時である。ゲームをしているとあっという間だ。


20:00 夜ごはん

夏の夜ごはんといえばカレーであろう。前日からジャワカレースパイシーブレンドを仕込んでいたのだ。これはいまの自分好みの大人の辛さ。

夏野菜のかぼちゃとなすの素揚げをトッピング。飲み物は氷で冷やした麦茶。

夏だ~!!!!と叫びたい。


22:00 花火

夏の夜は花火である。19時の予定だったが、のんびりしすぎて22時になってしまった。でも夏休みは特別に夜ふかしがオッケーな風潮があった。こういうのもなつかしい。

朝ラジオ体操をした公園に戻ってきた。フジファブリックの「若者のすべて」を心の中で再生しながら。「最後の花火に今年もなったな」は打ち上げ花火なのか、手持ち花火なのか。私は手持ち花火だと思っています…。

本当はこのあと天体観測も考えていたのだが、この日は曇り空で断念。別の日に撮影した写真を載せておきます。

望遠鏡が安物なのとカメラの設定が微妙なので非常にもわっとした月。

24:00 絵日記

1日の最後を絵日記で締めくくる。

そうそう、こういう鮮烈な花とか虫の表紙だった。

これも夏休みの宿題の一つだ。日記部分の文字数は48字。今日の内容は5000字ぐらいないと収まりきらないので、「踊る!ヒット賞」的な部分だけを日記にする。

私が200円18球のバッティングの間につかんだコツです。

夏休みはやっぱり短い

小学生のころ、ポンキッキーズで流れていた大江千里の「夏の決心」の「夏休みはやっぱり短い」が血も涙もないド正論で本当に嫌いだった。

実際に夏休みはやっぱり短いのである。やりたいことが目の前にありすぎる。だからこそ、やらなければならない。積極的に夏を意識し、やりたいことを淡々とこなしていかなければならない。そんなことをずっと考えており、今回実際にやってみた。

実際にやってみると、「あ~こういう感情忘れていたな~」というオトナ帝国のようなエモなつかしさと、「いまとなってみれば違うふうに感じるな~」という成長(老い?)の実感があってとてもよかった。

大江千里が本当に伝えたいのは「人生はやっぱり短い」なのかもしれない。やりたいことをどんどんやって死ぬときに「いろいろやったけど、やっぱり短いな~!」と笑いながら一生を終えたい。(そんなことを午前中の読書感想文で書いたのでした。)

 

告知:Maker Faire Tokyo2022に出展します

毎年恒例となったDIYの祭典、Maker Faire Tokyoに出展します。

詳細:Maker Faire Tokyo2022出展します!(9/3~4)&ミニヘボコン出場者募集

デイリーポータルZでは記事で作った工作と、ミニヘボコンなど、工作班がうでをふるってお送りします。私は自作の「くまがホームランを打つゲーム」を展示します。

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ゲームはこちらのサイトで遊べます。当日来ていただくと、このゲームを実際にバットを振って操作できます。

Maker Faire Tokyo 2022

2022/9/3(土)12:00~18:00(予定)
2022/9/4(日)10:00〜17:00(予定)
@東京ビッグサイト 西4ホール

https://makezine.jp/event/mft2022/

※感染対策のためチケットを事前にご記入いただいた方のみ入場可能です。

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