中学生がかくポスターが怖い
中学生の授業で、ほとんどの人が通ってきたであろう「レタリング」のポスター。環境問題をテーマにしている場合が多く、総じてメッセージが強い。
「地球が泣いている」「救おう命の輝く場所」「そのゴミはあなたに返ってくる」など、言葉だけでも十分強い。明朝体で描かれることが多く、さらに圧を生んでいる。
明朝体で強いワードを言われると怖い。あと絵も悲惨な光景や泣き顔が描かれたものが多く、怖い。
しかし、驚くべきことに、ほとんどの大人が「中学でレタリングポスターかいたけど、何を描いたか覚えていない」という。こんなにメッセージ性の強い、圧のあるポスターなのに……!!
いくらメッセージ性が強くとも、自主的に描いたわけではなく、授業で仕方なく描かされた1枚のポスターは記憶に残らないのだろう。
私はレタリングのポスターを描いたことがない。途中で中学を転校したので、レタリングを習う前に転校し、転校先の学校ではもうその授業は終わってたのだと思う。結果、1回もレタリングをやらないまま大人になってしまった。
自分が描いたことがないから、余計に怖いのかもしれない。
メッセージ性を無くそう
強いメッセージで環境問題のポスターを作ることには教育上の意味があるのだろう。でも、そうじゃないポスターがあってもいいと思う。どうにかして、メッセージ性をなくしたポスターを作れないものか。
ポスターはそもそも何かを伝えるためにあるものなので、無理を言っているのは承知しているが、どうにかしてメッセージ性をゼロにしたい。何の言葉を書けばいいのだろうか。
レタリングを授業でやったことがある友人にアドバイスをもらいながら、レタリングする言葉を一緒に考えてみた。
「酸化鉄」→単語すぎる。ポスターなら文にすべき
「イカが好き」→気持ちを乗せるとメッセージ性が生まれる
「メモしたけど、そのメモ自体をなくした」→長すぎ
「月曜日は燃えるゴミの日」→環境問題っぽさが滲みそう
「17時に友達と会う」→いいかも
「晩ごはんはオムライス」→いいかも
感情を乗せず、事実だけを述べ、環境問題を彷彿とさせないワードが良いと言うことが分かってきた。その中でも、シンプルに予定を書くのがいいのではと言うことになった。
「17時に友達と会う」は、メッセージ性がないただの事実でかなりいいのだが、絵を描くのが難しそう。
絵に描きやすいと言う理由で、「晩ごはんはオムライス」に決定した。
レタリングの仕方
レタリングの本を借りようと図書館に行ったが、夏休みの宿題で使うのか、それらしい本は全て借りられていた。
でも、美術の教科書はあった。
パラパラめくってみると、1ページだけレタリングのことが書いてあった。
手書きだと時間がかかりそうなので、私は文明の力を使って印刷することにした。ちょっとずるいけど、別に宿題じゃないし。
描く絵があまりない
とりあえずオムライスを描けばいいと思っていたのだが、それだけだと殺風景だ。レタリングポスターは背景に地球を描きがちな傾向があるので、それにならって地球も描いてみた。
これが環境問題だったら描くモチーフがたくさんあるのだろう。でもこれはただの晩ごはん。他に食べるものあるかな……。
……あ! ビール飲むじゃん!!
ちょっと寂しい気もするけど、これ以上描くことが本当にない。文字も入ることだし、これくらいで大丈夫だろう。
色を塗る
下がきができたので、あとはひたすら塗っていくのみ。
環境問題のポスターが多いので、皆地球を描きがちなのだろう。基本的にはざっくりとした地形で、日本列島を真ん中に置いている確率が高い。
ビールの缶を描いてはっとした。宇宙空間に缶が浮遊している絵って、ゴミ問題を連想させないだろうか。隠れたメッセージ性になってしまうかもしれない。
いや、でもまだ未開封のビールだし……。ゴミじゃないし……。
一抹の不安を覚えつつ、もう描いてしまったので、このまま進めることにした。
背景を全部塗ったあとに文字を入れた方が、きっと塗りやすいだろう。
……こわ!!! 何この絵!?
シュールレアリズムの絵を見ている気分。
めちゃくちゃメッセージ性ありそうなんだけど!!
私は一体何を描いたのだろうか……。